19 / 52
第3章 戻ってきた救世主
6
シード様が傍にいてくれていることと、無事にこの家から抜け出せそうだとわかってホッとしたのか、わたしはシード様に声を掛けることも忘れて、また眠りについてしまっていた。
そして、次の日の朝、目を覚ました時には、すでにシード様は目を覚まして本を読んでいた。
横になったままのわたしと目が合うと、シード様は本から目を上げて微笑む。
「おはよう、セフィリア」
「おはようございます!」
「夜中の内に紙に書いてることを読んだだろうから知ってると思うけど、うちのほうは許可が下りた。でもまだ、エルテ公爵からの許可は得れてないから、そっちは今、連絡を入れてるとこだ。今の段階では仮の婚約者だが、あんなこともあったし、昨日はこの部屋で眠らせてもらった」
「声を掛けてくだされば、ベッドを空けましたのに」
「女性からベッドを奪い取る程、俺様思考じゃねぇよ」
シード様は目を細めて、わたしを軽く睨んだ。
慌てて上半身だけ起こして頭を下げる。
「失礼なことを申し上げまして、大変申し訳ございません。あの、話は変わるのですが、わたしのほうはどうでしたでしょう? ロビースト様と婚約していることになっていたのでしょうか。それとも、デスタと?」
「再度確認したが、兄さんとの婚約は解消されている。でも、ロイアン卿とは再婚約してることになってる」
「そんな! 信じられません! お父様は娘を何だと思っているんでしょうか!」
「さあな。エルテ公爵の考えてることは俺にもわからねぇ。言えるのは、最低な父親だということと、エルテ公爵なりにセフィリアには期待してるってとこか?」
「わたしに期待? どういうことでしょうか?」
お父様がわたしに期待なんかしているわけがないわ。
そう思って、少し声を荒らげて聞き返すと、シード様は苦笑する。
「俺に怒んなよ。ロイアン卿に嫁がせようとしてたのも、奴の家の経営権云々が表向きの目的だったかも知らねぇが、実際はそれだけのことじゃなさそうだぞ。その証拠に、姉には無関心だろ?」
「そう言われてみればそうですが、下の娘を都合よく利用し、上の娘は放置というのは父親としてどうかと思いますわ」
「それは俺も思ってるよ。それより、セフィリア」
「はい」
「俺との婚約、それから結婚はエルテ公爵を喜ばせることになるぞ? どうするつもりだ?」
シード様に問われて、言葉に詰まってしまう。
正直に言えば、お父様を喜ばせるだなんて嫌だわ。
でも、背に腹はかえられない。
「喜ばせるかもしれませんが、父が喜ばない何かを考えてやり返そうと思います」
「そっか。それは良いかもな!」
シード様は楽しそうに笑ってから、声を掛けてくる。
「じゃあ、俺は外で待ってっから。侍女と騎士が心配してたぞ。早く顔を見せてやれ」
そうだわ。
エルファとマディアスにもう一度謝らなくちゃ。
「ありがとうございます! シード様も中で待ってくださっても大丈夫ですが」
「着替えねぇの?」
シード様に言われて、自分がネグリジェのままだったことを思い出した。
そうだわ。
さすがに着替えを見せるわけにはいかない。
「セフィリアがお望みなら俺が着替えを手伝うが?」
「お気持ちは有り難いですが結構です!」
にやりと笑ったシード様に強い口調でお断りの言葉を述べたあと、部屋の外で待ってくれているであろう、エルファの名を呼んだ。
そして、次の日の朝、目を覚ました時には、すでにシード様は目を覚まして本を読んでいた。
横になったままのわたしと目が合うと、シード様は本から目を上げて微笑む。
「おはよう、セフィリア」
「おはようございます!」
「夜中の内に紙に書いてることを読んだだろうから知ってると思うけど、うちのほうは許可が下りた。でもまだ、エルテ公爵からの許可は得れてないから、そっちは今、連絡を入れてるとこだ。今の段階では仮の婚約者だが、あんなこともあったし、昨日はこの部屋で眠らせてもらった」
「声を掛けてくだされば、ベッドを空けましたのに」
「女性からベッドを奪い取る程、俺様思考じゃねぇよ」
シード様は目を細めて、わたしを軽く睨んだ。
慌てて上半身だけ起こして頭を下げる。
「失礼なことを申し上げまして、大変申し訳ございません。あの、話は変わるのですが、わたしのほうはどうでしたでしょう? ロビースト様と婚約していることになっていたのでしょうか。それとも、デスタと?」
「再度確認したが、兄さんとの婚約は解消されている。でも、ロイアン卿とは再婚約してることになってる」
「そんな! 信じられません! お父様は娘を何だと思っているんでしょうか!」
「さあな。エルテ公爵の考えてることは俺にもわからねぇ。言えるのは、最低な父親だということと、エルテ公爵なりにセフィリアには期待してるってとこか?」
「わたしに期待? どういうことでしょうか?」
お父様がわたしに期待なんかしているわけがないわ。
そう思って、少し声を荒らげて聞き返すと、シード様は苦笑する。
「俺に怒んなよ。ロイアン卿に嫁がせようとしてたのも、奴の家の経営権云々が表向きの目的だったかも知らねぇが、実際はそれだけのことじゃなさそうだぞ。その証拠に、姉には無関心だろ?」
「そう言われてみればそうですが、下の娘を都合よく利用し、上の娘は放置というのは父親としてどうかと思いますわ」
「それは俺も思ってるよ。それより、セフィリア」
「はい」
「俺との婚約、それから結婚はエルテ公爵を喜ばせることになるぞ? どうするつもりだ?」
シード様に問われて、言葉に詰まってしまう。
正直に言えば、お父様を喜ばせるだなんて嫌だわ。
でも、背に腹はかえられない。
「喜ばせるかもしれませんが、父が喜ばない何かを考えてやり返そうと思います」
「そっか。それは良いかもな!」
シード様は楽しそうに笑ってから、声を掛けてくる。
「じゃあ、俺は外で待ってっから。侍女と騎士が心配してたぞ。早く顔を見せてやれ」
そうだわ。
エルファとマディアスにもう一度謝らなくちゃ。
「ありがとうございます! シード様も中で待ってくださっても大丈夫ですが」
「着替えねぇの?」
シード様に言われて、自分がネグリジェのままだったことを思い出した。
そうだわ。
さすがに着替えを見せるわけにはいかない。
「セフィリアがお望みなら俺が着替えを手伝うが?」
「お気持ちは有り難いですが結構です!」
にやりと笑ったシード様に強い口調でお断りの言葉を述べたあと、部屋の外で待ってくれているであろう、エルファの名を呼んだ。
あなたにおすすめの小説
【完結】妹ばかり愛され追い出された姉ですが、無口な夫と暮らす日々が幸せすぎます
コトミ
恋愛
セラフィナは、実の親と、妹によって、家から追い出されることとなった。セラフィナがまだ幼い頃、両親は病弱なカタリナのため設備環境が良い王都に移り住んだ。姉のセラフィナは元々両親とともに住んでいた田舎に使用人のマーサの二人きりで暮らすこととなった。お金のない子爵家な上にカタリナのためお金を稼がなくてはならないため、子供二人を王都で暮らすには無理があるとセラフィナだけ残されたのだ。そしてセラフィナが19歳の時、3人が家へ戻ってきた。その理由はカタリナの婚約が上手くいかず王宮にいずらくなったためだ。やっと家族で暮らせると心待ちにしていたセラフィナは帰宅した父に思いがけないことを告げられる。
「お前はジェラール・モンフォール伯爵と結婚することになった。すぐに荷物をまとめるんだ。一週間後には結婚式だ」
困惑するセラフィナに対して、冷酷にも時間は進み続け、結婚生活が始まる。
(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?
青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。
けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの?
中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
幼なじみと再会したあなたは、私を忘れてしまった。
クロユキ
恋愛
街の学校に通うルナは同じ同級生のルシアンと交際をしていた。同じクラスでもあり席も隣だったのもあってルシアンから交際を申し込まれた。
そんなある日クラスに転校生が入って来た。
幼い頃一緒に遊んだルシアンを知っている女子だった…その日からルナとルシアンの距離が離れ始めた。
誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。
更新不定期です。
よろしくお願いします。
【完結】ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
【完結】新婚生活初日から、旦那の幼馴染も同居するってどういうことですか?
よどら文鳥
恋愛
デザイナーのシェリル=アルブライデと、婚約相手のガルカ=デーギスの結婚式が無事に終わった。
予め購入していた新居に向かうと、そこにはガルカの幼馴染レムが待っていた。
「シェリル、レムと仲良くしてやってくれ。今日からこの家に一緒に住むんだから」
「え!? どういうことです!? 使用人としてレムさんを雇うということですか?」
シェリルは何も事情を聞かされていなかった。
「いや、特にそう堅苦しく縛らなくても良いだろう。自主的な行動ができるし俺の幼馴染だし」
どちらにしても、新居に使用人を雇う予定でいた。シェリルは旦那の知り合いなら仕方ないかと諦めるしかなかった。
「……わかりました。よろしくお願いしますね、レムさん」
「はーい」
同居生活が始まって割とすぐに、ガルカとレムの関係はただの幼馴染というわけではないことに気がつく。
シェリルは離婚も視野に入れたいが、できない理由があった。
だが、周りの協力があって状況が大きく変わっていくのだった。