50 / 69
50 お飾りの妻は卒業します
しおりを挟む
私の誕生日から、数日後、サマンサから手紙が送られてきた。
彼女からの手紙には、もう思い出したくないかも知れないけれど、という前置きのあとに、ロバートがどうなったかということが書かれていた。
あの日捕まったロバートは留置場に入れられ、今は罪が確定するのを待っているところらしい。
サマンサが聞いた噂では、一般的な事例よりも重い罪がかされるのではないかと言われているとのことだった。
公爵家に不法侵入自体も重い罪だけれど、リアムのことだから、命は奪わないまでも、私の前に二度と現れないようにさせるんでしょうね。
命を奪ったりはしないでしょうけれど、極寒の地か灼熱の地に送らせて労役といったところかしら。
なぜ、ロバートの情報がサマンサからの情報なのかというと、リアムも含め、屋敷の人が私が嫌なことを思い出してはいけないと、過保護になって、まったく教えてくれないから。
お父様達がどうなったかもわからない。
森の中に暮らしているみたいだけど、リアムの援助がなくなったから、食べるものもないだろうし、まさか、飢え死にとかしてないわよね?
「アイリス、ドレスを持ってきたってさ」
寝室のベッドに寝転んでサマンサからの手紙を読んでいると、リアムが中に入ってきて、身を起こした私の額にキスをした。
「ゆっくりしている時にごめん」
「かまいません。予定してましたし」
「何着も持ってきたって言ってたけど、とりあえず、全部着るよね?」
「とりあえず全部ってなんですか! 嫌ですよ。着るとしても、2着か3着です」
「せっかくだし、全部着て見せてよ」
「疲れるから嫌です!」
きっぱりと答えると、リアムは少し残念そうな顔をした。
今日はウエディングドレスの試着日だ。
以前、お義母さまにお願いされて着たこともあるのだけれど、今回はリアムに選んでもらって、大勢は呼ばないけれど、結婚式を挙げることにした。
「じゃあ、全部買って何日かで着ていったらどうかな?」
「お金がもったいないから駄目です!」
「じゃあ、今度、デートしてくれる?」
「じゃあの意味がわかりませんが、デートなら良いですよ」
頷くと、リアムは嬉しそうに笑って、私の手を取って歩き出した。
もしかしたら、リアムの心が変わって、いつかまた、お飾りの妻になる日が来るかもしれない。
そうなったとしても、私の生活は変わることはないだろうし、きっと、幸せなお飾りの妻になれるでしょう。
……でもやっぱり、リアムを好きになってしまった今となると、お飾りの妻はやっぱり寂しいわ。
だから、リアムが私を好きでいてくれるように、私も頑張らないとね。
ーーーーーーー
これにて第一部完結となります。
第一部でリタイア、という方は、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
第二部にお付き合いいただける方は下記を読んでいただけますと幸せです。
改稿前では番外編あわせて7万文字弱でしたが、今回は11万文字弱ということで、かなり文字数が増えました!
ノマド家へのざまぁですが、これだけでは弱いと思われた方もいらっしゃるかと思いますので、新規で投稿しております「辺境伯令息の婚約者に任命されました」にて、追加のざまぁをいたします。
お話的には、婚約破棄された気が強いヒロインをワンコ系のピュアなヒーローが一方的に溺愛しているラブコメになりますが、リアムとアイリスも出てまいりますので、読んでいただけますと嬉しいです。
そして、「幸せなお飾り~」につきましても明日から早速、第二部の更新に移ります。
お気に入りがゴリゴリ減るのも覚悟しております……。
あと、やはり、ざまぁ要素の話は必要かと思いますので、甘めのお話が続いた後に、ざまぁキャラも出てまいります。
そこはお許しくださいませ!
あと、お飾りの妻ではなくなりましたが、このまま続けさせていただきます!
そして、この作品を小説家になろうさんでも投稿をはじめました。
第一部の最後に入れるはずだったイチャイチャ話が、R15に引っかかると嫌なので、全年齢のこちらにのせないことにしました。
小説家になろうさんの方ではR15にしましたので、なろうさんでの最終話は第51話になる予定です。
第二部はなろうさんでは連載する予定はありません。
感想やたくさんのエールをありがとうございました。
長々と書きましたが、また明日に、第二部でお会いできましたら嬉しいです。
彼女からの手紙には、もう思い出したくないかも知れないけれど、という前置きのあとに、ロバートがどうなったかということが書かれていた。
あの日捕まったロバートは留置場に入れられ、今は罪が確定するのを待っているところらしい。
サマンサが聞いた噂では、一般的な事例よりも重い罪がかされるのではないかと言われているとのことだった。
公爵家に不法侵入自体も重い罪だけれど、リアムのことだから、命は奪わないまでも、私の前に二度と現れないようにさせるんでしょうね。
命を奪ったりはしないでしょうけれど、極寒の地か灼熱の地に送らせて労役といったところかしら。
なぜ、ロバートの情報がサマンサからの情報なのかというと、リアムも含め、屋敷の人が私が嫌なことを思い出してはいけないと、過保護になって、まったく教えてくれないから。
お父様達がどうなったかもわからない。
森の中に暮らしているみたいだけど、リアムの援助がなくなったから、食べるものもないだろうし、まさか、飢え死にとかしてないわよね?
「アイリス、ドレスを持ってきたってさ」
寝室のベッドに寝転んでサマンサからの手紙を読んでいると、リアムが中に入ってきて、身を起こした私の額にキスをした。
「ゆっくりしている時にごめん」
「かまいません。予定してましたし」
「何着も持ってきたって言ってたけど、とりあえず、全部着るよね?」
「とりあえず全部ってなんですか! 嫌ですよ。着るとしても、2着か3着です」
「せっかくだし、全部着て見せてよ」
「疲れるから嫌です!」
きっぱりと答えると、リアムは少し残念そうな顔をした。
今日はウエディングドレスの試着日だ。
以前、お義母さまにお願いされて着たこともあるのだけれど、今回はリアムに選んでもらって、大勢は呼ばないけれど、結婚式を挙げることにした。
「じゃあ、全部買って何日かで着ていったらどうかな?」
「お金がもったいないから駄目です!」
「じゃあ、今度、デートしてくれる?」
「じゃあの意味がわかりませんが、デートなら良いですよ」
頷くと、リアムは嬉しそうに笑って、私の手を取って歩き出した。
もしかしたら、リアムの心が変わって、いつかまた、お飾りの妻になる日が来るかもしれない。
そうなったとしても、私の生活は変わることはないだろうし、きっと、幸せなお飾りの妻になれるでしょう。
……でもやっぱり、リアムを好きになってしまった今となると、お飾りの妻はやっぱり寂しいわ。
だから、リアムが私を好きでいてくれるように、私も頑張らないとね。
ーーーーーーー
これにて第一部完結となります。
第一部でリタイア、という方は、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
第二部にお付き合いいただける方は下記を読んでいただけますと幸せです。
改稿前では番外編あわせて7万文字弱でしたが、今回は11万文字弱ということで、かなり文字数が増えました!
ノマド家へのざまぁですが、これだけでは弱いと思われた方もいらっしゃるかと思いますので、新規で投稿しております「辺境伯令息の婚約者に任命されました」にて、追加のざまぁをいたします。
お話的には、婚約破棄された気が強いヒロインをワンコ系のピュアなヒーローが一方的に溺愛しているラブコメになりますが、リアムとアイリスも出てまいりますので、読んでいただけますと嬉しいです。
そして、「幸せなお飾り~」につきましても明日から早速、第二部の更新に移ります。
お気に入りがゴリゴリ減るのも覚悟しております……。
あと、やはり、ざまぁ要素の話は必要かと思いますので、甘めのお話が続いた後に、ざまぁキャラも出てまいります。
そこはお許しくださいませ!
あと、お飾りの妻ではなくなりましたが、このまま続けさせていただきます!
そして、この作品を小説家になろうさんでも投稿をはじめました。
第一部の最後に入れるはずだったイチャイチャ話が、R15に引っかかると嫌なので、全年齢のこちらにのせないことにしました。
小説家になろうさんの方ではR15にしましたので、なろうさんでの最終話は第51話になる予定です。
第二部はなろうさんでは連載する予定はありません。
感想やたくさんのエールをありがとうございました。
長々と書きましたが、また明日に、第二部でお会いできましたら嬉しいです。
166
あなたにおすすめの小説
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
【完結】金貨三枚から始まる運命の出会い~家族に虐げられてきた家出令嬢が田舎町で出会ったのは、SSランクイケメン冒険者でした~
夏芽空
恋愛
両親と妹に虐げられ続けてきたミレア・エルドール。
エルドール子爵家から出ていこうと思ったことは一度や二度ではないが、それでも彼女は家に居続けた。
それは、七年付き合っている大好きな婚約者と離れたくなかったからだ。
だがある日、婚約者に婚約破棄を言い渡されてしまう。
「君との婚約を解消させて欲しい。心から愛せる人を、僕は見つけたんだ」
婚約者の心から愛する人とは、ミレアの妹だった。
迷惑料として、金貨三枚。それだけ渡されて、ミレアは一方的に別れを告げられてしまう。
婚約破棄されたことで、家にいる理由を無くしたミレア。
家族と縁を切り、遠く離れた田舎街で生きて行くことを決めた。
その地でミレアは、冒険者のラルフと出会う。
彼との出会いが、ミレアの運命を大きく変えていくのだった。
【完結】ご期待に、お応えいたします
楽歩
恋愛
王太子妃教育を予定より早く修了した公爵令嬢フェリシアは、残りの学園生活を友人のオリヴィア、ライラと穏やかに過ごせると喜んでいた。ところが、その友人から思いもよらぬ噂を耳にする。
ーー私たちは、学院内で“悪役令嬢”と呼ばれているらしいーー
ヒロインをいじめる高慢で意地悪な令嬢。オリヴィアは婚約者に近づく男爵令嬢を、ライラは突然侯爵家に迎えられた庶子の妹を、そしてフェリシアは平民出身の“精霊姫”をそれぞれ思い浮かべる。
小説の筋書きのような、婚約破棄や破滅の結末を思い浮かべながらも、三人は皮肉を交えて笑い合う。
そんな役どころに仕立て上げられていたなんて。しかも、当の“ヒロイン”たちはそれを承知のうえで、あくまで“純真”に振る舞っているというのだから、たちが悪い。
けれど、そう望むのなら――さあ、ご期待にお応えして、見事に演じきって見せますわ。
好きでした、婚約破棄を受け入れます
たぬきち25番
恋愛
シャルロッテ子爵令嬢には、幼い頃から愛し合っている婚約者がいた。優しくて自分を大切にしてくれる婚約者のハンス。彼と結婚できる幸せな未来を、心待ちにして努力していた。ところがそんな未来に暗雲が立ち込める。永遠の愛を信じて、傷つき、涙するシャルロッテの運命はいかに……?
※十章を改稿しました。エンディングが変わりました。
私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。
ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。
しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。
もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが…
そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。
“側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ”
死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。
向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。
深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは…
※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。
他サイトでも同時投稿しています。
どうぞよろしくお願いしますm(__)m
旦那様は離縁をお望みでしょうか
村上かおり
恋愛
ルーベンス子爵家の三女、バーバラはアルトワイス伯爵家の次男であるリカルドと22歳の時に結婚した。
けれど最初の顔合わせの時から、リカルドは不機嫌丸出しで、王都に来てもバーバラを家に一人残して帰ってくる事もなかった。
バーバラは行き遅れと言われていた自分との政略結婚が気に入らないだろうと思いつつも、いずれはリカルドともいい関係を築けるのではないかと待ち続けていたが。
王命により、婚約破棄されました。
緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる