59 / 59
エピローグ
しおりを挟む
ニーソン公爵家に来てから1年が過ぎた。
新しい家族との絆も深まり、幸せな日々を過ごしていた。
良く晴れた日のティータイムに、私とエレイン、エディ様とテッド様の四人でお茶を飲んでいた。
「そういえば、元セルフ先生は今は人が変わった様にオドオドしながら生きていると聞きました。一体、彼女に何があったんでしょうか」
エレインに尋ねられたエディ様は、難しい顔をして答える。
「彼女にはいじめられている立場の人間の苦痛を味わってもらったんだよ。人の心の痛みがわかったみたいで良かった」
「どうやってわからせたんですか?」
今度は私が尋ねてみたけど、エディ様は苦笑するだけで答えてくれない。
すると、テッド様が教えてくれる。
「そういう実験施設があるんです。彼女にはいじめられている人間の役をしてもらったんです。そして、彼女は役を演じている内に、それが自分自身の本来の姿だと思うようになってしまった」
今の彼女は、施設から出ることは出来たけれど、每日、怯えながら暮らしているらしい。
人の心の痛みがわかるようになったのであれば、その気持ちを忘れずに、新たな人生を踏み出してほしいと思う。
でも、かなりのトラウマになっていそうね。
「ねえ、リネ、卒業後の結婚式のことや新婚旅行の話をしたいんだけどいいかな?」
暗い顔をしたからか、エディ様が笑顔で話しかけてくる。
「はい、もちろんです」
「リネのドレスのイメージをデザイナーに描いてもらったんだよ」
そう言って、エディ様は丸テーブルの上に十数枚のラフ画を広げた。
「この中から選べば良いのですね?」
「そうなんだけど、やっぱり全部見たいんだよね」
「だ、駄目です! 無駄遣いにもほどがあります!」
「リネの綺麗な姿を見るのに無駄遣いだなんてことはありえない!」
エディ様がそう断言して、私への愛を力説し始めた。
そんな彼を見て、私は正直な思いを口にする。
「大好きですよ」
「……」
エディさまは話していた口を閉じると、椅子ごとひっくり返ってしまった。
「エディ様!?」
一斉に立ち上がって、倒れたエディ様を見つめる。
「どうしたんですか、エディ様!?」
テッド様がエディ様の上半身を起こして尋ねると、エディ様はふにゃふにゃした笑顔で言う。
「リネが僕を大好きって! もう、死ぬのかな僕」
「死にませんよ」
テッド様が呆れた顔で答えた。
エディ様と結婚しても、シオンが望んでくれる間は、7日ごとにシーラル家に行くことを許してもらっている。
そして、エレインはエディ様の側近になるのではなく、私の侍女として働いてくれることになった。
側近の夢を諦めることになるのは良いのかと尋ねたら、「リネ様にお仕えすることが私の夢になりました」と笑顔で嬉しいことを言ってくれた。
私にとって、エレインは世界で一番素敵な女性の友人だ。
テッド様は予定通り、エディ様の側近になるので、これからも大切なお友達の二人と一緒にいれることになり、本当に幸せだった。
「リネ様、申し訳ございませんが、エディ様を正気に戻してくれませんか?」
困った顔で見つめてくるテッド様に頷く。
「エディ様、やっぱり嫌いになりそうです」
「待って!」
エディ様は勢い良く起き上がると、椅子を綺麗に整え、私の隣に何事もなかったかのように座った。
こんな幸せな日々がこれからも送れますように。
弱かった自分にはもうさよなら。
逃げたくなれば逃げてもいい。
立ち向かわないといけない時は立ち向かう。
この幸せを守るために、新しい自分を育てていくことに決めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後までお読みいただきありがとうございました!
今回は重いテーマになりましたが、お付き合いいただきまして本当に感謝しております。
最初の方でウジウジオドオドしていたヒロインにイライラされた方もいらっしゃると思います。
でも、だからといって多くの方はヒロインを必要以上に責めて、心を傷付けようとしたりしないかなと思っております。
「自分が変わりたい、変えたいと思えば、時間がかかっても、自分は変えられる」「どんな理由であれ人を傷つけて、それを楽しんだりする行為は絶対に良くない。周りの多くの人間は、いじめる側の味方ではない」「逃げることは悪いことではない。自分を追い込んでしまうくらいなら逃げたら良い(死は選んでほしくない)」が私がこの話に詰め込んだものです。
そして、悪いことをした人には、反省すれば救いはあるけれど、反省しないなら……という感じです。
色々な意見があることは承知しております。
上記は私の考えです。
この作品が少しでも心に残るものであれば幸いです。
せっかくなので、番外編でリネとエディのイチャイチャや、エレインとテッドの話も書きたいなとは思っております。
そして、新作を投稿しております!
「残念ながらすべてお見通しです」
になります。
こちらでもお会いできましたら幸いです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
新しい家族との絆も深まり、幸せな日々を過ごしていた。
良く晴れた日のティータイムに、私とエレイン、エディ様とテッド様の四人でお茶を飲んでいた。
「そういえば、元セルフ先生は今は人が変わった様にオドオドしながら生きていると聞きました。一体、彼女に何があったんでしょうか」
エレインに尋ねられたエディ様は、難しい顔をして答える。
「彼女にはいじめられている立場の人間の苦痛を味わってもらったんだよ。人の心の痛みがわかったみたいで良かった」
「どうやってわからせたんですか?」
今度は私が尋ねてみたけど、エディ様は苦笑するだけで答えてくれない。
すると、テッド様が教えてくれる。
「そういう実験施設があるんです。彼女にはいじめられている人間の役をしてもらったんです。そして、彼女は役を演じている内に、それが自分自身の本来の姿だと思うようになってしまった」
今の彼女は、施設から出ることは出来たけれど、每日、怯えながら暮らしているらしい。
人の心の痛みがわかるようになったのであれば、その気持ちを忘れずに、新たな人生を踏み出してほしいと思う。
でも、かなりのトラウマになっていそうね。
「ねえ、リネ、卒業後の結婚式のことや新婚旅行の話をしたいんだけどいいかな?」
暗い顔をしたからか、エディ様が笑顔で話しかけてくる。
「はい、もちろんです」
「リネのドレスのイメージをデザイナーに描いてもらったんだよ」
そう言って、エディ様は丸テーブルの上に十数枚のラフ画を広げた。
「この中から選べば良いのですね?」
「そうなんだけど、やっぱり全部見たいんだよね」
「だ、駄目です! 無駄遣いにもほどがあります!」
「リネの綺麗な姿を見るのに無駄遣いだなんてことはありえない!」
エディ様がそう断言して、私への愛を力説し始めた。
そんな彼を見て、私は正直な思いを口にする。
「大好きですよ」
「……」
エディさまは話していた口を閉じると、椅子ごとひっくり返ってしまった。
「エディ様!?」
一斉に立ち上がって、倒れたエディ様を見つめる。
「どうしたんですか、エディ様!?」
テッド様がエディ様の上半身を起こして尋ねると、エディ様はふにゃふにゃした笑顔で言う。
「リネが僕を大好きって! もう、死ぬのかな僕」
「死にませんよ」
テッド様が呆れた顔で答えた。
エディ様と結婚しても、シオンが望んでくれる間は、7日ごとにシーラル家に行くことを許してもらっている。
そして、エレインはエディ様の側近になるのではなく、私の侍女として働いてくれることになった。
側近の夢を諦めることになるのは良いのかと尋ねたら、「リネ様にお仕えすることが私の夢になりました」と笑顔で嬉しいことを言ってくれた。
私にとって、エレインは世界で一番素敵な女性の友人だ。
テッド様は予定通り、エディ様の側近になるので、これからも大切なお友達の二人と一緒にいれることになり、本当に幸せだった。
「リネ様、申し訳ございませんが、エディ様を正気に戻してくれませんか?」
困った顔で見つめてくるテッド様に頷く。
「エディ様、やっぱり嫌いになりそうです」
「待って!」
エディ様は勢い良く起き上がると、椅子を綺麗に整え、私の隣に何事もなかったかのように座った。
こんな幸せな日々がこれからも送れますように。
弱かった自分にはもうさよなら。
逃げたくなれば逃げてもいい。
立ち向かわないといけない時は立ち向かう。
この幸せを守るために、新しい自分を育てていくことに決めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後までお読みいただきありがとうございました!
今回は重いテーマになりましたが、お付き合いいただきまして本当に感謝しております。
最初の方でウジウジオドオドしていたヒロインにイライラされた方もいらっしゃると思います。
でも、だからといって多くの方はヒロインを必要以上に責めて、心を傷付けようとしたりしないかなと思っております。
「自分が変わりたい、変えたいと思えば、時間がかかっても、自分は変えられる」「どんな理由であれ人を傷つけて、それを楽しんだりする行為は絶対に良くない。周りの多くの人間は、いじめる側の味方ではない」「逃げることは悪いことではない。自分を追い込んでしまうくらいなら逃げたら良い(死は選んでほしくない)」が私がこの話に詰め込んだものです。
そして、悪いことをした人には、反省すれば救いはあるけれど、反省しないなら……という感じです。
色々な意見があることは承知しております。
上記は私の考えです。
この作品が少しでも心に残るものであれば幸いです。
せっかくなので、番外編でリネとエディのイチャイチャや、エレインとテッドの話も書きたいなとは思っております。
そして、新作を投稿しております!
「残念ながらすべてお見通しです」
になります。
こちらでもお会いできましたら幸いです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
317
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!
ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。
同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。
そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。
あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。
「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」
その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。
そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。
正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。
【完結】望んだのは、私ではなくあなたです
灰銀猫
恋愛
婚約者が中々決まらなかったジゼルは父親らに地味な者同士ちょうどいいと言われ、同じ境遇のフィルマンと学園入学前に婚約した。
それから3年。成長期を経たフィルマンは背が伸びて好青年に育ち人気者になり、順調だと思えた二人の関係が変わってしまった。フィルマンに思う相手が出来たのだ。
その令嬢は三年前に伯爵家に引き取られた庶子で、物怖じしない可憐な姿は多くの令息を虜にした。その後令嬢は第二王子と恋仲になり、王子は婚約者に解消を願い出て、二人は真実の愛と持て囃される。
この二人の騒動は政略で婚約を結んだ者たちに大きな動揺を与えた。多感な時期もあって婚約を考え直したいと思う者が続出したのだ。
フィルマンもまた一人になって考えたいと言い出し、婚約の解消を望んでいるのだと思ったジゼルは白紙を提案。フィルマンはそれに二もなく同意して二人の関係は呆気なく終わりを告げた。
それから2年。ジゼルは結婚を諦め、第三王子妃付きの文官となっていた。そんな中、仕事で隣国に行っていたフィルマンが帰って来て、復縁を申し出るが……
ご都合主義の創作物ですので、広いお心でお読みください。
他サイトでも掲載しています。
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
私が、良いと言ってくれるので結婚します
あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。
しかし、その事を良く思わないクリスが・・。
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
クリスティーヌの本当の幸せ
宝月 蓮
恋愛
ニサップ王国での王太子誕生祭にて、前代未聞の事件が起こった。王太子が婚約者である公爵令嬢に婚約破棄を突き付けたのだ。そして新たに男爵令嬢と婚約する目論見だ。しかし、そう上手くはいかなかった。
この事件はナルフェック王国でも話題になった。ナルフェック王国の男爵令嬢クリスティーヌはこの事件を知り、自分は絶対に身分不相応の相手との結婚を夢見たりしないと決心する。タルド家の為、領民の為に行動するクリスティーヌ。そんな彼女が、自分にとっての本当の幸せを見つける物語。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる