人の顔色ばかり気にしていた私はもういません

風見ゆうみ

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エピローグ

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 ニーソン公爵家に来てから1年が過ぎた。
 新しい家族との絆も深まり、幸せな日々を過ごしていた。
 良く晴れた日のティータイムに、私とエレイン、エディ様とテッド様の四人でお茶を飲んでいた。

「そういえば、元セルフ先生は今は人が変わった様にオドオドしながら生きていると聞きました。一体、彼女に何があったんでしょうか」

 エレインに尋ねられたエディ様は、難しい顔をして答える。

「彼女にはいじめられている立場の人間の苦痛を味わってもらったんだよ。人の心の痛みがわかったみたいで良かった」
「どうやってわからせたんですか?」

 今度は私が尋ねてみたけど、エディ様は苦笑するだけで答えてくれない。
 すると、テッド様が教えてくれる。

「そういう実験施設があるんです。彼女にはいじめられている人間の役をしてもらったんです。そして、彼女は役を演じている内に、それが自分自身の本来の姿だと思うようになってしまった」

 今の彼女は、施設から出ることは出来たけれど、每日、怯えながら暮らしているらしい。

 人の心の痛みがわかるようになったのであれば、その気持ちを忘れずに、新たな人生を踏み出してほしいと思う。
 でも、かなりのトラウマになっていそうね。

「ねえ、リネ、卒業後の結婚式のことや新婚旅行の話をしたいんだけどいいかな?」

 暗い顔をしたからか、エディ様が笑顔で話しかけてくる。

「はい、もちろんです」
「リネのドレスのイメージをデザイナーに描いてもらったんだよ」
 
 そう言って、エディ様は丸テーブルの上に十数枚のラフ画を広げた。

「この中から選べば良いのですね?」
「そうなんだけど、やっぱり全部見たいんだよね」
「だ、駄目です! 無駄遣いにもほどがあります!」
「リネの綺麗な姿を見るのに無駄遣いだなんてことはありえない!」
 
 エディ様がそう断言して、私への愛を力説し始めた。
 そんな彼を見て、私は正直な思いを口にする。

「大好きですよ」
「……」

 エディさまは話していた口を閉じると、椅子ごとひっくり返ってしまった。

「エディ様!?」

 一斉に立ち上がって、倒れたエディ様を見つめる。

「どうしたんですか、エディ様!?」

 テッド様がエディ様の上半身を起こして尋ねると、エディ様はふにゃふにゃした笑顔で言う。

「リネが僕を大好きって! もう、死ぬのかな僕」
「死にませんよ」

 テッド様が呆れた顔で答えた。

 エディ様と結婚しても、シオンが望んでくれる間は、7日ごとにシーラル家に行くことを許してもらっている。

 そして、エレインはエディ様の側近になるのではなく、私の侍女として働いてくれることになった。

 側近の夢を諦めることになるのは良いのかと尋ねたら、「リネ様にお仕えすることが私の夢になりました」と笑顔で嬉しいことを言ってくれた。

 私にとって、エレインは世界で一番素敵な女性の友人だ。

 テッド様は予定通り、エディ様の側近になるので、これからも大切なお友達の二人と一緒にいれることになり、本当に幸せだった。

「リネ様、申し訳ございませんが、エディ様を正気に戻してくれませんか?」

 困った顔で見つめてくるテッド様に頷く。

「エディ様、やっぱり嫌いになりそうです」
「待って!」

 エディ様は勢い良く起き上がると、椅子を綺麗に整え、私の隣に何事もなかったかのように座った。

 こんな幸せな日々がこれからも送れますように。
 
 弱かった自分にはもうさよなら。
 逃げたくなれば逃げてもいい。
 立ち向かわないといけない時は立ち向かう。

 この幸せを守るために、新しい自分を育てていくことに決めた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最後までお読みいただきありがとうございました!
今回は重いテーマになりましたが、お付き合いいただきまして本当に感謝しております。

最初の方でウジウジオドオドしていたヒロインにイライラされた方もいらっしゃると思います。
でも、だからといって多くの方はヒロインを必要以上に責めて、心を傷付けようとしたりしないかなと思っております。

「自分が変わりたい、変えたいと思えば、時間がかかっても、自分は変えられる」「どんな理由であれ人を傷つけて、それを楽しんだりする行為は絶対に良くない。周りの多くの人間は、いじめる側の味方ではない」「逃げることは悪いことではない。自分を追い込んでしまうくらいなら逃げたら良い(死は選んでほしくない)」が私がこの話に詰め込んだものです。
そして、悪いことをした人には、反省すれば救いはあるけれど、反省しないなら……という感じです。

色々な意見があることは承知しております。
上記は私の考えです。

この作品が少しでも心に残るものであれば幸いです。
せっかくなので、番外編でリネとエディのイチャイチャや、エレインとテッドの話も書きたいなとは思っております。

そして、新作を投稿しております!

「残念ながらすべてお見通しです」
になります。
こちらでもお会いできましたら幸いです。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


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