【完結】王女殿下に婚約者を奪われた私が隣国の訳あり国王陛下に嫁いだ結果

風見ゆうみ

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9   焦る王女 ※途中視点変更あり

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 ベルノスもまだ詳しいことはわからないが、チモチノモ王国から、近い内に国内が揉める可能性があるため、外交に迷惑をかけるかもしれないという連絡がきたのだと教えてくれた。

(成人したら教えてもらえる話を誕生日パーティーの時にしてもらう予定だけど、このことも含まれているのかしら)

 シアルリアの誕生日まであと10日弱。誕生日を祝うパーティーを行った次の日に結婚する予定だ。結婚式は身内だけでやる予定で、国民には結婚したことは伝えるが、お披露目はもう少し先の話になっている。

「わたしの家族は結婚式に出席できるのでしょうか」
「そこは何とかしてくれると思う。だから心配しなくていい」

 不安そうなシアルリアにブレイズが優しく微笑んだ。ここ最近のブレイズはたまに子供っぽさがなくなり、大人の顔をする時があると、シアルリアは感じていた。

(大人の顔というのがどんなものか説明しろと言われると難しいけれど、会った時の幼さとは違う何かを感じるのよね)

 そう考えることはあっても、本人に問いかけることはなかった。心の傷が癒えてきているのならば、無理やり思い出させて、傷を開きたくない。

「ありがとうございます」

 シアルリアは微笑み返したあと、ベルノスには何か進展があれば教えてほしいと頼み、マロックたちからの手紙の内容について相談した。

「まったく、面倒な方々ですね。今回はシアルリア様からではなく、ブレイズ陛下から返事をしてもらいましょう」
「そっか。手紙をシアに渡してないことにすればいいんだよね。俺が邪魔したってことにすればいいんだ」
「そんな……、ブレイズ陛下を悪者にするわけにはいきません」
「お嫁さんを守るのが夫の務めだ!」

 ブレイズは元気に宣言すると、近くにいたメイドに便せんを持ってくるように伝え、意気揚々と部屋を出て行った


「いいんでしょうか」
「シアルリア様の役に立ちたいと思っておられるのでしょう。格好をつけさせてあげてください」
「……わかりました」

 シアルリアは苦笑してうなずくと、ブレイズを追ってベルノスの執務室から出ていった。

◇◆◇◆◇◆

 早馬で手紙を送ってから、10日が経った頃、エルンのもとにブレイズからの手紙が届いた。

(シアルリアよりもやっぱり私がいいと泣きついてきたのか?)

 エルンは自分が美しいことを自覚していた。だから、多くの男性は自分に夢中になって当たり前だと思っている。マロックしか落とせなかったことは、頭が固い貴族が多いからだと思い込んでいた。
 彼と自分の婚約を喜んでもらえないことは、シアルリアが父に頼み、公爵家の力で押さえつけているのだと思っていた。

(みんな、私のほうが良いはずなのに言えずにいるのは、公爵家に気を遣ってのことなのだろう。特に、チモチノモ王国では浮気は穢わしいことだからな。マロックは親の言いつけよりも私を選んだ。なんて賢い男なんだ)

 メイドに手紙の封を切らせ、内容を読もうとした時、ちょうど頭に思い浮かべていた相手が部屋を訪ねてきた。

「大変です、エルン様!」
「どうした?」

 いつになく焦った表情の彼は、メイドを部屋の外に追い出すと、エルンの両腕をつかむ。

「このままでは退位させられてしまうかもしれないと、ガズク陛下からの伝言です!」
「まさかそんなことはありえない! 大体、どうして伝言なんだ? お父様は今どうしている?」
「先ほど会議が始まって、陛下は出席されているんです!」
「マロック、もし、お父様が退位した場合、私はどうなるんだ?」
「……陛下がどのような待遇になるかはわかりません。もし、幽閉などされることになったらきっと、僕たちも……!」
「幽閉だと!? この私が?」

 エルンはヒステリックに叫ぶと、会議が行われている大広間に向かうために部屋を飛び出した。
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