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第二章 帰ってきた元王女
2 ズキチーケ王国Side
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ノエルファとトーショは駆け落ちしたものの、世間を甘く見ていた。
宿に泊まるにも金は必要であるし、今までのような暮らしが送れるわけがない。追手から逃れるために、トーショは毎日、ノエルファを連れて移動した。
トーショは護衛騎士だったため、剣の実力がある。治安の悪い場所でもノエルファを守ることはできたが、ノエルファがその暮らしに耐えられなかった。
ある日、食べ物を買ってくると言って、トーショは宿屋にノエルファを残して出ていった。
おしゃれもできないし、贅沢どころか、満足に食事をすることもできない。
そんな不満が溜まっていたノエルファは、トーショの荷物の中から金目の物や金銭を奪って逃げ出した。
馬車を借りて、王城まで戻ってきた彼女は、国王に保護を訴えた。
ロゼリアが代わりにレフス王国に行ってからは、はっきり言えば、ザッハにとってノエルファはどうでもいい存在になっていた。ただ、彼女のせいで犠牲になったロゼリアを自由にするために条件付きで助けることにした。
「私はトーショに騙されたんです」
謁見の間に通されたノエルファはザッハにそう訴えた。
着ているワンピースは薄汚れており、さすがのノエルファも疲れ切った顔をしていて、以前のような華やかさはない。
壁際に立つ騎士たちは同情の目を向けているが、ザッハや王妃、そして、官僚たちの対応は冷ややかだった。
「置き手紙からは、そんな風に伝わってはこなかったがな」
「あれはトーショに無理やり書かされたんです!」
ノエルファは呼吸をするように、嘘をつくことが当たり前になっていた。
罪悪感など一つもない。あるのは、自分がつらい思いをしたくないという感情だけだ。
「ロゼリアにも悪いことをしたと思っています。彼女の婚約者を奪っただけでなく、代わりに嫁がせることになってしまった」
不幸になっている自分を考えるだけで、ノエルファはすぐに涙を流すことができた。
大粒の涙が頬を伝い、赤いカーペットに丸いシミを作っていく。
そんな彼女にザッハは冷たい口調で話しかけた。
「どうせ、ざまあみろとでも思っているんだろう?」
「そ、そんなわけがありません!」
本心を見透かされて焦ったが、ノエルファは両手で顔を覆い隠すことで、動揺を悟られないようにした。
彼女の話はロゼリアたちから聞いていたこともあり、ザッハはすぐに演技だと見抜いたが、気づかないふりをした。
「誤解してしまったようで悪かった」
玉座からノエルファを見下ろし、ザッハは彼女に問いかける。
「で、何をしに戻ってきたんだ?」
「ロゼリアとラブック殿下はまだ結婚していないのですよね?」
「そのようだ」
「でしたら、当初の予定通り、私がラブック殿下と結婚いたします!」
ずいぶん勝手なことを言うもんだとザッハは呆れ返ったが、表情には出さない。
「確認してみよう」
ノエルファは先ほどまでの涙はどこへやら、満面の笑みを浮かべてうなずいた。
そんな彼女にザッハは付け加える。
「もし、断られた場合、お前は拘束され、罪を償う覚悟はあるのだろうな」
「……はい?」
罪を犯したという意識が一切ないノエルファは、ぽかんとした顔をして聞き返した。
宿に泊まるにも金は必要であるし、今までのような暮らしが送れるわけがない。追手から逃れるために、トーショは毎日、ノエルファを連れて移動した。
トーショは護衛騎士だったため、剣の実力がある。治安の悪い場所でもノエルファを守ることはできたが、ノエルファがその暮らしに耐えられなかった。
ある日、食べ物を買ってくると言って、トーショは宿屋にノエルファを残して出ていった。
おしゃれもできないし、贅沢どころか、満足に食事をすることもできない。
そんな不満が溜まっていたノエルファは、トーショの荷物の中から金目の物や金銭を奪って逃げ出した。
馬車を借りて、王城まで戻ってきた彼女は、国王に保護を訴えた。
ロゼリアが代わりにレフス王国に行ってからは、はっきり言えば、ザッハにとってノエルファはどうでもいい存在になっていた。ただ、彼女のせいで犠牲になったロゼリアを自由にするために条件付きで助けることにした。
「私はトーショに騙されたんです」
謁見の間に通されたノエルファはザッハにそう訴えた。
着ているワンピースは薄汚れており、さすがのノエルファも疲れ切った顔をしていて、以前のような華やかさはない。
壁際に立つ騎士たちは同情の目を向けているが、ザッハや王妃、そして、官僚たちの対応は冷ややかだった。
「置き手紙からは、そんな風に伝わってはこなかったがな」
「あれはトーショに無理やり書かされたんです!」
ノエルファは呼吸をするように、嘘をつくことが当たり前になっていた。
罪悪感など一つもない。あるのは、自分がつらい思いをしたくないという感情だけだ。
「ロゼリアにも悪いことをしたと思っています。彼女の婚約者を奪っただけでなく、代わりに嫁がせることになってしまった」
不幸になっている自分を考えるだけで、ノエルファはすぐに涙を流すことができた。
大粒の涙が頬を伝い、赤いカーペットに丸いシミを作っていく。
そんな彼女にザッハは冷たい口調で話しかけた。
「どうせ、ざまあみろとでも思っているんだろう?」
「そ、そんなわけがありません!」
本心を見透かされて焦ったが、ノエルファは両手で顔を覆い隠すことで、動揺を悟られないようにした。
彼女の話はロゼリアたちから聞いていたこともあり、ザッハはすぐに演技だと見抜いたが、気づかないふりをした。
「誤解してしまったようで悪かった」
玉座からノエルファを見下ろし、ザッハは彼女に問いかける。
「で、何をしに戻ってきたんだ?」
「ロゼリアとラブック殿下はまだ結婚していないのですよね?」
「そのようだ」
「でしたら、当初の予定通り、私がラブック殿下と結婚いたします!」
ずいぶん勝手なことを言うもんだとザッハは呆れ返ったが、表情には出さない。
「確認してみよう」
ノエルファは先ほどまでの涙はどこへやら、満面の笑みを浮かべてうなずいた。
そんな彼女にザッハは付け加える。
「もし、断られた場合、お前は拘束され、罪を償う覚悟はあるのだろうな」
「……はい?」
罪を犯したという意識が一切ないノエルファは、ぽかんとした顔をして聞き返した。
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