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第五章 初恋の人の正体
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ロゼリアとルディウス、ラブックとノエルファの婚約は、その日のうちに国民にも発表された。
ノエルファの代わりに嫁ぐことになったロゼリアには同情の声も多く、ルディウスとの新たな婚約には概ね好意的だった。
だが、ラブックたちには違った。
『なぜ、自分を拒否して駆け落ちまでした女性を選ぶのか』
『なぜ、立場をわきまえず駆け落ちをしただけでなく、悪びれる様子もない女性を選ぶのか』
大きな声では言えないが、そんな疑問の答えを探す国民たちの声は、発表から三日後には統治する貴族たちによってリンツに報告された。
リンツから呼び出しを受け、彼の執務室で話を聞いたロゼリアは、自分たちの話が受け入れられていることを知り、ほっと胸をなで下ろした。
一緒に呼び出されていたルディウスが、彼女の隣で、リンツに尋ねる。
「王太子の変更についての、国民の反応はどうなのでしょうか」
「そちらも問題ない。ノエルファの評判が悪すぎて、ラブックの信用度もガタ落ちしているからな」
リンツは失笑したあと、すぐに笑みを消してロゼリアを見つめる。
「ロゼリアに確認したいことがある」
「どのようなことでしょうか」
「国民にロゼリアがノエルファの代役をしていたことを発表したいんだが、問題はあるか?」
「私はかまいませんが……」
ズキチーケ王国がどうなるか心配になったロゼリアが言葉を濁した。
過去のこととはいえ、国ぐるみで多くの人をだましていたことになる。
やっぱり私はふさわしくないのかもしれない。
ロゼリアが唇を噛むと、ルディウスが彼女の顔を覗き込んだ。
「当時のノエルファは王女だった。王女に命令されたロゼリアが、良くないことだとわかっていても命令に従わざるを得ないことくらい、みんなわかってくれる」
「……ありがとう」
ルディウスはルディウスで兄と比較されることで嫌な思いをしていた。自分自身が否定されることが、どんな気持ちになるか理解できていただけに、ロゼリアの気持ちにも寄り添ってくれていた。
「お前たちがうまくやれているようで良かった」
リンツは表情を和らげてそう言ったあと、大きなため息を吐いた。
「どうかされましたか?」
「ラブックとノエルファの件だ。ただでさえ、うまくいっていないのに、ロゼリアが今までノエルファの代役をしていたことがわかれば、ラブックが何を言い出すかわからない」
ロゼリアの問いかけに答え、リンツはこめかみを押さえた。
「ロゼリアが初恋の人だったと、やっと気づくんでしょうか」
「たぶんな。そうなった時、ラブックがロゼリアに言い寄る可能性がある。護衛をつけるが、ルディウス、お前も気にかけてくれ」
「承知いたしました」
自分の好きだった相手が私だったとわかったら、ショックを受けるとは思っていたけれど、私に言い寄ってくるかもしれないなんて思いもしなかったわ。
リンツとルディウスの話を聞いて、ロゼリアはそんなことを思った。
自分がノエルファだと嘘をついていたことに引け目はあるが、メイドたちにしたことは許せるものではない。
言い寄られても謝られても心が揺れることはない。それよりも今気になるのは――。
「心配しているわけではないということを前提に質問したいのですが、ノエルファ様とラブック様の婚約が破棄された場合、ノエルファ様はどうなるのでしょうか」
「ズキチーケ王国側に戻す。その後どのような処分をするかはあちら次第だ」
今まではラブックがノエルファを気に入っているために裁くことができずにいた。ラブックからの愛情が失われた時がノエルファの終わりだと、ロゼリアは確信した。
ノエルファの代わりに嫁ぐことになったロゼリアには同情の声も多く、ルディウスとの新たな婚約には概ね好意的だった。
だが、ラブックたちには違った。
『なぜ、自分を拒否して駆け落ちまでした女性を選ぶのか』
『なぜ、立場をわきまえず駆け落ちをしただけでなく、悪びれる様子もない女性を選ぶのか』
大きな声では言えないが、そんな疑問の答えを探す国民たちの声は、発表から三日後には統治する貴族たちによってリンツに報告された。
リンツから呼び出しを受け、彼の執務室で話を聞いたロゼリアは、自分たちの話が受け入れられていることを知り、ほっと胸をなで下ろした。
一緒に呼び出されていたルディウスが、彼女の隣で、リンツに尋ねる。
「王太子の変更についての、国民の反応はどうなのでしょうか」
「そちらも問題ない。ノエルファの評判が悪すぎて、ラブックの信用度もガタ落ちしているからな」
リンツは失笑したあと、すぐに笑みを消してロゼリアを見つめる。
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「国民にロゼリアがノエルファの代役をしていたことを発表したいんだが、問題はあるか?」
「私はかまいませんが……」
ズキチーケ王国がどうなるか心配になったロゼリアが言葉を濁した。
過去のこととはいえ、国ぐるみで多くの人をだましていたことになる。
やっぱり私はふさわしくないのかもしれない。
ロゼリアが唇を噛むと、ルディウスが彼女の顔を覗き込んだ。
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「……ありがとう」
ルディウスはルディウスで兄と比較されることで嫌な思いをしていた。自分自身が否定されることが、どんな気持ちになるか理解できていただけに、ロゼリアの気持ちにも寄り添ってくれていた。
「お前たちがうまくやれているようで良かった」
リンツは表情を和らげてそう言ったあと、大きなため息を吐いた。
「どうかされましたか?」
「ラブックとノエルファの件だ。ただでさえ、うまくいっていないのに、ロゼリアが今までノエルファの代役をしていたことがわかれば、ラブックが何を言い出すかわからない」
ロゼリアの問いかけに答え、リンツはこめかみを押さえた。
「ロゼリアが初恋の人だったと、やっと気づくんでしょうか」
「たぶんな。そうなった時、ラブックがロゼリアに言い寄る可能性がある。護衛をつけるが、ルディウス、お前も気にかけてくれ」
「承知いたしました」
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リンツとルディウスの話を聞いて、ロゼリアはそんなことを思った。
自分がノエルファだと嘘をついていたことに引け目はあるが、メイドたちにしたことは許せるものではない。
言い寄られても謝られても心が揺れることはない。それよりも今気になるのは――。
「心配しているわけではないということを前提に質問したいのですが、ノエルファ様とラブック様の婚約が破棄された場合、ノエルファ様はどうなるのでしょうか」
「ズキチーケ王国側に戻す。その後どのような処分をするかはあちら次第だ」
今まではラブックがノエルファを気に入っているために裁くことができずにいた。ラブックからの愛情が失われた時がノエルファの終わりだと、ロゼリアは確信した。
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