【完結】私はあなたの愛する人ではありません

風見ゆうみ

文字の大きさ
30 / 34
最終章  代わりなんていない 

しおりを挟む
「どうする? 止めさせるか?」
「いいえ。このまま聞いてみましょう。もちろん、両陛下が止めるべきだと判断されたのであれば別ですが」

 呆れ顔のルディウスに尋ねられたロゼリアは、苦笑してリンツたちを見つめた。

 こんな話を聞くことは二度とないだろう。人生経験の一つとして、三人が何を言うのか、ロゼリアは聞いてみたかったのだ。

 世の中には色々な人がいる。だから、普段起こらないような出来事なら経験して、対処できるようにしておきたい。
 そんな気持ちはルディウスだけでなく、リンツたちにも伝わったようだった。

「息子が何を言うのかは気になるし、馬鹿馬鹿しいと後悔することになるかもしれないが、このまま話をさせようと思う」
「私も踏ん切りをつけるいいきっかけになると思うわ」

 シャルロットが首を縦に振ったことを確認し、ロゼリアは三人の話に集中することにした。

「あなたがそんなに気の強い性格だと知っていたら、一緒に駆け落ちしようなんて思いませんでした! あなたのせいで僕の人生は終わりだ!」
「何を言っているの? 私と逃げた時点であなたの人生は終わっているの! 自分で判断したくせに人のせいにしようとするなんて、本当に最低な男ね!」
「猫をかぶっていたんなら、逃げる前に打ち明けてほしかったんです! いや、それだけじゃない。自分一人だけ助かろうとして、僕一人を悪者にしようとしたじゃないですか! 人としてどうかと思います!」

 トーショが叫ぶと、ノエルファが言い返さないうちに、ラブックがトーショを援護する。

「彼の話を聞いていたら悪いのはノエルファだ! ノエルファ! すべて自分が悪かったと謝るんだ! そして、ロゼリアに僕たちが君の被害者だって言うんだ!」

 そんなことを言われても困る……というか、迷惑というか。何といえばいいのか。
 そんなことをする必要はないと伝えるくないのか。
 
 ロゼリアがため息を吐いて立ち上がると、ノエルファが言い返す声が聞こえてきた。

「は? 私がロゼリアにそんなことを言うわけないでしょう? 大体、あなたたち、ロゼリアが許してくれると本気で思っているんですか?」
「うるさい、黙れ!」

 ノエルファが嘲笑うと、ラブックが彼女の頬を打った。
 ノエルファは涙目になり、打たれた頬を押さえて叫ぶ。

「ひ、酷いわ! お父様にも叩かれたことがないのに!」
「言うことを聞かない人間にはお仕置きが必要なんだ!」

 ラブックの言い分を聞いたロゼリアは、聞いていられないとばかりに顔を覆っているシャルロットに話しかける。

「これ以上、話を聞いていても時間の無駄です。私の名前が出ましたから、決着をつけてこようと思います。シャルロット様、辛いかと思われますので、お部屋に戻られてはいかがでしょうか」

 シャルロットは手を顔から離し、意思のこもった眼差しをロゼリアに向ける。

「……いいえ。私は母親であり、王妃なの。王妃としての判断をくだしたいのよ」
「承知いたしました」

 ロゼリアは微笑み、隣の部屋に続く扉に向かって歩き出すと、ルディウスが声をかけた。

「ロゼリア、一人で大丈夫か?」
「もちろんです。ですが、気になるようでしたら一緒に来てくださいますか?」
「一緒に行く」

 立ち上がったルディウスは、扉の前までやって来ると、ロゼリアの代わりに扉を開けた。

しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

もうすぐ婚約破棄を宣告できるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ。そう書かれた手紙が、婚約者から届きました

柚木ゆず
恋愛
《もうすぐアンナに婚約の破棄を宣告できるようになる。そうしたらいつでも会えるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ》  最近お忙しく、めっきり会えなくなってしまった婚約者のロマニ様。そんなロマニ様から届いた私アンナへのお手紙には、そういった内容が記されていました。  そのため、詳しいお話を伺うべくレルザー侯爵邸に――ロマニ様のもとへ向かおうとしていた、そんな時でした。ロマニ様の双子の弟であるダヴィッド様が突然ご来訪され、予想だにしなかったことを仰られ始めたのでした。

婚約者様。現在社交界で広まっている噂について、大事なお話があります

柚木ゆず
恋愛
 婚約者様へ。  昨夜参加したリーベニア侯爵家主催の夜会で、私に関するとある噂が広まりつつあると知りました。  そちらについて、とても大事なお話がありますので――。これから伺いますね?

どうやらこのパーティーは、婚約を破棄された私を嘲笑うために開かれたようです。でも私は破棄されて幸せなので、気にせず楽しませてもらいますね

柚木ゆず
恋愛
 ※今後は不定期という形ではありますが、番外編を投稿させていただきます。  あらゆる手を使われて参加を余儀なくされた、侯爵令嬢ヴァイオレット様主催のパーティー。この会には、先日婚約を破棄された私を嗤う目的があるみたいです。  けれど実は元婚約者様への好意はまったくなく、私は婚約破棄を心から喜んでいました。  そのため何を言われてもダメージはなくて、しかもこのパーティーは侯爵邸で行われる豪華なもの。高級ビュッフェなど男爵令嬢の私が普段体験できないことが沢山あるので、今夜はパーティーを楽しみたいと思います。

捨てられた令嬢と、選ばれなかった未来

鍛高譚
恋愛
「君とは釣り合わない。だから、僕は王女殿下を選ぶ」 婚約者アルバート・ロンズデールに冷たく告げられた瞬間、エミリア・ウィンスレットの人生は暗転した。 王都一の名門公爵令嬢として慎ましくも誠実に彼を支えてきたというのに、待っていたのは無慈悲な婚約破棄――しかも相手は王女クラリッサ。 アルバートと王女の華やかな婚約発表の裏で、エミリアは社交界から冷遇され、"捨てられた哀れな令嬢"と嘲笑される日々が始まる。 だが、彼女は決して屈しない。 「ならば、貴方たちが後悔するような未来を作るわ」 そう決意したエミリアは、ある人物から手を差し伸べられる。 ――それは、冷静沈着にして王国の正統な後継者、皇太子アレクシス・フォルベルト。 彼は告げる。「私と共に来い。……君の聡明さと誇りが、この国には必要だ」

嘘つきな貴方を捨てさせていただきます

梨丸
恋愛
断頭台に上がった公爵令嬢フレイアが最期に聞いた言葉は最愛の婚約者の残忍な言葉だった。 「さっさと死んでくれ」 フレイアを断頭台へと導いたのは最愛の婚約者だった。 愛していると言ってくれたのは嘘だったのね。 嘘つきな貴方なんて、要らない。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。) 11/27HOTランキング5位ありがとうございます。 ※短編と長編の狭間のような長さになりそうなので、短編にするかもしれません。 1/2累計ポイント100万突破、ありがとうございます。 完結小説ランキング恋愛部門8位ありがとうございます。

殿下、妃殿下。貴方がたに言われた通り、前世の怨みを晴らしに来ましたよ

柚木ゆず
恋愛
「そんなに許せないのなら、復讐しに来るといいですわ。来世で」 「その日を楽しみに待っているぞ、はははははははははっ!」  濡れ衣をかけられ婚約者ヴィクトルと共に処刑されてしまった、ミリヤ・アリネス。  やがてミリヤは伯爵家令嬢サーヤとして生まれ変わり、自分達を嵌めた2人への復讐を始めるのでした。

幼馴染最優先の婚約者に愛想が尽きたので、笑って家出しました ― 笑顔で去っただけなのに、なぜ泣いているのですか

ラムネ
恋愛
侯爵令嬢リオナは、婚約者アルベルトが「幼馴染が可哀想だから」と約束を破り続ける日々に耐えていた。領地再建の帳簿も契約も、実はリオナが陰で支えていたのに、彼は「君は強いから」と当然のように扱う。決定的な侮辱の夜、リオナは怒らず泣かず、完璧な笑顔で婚約指輪だけを返して屋敷を去った――引継ぎは、何一つ残さずに。 翌日から止まる交易、崩れる資金繰り、露出する不正。追いすがるアルベルトを置き去りに、リオナは王立監査院の臨時任官で辺境へ。冷徹と噂される監察騎士レオンハルトと共に、数字と契約で不正を断ち、交易路を再生していく。 笑顔で去っただけなのに、泣くのは捨てた側だった。

「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。 誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。 無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。 ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。 「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。 アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。 そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?! ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています

処理中です...