【完結】婚約破棄された貧乏子爵令嬢ですが、王太子殿下に溺愛されています

風見ゆうみ

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番外編

ポスティム公爵令嬢のその後

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 王太子妃候補から除外されてしまったカーラは、泣く泣くポスティム公爵家に戻ることになった。
 休暇期間ということもあって気が緩んでいたこともあったし、自分でも馬鹿なことをしたという思いは、別邸から家に戻る道中で湧き上がっていた。
 それでも、自分の非が認められないのは相手が子爵令嬢だということだった。

(どうすれば良かったのよ。あんな女が王太子妃候補になるだなんて認めることはできないでしょう)

 公爵令嬢が子爵令嬢に負けるだなんてありえないというプライドが優先されてしまい、何もしなければ勝てていたかもしれないということが、彼女の頭の中からすっかり抜け落ちていた。

 家に戻った頃には夕方近くになっており、長時間の移動で疲れ切っていたカーラは、両親に挨拶をしたあと、自室でゆっくりしようと考えた。

 メイドに連れられて、まずは父の執務室に向かった。
 許可を得て執務室の中に入ると、いつもならばカーラが帰ってくると明るく出迎えてくれる父の表情は、今までに見たことがないくらいに厳しいものになっていた。

「お父様、どうかなさったのですか」
「どうかしたかだと? それはお前のほうだろう!」

 カーラの父であるポスティム公爵は執務室の椅子から立ち上がると、机の隅に置かれていた紙を一枚手に取って、彼女の前まで歩いてきた。

「読みなさい」
「……はい」

 不穏な空気を感じつつ、カーラは父から手紙を受け取り、内容に目を通すと声にならない声を上げて、自分の父親を見つめた。

「そこに行って自分のやったことを見つめ直しなさい」
「そんな! わたくしはそこまで悪いことをしていませんわ!」
「そういうことを言うことがおかしいと言っているんだ。普通の人間でさえ考えないことを公爵令嬢であるお前がやったんだ。貴族の間で笑いものになっているということがわからないのか!」
「でも、そんな、ここまでしなくても良いではないですか!」

 修道院にカーラを預けるという文言が書かれた紙を放り投げて、カーラはポスティム公爵にしがみつく。

「嫌です、お父様! 王太子妃候補になれなかったからって、修道院に行けだなんてあんまりです!」
「王太子妃になれなかったから行けと言っているんじゃない。他の王太子妃候補に迷惑をかけるような真似をしたことが駄目だと言っているんだ!」
「だって、お父様! わたくしは公爵令嬢ですわよ!?」
「修道院に行けば、もうお前は公爵令嬢ではない。お前がそんな考え方になってしまうまで甘やかしてしまった私が悪いことも確かだ。だから、二度と帰ってくるなとは言わない。お前が自分のしたことがどれだけ愚かなことだったかわかるようになれば戻ってくる許可を出そう」
「嫌です、お父様!」

 カーラは泣き叫んだが、ポスティム公爵は聞き入れる様子はなく、近くにあったベルを鳴らした。
 すると、少ししてからカーラが見たことのない中年の男性が執務室に現れた。

「カーラ、見なさい。お前のせいで執事が代わったんだ」
「……それはっ」

 さすがのカーラも自分には関係ないと口には出せずに言葉をつまらせた。
 そんな彼女を一瞥したあと、ポスティム公爵は新しい執事に指示をする。

「娘を修道院に連れて行く手配をしてくれ」
「承知いたしました。それではお嬢様、こちらにいらしていただけますか」

 感情が一切見えない表情で、執事はカーラを促した。

「い……、いや、です。行きたく……ありません」
「ワガママを言うな! 行け!」
「絶対に嫌です!」

 ポスティム公爵に一喝されたカーラは泣きながら部屋を飛び出した。

(修道院になんて行きたくないわ! 逃げなくては! どうして、わたくしがこんな目に遭わなければならないの!?)

 そう思ったカーラだったが、すぐに屋敷内にいた騎士に捕まり、修道院に連れて行かれることになったのだった。

 
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