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20 スニッチからもらったもの
男性は一通り話終えると、自分のことはスニッチと呼んでくれといった。
そして、お近づきの印にもう一つと言って、とあるものを私たちに渡して去っていった。
スニッチが執事と共に城から出ていくのを見送った私たちは、改めて話し合うことにした。
私の部屋に移動して、ソファに並んで座ったところで気が緩み、私たちは同時に大きく息を吐いた。
お互いに苦笑し合ってから、私のほうが先に尋ねる。
「……リュカはどうするつもりなの? スニッチを味方に引き入れるつもり?」
「まずは父上に頼んで、スニッチのことを調べてもらうよ。だけど、あっちも一応はプロだろうし、中々、尻尾をつかませないだろうな。ただ、あいつが腕利きなら、こちらの味方にしておいたほうが良いかなとも思う。敵にとられるよりマシだろう」
「信用できるかといえばできないと思うけど」
「金で動く奴のほうが、ある意味わかりやすいよ」
「王家よりもお金を出せる人はそうはいないものね」
感情論で動く人なら、いつでも裏切る可能性はある。
だけど、お金で動く人はお金が切れない限り、裏切ることはそうないはず。
向こうも敵は多く作りたくないでしょうし、王家よりも金蔓になるところはないでしょう。
スニッチとはレイクウッドのこと以外でも話をしていて、そのことを思い出しながら、リュカに言う。
「自分の命が危ない時にしか人殺しはしないって言ってたし、めちゃくちゃ悪い人って訳ではなさそうだけど良い人でもないわよね」
「そうだな。大体、リリーはあいつに嫌な思いをさせられたんだろう」
「そう言われればそうだったわ」
私が不服そうにすると、リュカは苦笑する。
「リリーはアイツを雇うのは反対か?」
「反対ではないけれど、もっとちゃんと調べてからにしないと駄目よ。相手のスパイだってこともありえるんだから。それに、両陛下の許可も取らなきゃ」
「それはわかってる。大事なことだから勝手に決めたりしない。ちゃんと話はするから安心してくれ」
リュカは一度言葉を区切ったあと、スニッチからもらったものを見つめて話を続ける。
「ザライスの件は時間がかかりそうだし、先にリリーの問題のほうを片付けることにしようか」
リュカがレイクウッドのことを後回しにしようとする気持ちがわからないわけでもない。
でも、モヤモヤするくらいなら早くに終わらせたほうが良い。
そう思った私は厳しい口調でリュカに言う。
「駄目よ、リュカ。レイクウッドの件を先に片付けましょう。あなたの彼に対する処分が甘くても、私は何も言わない。だから、逃げないで。一緒に戦うって約束したでしょう? 昔のあなたには彼しか信じられる人がいなかったのかもしれない。でも、あなたはレイクウッドに裏切られたのに、まだ、彼を信じたいの? 今のあなたには私がいるのに!」
「……そうだよな。こんなことで迷ってちゃ駄目だよな。俺は王太子なんだから」
「王太子だからとか関係ないわ。やらなくちゃいけないことよ。リュカがレイクウッドと話をする時は私も一緒にいるわ。だけど、よっぽどじゃないと口出しはしない。だって、これはあなたの戦いだから。……って、私もクソ野郎の件はあなたに頼ろうとしているから駄目なのかしら」
ハッとなって言うと、リュカは優しい笑みを浮かべて、私の頬にかかった髪を後ろにはらってから答える。
「ザライスには自分の口から言うつもりだけど、俺が困ってたら、その時は助けてくれよ」
「もちろんよ。お母さまが言ってたわ。支え合える夫婦関係を築きなさいって。私たちはまだ夫婦ではないけど、いつか夫婦になるなら、今からでも支え合わなくちゃ」
笑顔で言うと、リュカは照れくさそうにしたあと「良いお母様だな」と言って微笑んだ。
「ええ、そうよ。それに私の両親は支え合ってるから仲が良いの」
「そうだな。俺たちも支え合っていこう」
その後、私とリュカは行動を別にすることになった。
この日は、私はエマ様から着せ替え人形になることを所望されていたからだ。
それにリュカのほうは国王陛下に会い、諜報部隊にレイクウッドの妹のことやスニッチについて調べてもらう様にお願いしなければならかった。
スニッチについては、情報屋を密かに雇いたいけれど、どの人物が良いかと相談する方向で持っていくとリュカは言っていた。
レイクウッドとは夕方に話をすると言うことになり、それまでの私はエマ様と一緒にいたり、一人になったりと自由に過ごしていた。
そして夕方、約束の時間に、わたしはスニッチからもらったものを持って、リュカのいる執務室に向かった。
そして、お近づきの印にもう一つと言って、とあるものを私たちに渡して去っていった。
スニッチが執事と共に城から出ていくのを見送った私たちは、改めて話し合うことにした。
私の部屋に移動して、ソファに並んで座ったところで気が緩み、私たちは同時に大きく息を吐いた。
お互いに苦笑し合ってから、私のほうが先に尋ねる。
「……リュカはどうするつもりなの? スニッチを味方に引き入れるつもり?」
「まずは父上に頼んで、スニッチのことを調べてもらうよ。だけど、あっちも一応はプロだろうし、中々、尻尾をつかませないだろうな。ただ、あいつが腕利きなら、こちらの味方にしておいたほうが良いかなとも思う。敵にとられるよりマシだろう」
「信用できるかといえばできないと思うけど」
「金で動く奴のほうが、ある意味わかりやすいよ」
「王家よりもお金を出せる人はそうはいないものね」
感情論で動く人なら、いつでも裏切る可能性はある。
だけど、お金で動く人はお金が切れない限り、裏切ることはそうないはず。
向こうも敵は多く作りたくないでしょうし、王家よりも金蔓になるところはないでしょう。
スニッチとはレイクウッドのこと以外でも話をしていて、そのことを思い出しながら、リュカに言う。
「自分の命が危ない時にしか人殺しはしないって言ってたし、めちゃくちゃ悪い人って訳ではなさそうだけど良い人でもないわよね」
「そうだな。大体、リリーはあいつに嫌な思いをさせられたんだろう」
「そう言われればそうだったわ」
私が不服そうにすると、リュカは苦笑する。
「リリーはアイツを雇うのは反対か?」
「反対ではないけれど、もっとちゃんと調べてからにしないと駄目よ。相手のスパイだってこともありえるんだから。それに、両陛下の許可も取らなきゃ」
「それはわかってる。大事なことだから勝手に決めたりしない。ちゃんと話はするから安心してくれ」
リュカは一度言葉を区切ったあと、スニッチからもらったものを見つめて話を続ける。
「ザライスの件は時間がかかりそうだし、先にリリーの問題のほうを片付けることにしようか」
リュカがレイクウッドのことを後回しにしようとする気持ちがわからないわけでもない。
でも、モヤモヤするくらいなら早くに終わらせたほうが良い。
そう思った私は厳しい口調でリュカに言う。
「駄目よ、リュカ。レイクウッドの件を先に片付けましょう。あなたの彼に対する処分が甘くても、私は何も言わない。だから、逃げないで。一緒に戦うって約束したでしょう? 昔のあなたには彼しか信じられる人がいなかったのかもしれない。でも、あなたはレイクウッドに裏切られたのに、まだ、彼を信じたいの? 今のあなたには私がいるのに!」
「……そうだよな。こんなことで迷ってちゃ駄目だよな。俺は王太子なんだから」
「王太子だからとか関係ないわ。やらなくちゃいけないことよ。リュカがレイクウッドと話をする時は私も一緒にいるわ。だけど、よっぽどじゃないと口出しはしない。だって、これはあなたの戦いだから。……って、私もクソ野郎の件はあなたに頼ろうとしているから駄目なのかしら」
ハッとなって言うと、リュカは優しい笑みを浮かべて、私の頬にかかった髪を後ろにはらってから答える。
「ザライスには自分の口から言うつもりだけど、俺が困ってたら、その時は助けてくれよ」
「もちろんよ。お母さまが言ってたわ。支え合える夫婦関係を築きなさいって。私たちはまだ夫婦ではないけど、いつか夫婦になるなら、今からでも支え合わなくちゃ」
笑顔で言うと、リュカは照れくさそうにしたあと「良いお母様だな」と言って微笑んだ。
「ええ、そうよ。それに私の両親は支え合ってるから仲が良いの」
「そうだな。俺たちも支え合っていこう」
その後、私とリュカは行動を別にすることになった。
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