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49 あなたと出会えたから②
テレサが捕まった数日後の昼過ぎ、王城の応接室のソファに私とリュカ、スニッチが並んで座っていた。
そして、テーブルを挟んだ向かい側にリュディガー殿下とソフィー様が座っている。
「リュカ殿下、リュディガーが憎いのかもしれませんが、ティナ殿下の件にリュディガーが関わっているだなんてあんまりです!」
金色の髪に緑色の瞳。
肌は陶器のように白く、鼻筋の通った小顔の美人であるソフィー様は向かいに座っているリュカに叫んだ。
リュディガー殿下はリュカにも国王陛下にもあまり似ておらず、病弱のせいなのか、それとも自分のやっていたことが明るみになったと怯えているのか、顔色が悪かった。
リュディガー殿下は身長は低くやせ細り、頬も少しこけている。
金色のストレート髪は全体的に少し長めだけれど、特に前髪が長くて目が隠れてしまっている。
ティナ様から聞いていた印象とは違い、とても大人しそうで行動力があるような人には見えない。
それだけ、ティナ様のことが好きだったのかしら。
「証言があるから言っているんです。兄さん、あなたが殺人未遂に関わっているかは知りません。でも、ティナ様を好きだったことは間違いないのでしょう」
リュカが尋ねると、リュディガー殿下は身を縮こまらせて俯いた。
スニッチの調べではリュディガー殿下はティナ様を諦められない気持ちはあったけれど、殺害しようとまでは考えていないとされている。
そのような人間と接触した様子が見られないからだし、犯人もわかっている。
ティナ様への付きまとい行為はリュディガー殿下は表向きには療養に行くと言って出かけていたらしい。
エマ様たちはソフィー様たちに負い目もあることと、リュディガー殿下のことを陛下の子供であると信じることにしていたから、療養に出かけることについては何も言わなかったらしい。
当時、ティナ様が気づいていないだけで、リュディガー殿下は気配を消して、カフェでティナ様の席の近くに座ったりしていたんだと、陛下の諜報部隊から報告は受けていたそうだ。
ティナ様の事件が起こった時は、エマ様たちはリュディガー殿下のことについて謝りに行っていたらしい。
もちろん、リュディガー殿下には付きまとい行為をやめなければ処罰すると警告したので、最近は大人しくしていたみたい。
リュカに話していなかったのは兄弟仲を壊してはいけないと思い、折を見て話そうと思っていたとのことだった。
自分の兄が付きまとい行為をしていたなんて知ったら、どう接すれば良いかわからなくなるものね。
今まで通り接するのか、それとも距離を置くのか、リュカが悩まないといけなくなる。
「兄さん、答えてください」
「す、好きだったよ。今も好きだ。でも、彼女を守れなかった僕に彼女に近づく権利なんてない。それに怒られるし」
リュディガー殿下はぼそぼそと小さな声で言った。
すると、ソフィー様が優しく声を掛ける。
「リュディガー、あなたは何も悪くないわ」
「そうですよねぇ。ティナ様を襲撃した事件に関わっているのは、あなたですからねぇ」
黙っていられなくなったのか、スニッチが笑顔で話を続ける。
「リュカ殿下がいる限り、リュディガー殿下は日の目を見ることができません。腹立たしいことに、リュカ殿下は見た目が良いですから国民の人気もある」
「王族に見た目は関係ないわ!」
「そのことでお聞きしたいのですが」
話しかけると、ソフィー様は私を睨みつけてくる。
「あなたのせいで……!」
「私のせいで、なんでしょうか? 私がいなければリュカはあの場に行き、ティナ様は殺され、リュカに冤罪を着せることができたとでも言いたいのでしょうか」
「ち、違うわ!」
「では、どういう意味なのでしょう」
焦った声を上げるソフィー様に尋ねた。
すると、引きつった笑みを浮かべて答えてくれる。
「八つ当たりしてしまっただけよ」
「そうでしたか。では、話を元に戻してもよろしいでしょうか」
「……どうぞ」
「ソフィー様はタッチャ伯爵令息、現在のタッチャ伯爵とはお知り合いですわよね?」
タッチャという名前が出た瞬間、ソフィー様は動揺するかのように目を見開いた。
そして、テーブルを挟んだ向かい側にリュディガー殿下とソフィー様が座っている。
「リュカ殿下、リュディガーが憎いのかもしれませんが、ティナ殿下の件にリュディガーが関わっているだなんてあんまりです!」
金色の髪に緑色の瞳。
肌は陶器のように白く、鼻筋の通った小顔の美人であるソフィー様は向かいに座っているリュカに叫んだ。
リュディガー殿下はリュカにも国王陛下にもあまり似ておらず、病弱のせいなのか、それとも自分のやっていたことが明るみになったと怯えているのか、顔色が悪かった。
リュディガー殿下は身長は低くやせ細り、頬も少しこけている。
金色のストレート髪は全体的に少し長めだけれど、特に前髪が長くて目が隠れてしまっている。
ティナ様から聞いていた印象とは違い、とても大人しそうで行動力があるような人には見えない。
それだけ、ティナ様のことが好きだったのかしら。
「証言があるから言っているんです。兄さん、あなたが殺人未遂に関わっているかは知りません。でも、ティナ様を好きだったことは間違いないのでしょう」
リュカが尋ねると、リュディガー殿下は身を縮こまらせて俯いた。
スニッチの調べではリュディガー殿下はティナ様を諦められない気持ちはあったけれど、殺害しようとまでは考えていないとされている。
そのような人間と接触した様子が見られないからだし、犯人もわかっている。
ティナ様への付きまとい行為はリュディガー殿下は表向きには療養に行くと言って出かけていたらしい。
エマ様たちはソフィー様たちに負い目もあることと、リュディガー殿下のことを陛下の子供であると信じることにしていたから、療養に出かけることについては何も言わなかったらしい。
当時、ティナ様が気づいていないだけで、リュディガー殿下は気配を消して、カフェでティナ様の席の近くに座ったりしていたんだと、陛下の諜報部隊から報告は受けていたそうだ。
ティナ様の事件が起こった時は、エマ様たちはリュディガー殿下のことについて謝りに行っていたらしい。
もちろん、リュディガー殿下には付きまとい行為をやめなければ処罰すると警告したので、最近は大人しくしていたみたい。
リュカに話していなかったのは兄弟仲を壊してはいけないと思い、折を見て話そうと思っていたとのことだった。
自分の兄が付きまとい行為をしていたなんて知ったら、どう接すれば良いかわからなくなるものね。
今まで通り接するのか、それとも距離を置くのか、リュカが悩まないといけなくなる。
「兄さん、答えてください」
「す、好きだったよ。今も好きだ。でも、彼女を守れなかった僕に彼女に近づく権利なんてない。それに怒られるし」
リュディガー殿下はぼそぼそと小さな声で言った。
すると、ソフィー様が優しく声を掛ける。
「リュディガー、あなたは何も悪くないわ」
「そうですよねぇ。ティナ様を襲撃した事件に関わっているのは、あなたですからねぇ」
黙っていられなくなったのか、スニッチが笑顔で話を続ける。
「リュカ殿下がいる限り、リュディガー殿下は日の目を見ることができません。腹立たしいことに、リュカ殿下は見た目が良いですから国民の人気もある」
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「ち、違うわ!」
「では、どういう意味なのでしょう」
焦った声を上げるソフィー様に尋ねた。
すると、引きつった笑みを浮かべて答えてくれる。
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「そうでしたか。では、話を元に戻してもよろしいでしょうか」
「……どうぞ」
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