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12 使者の正体
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義父たちの形見のブローチが入っていた箱は手のひらよりも少し小さいサイズの白い小箱だ。現れたのフララさんの右手の指には、見覚えのある白い箱がぶら下がっている。
部屋の鍵はかけていたけれど、マスターキーがあるため意味がないことはわかっていたからやったことだ。
まだ出て行ってもいないのに、人の部屋に侵入したのね……。
「何なんだ」
使者の眉間にシワが入った時、私は彼が誰に似ているかわかった。
「あ、あの」
声を掛けると、使者はにこりと微笑む。
「これは失礼いたしました。ところで、彼女はどなたですか?」
「……義妹のフララさんです」
「指に変わったアクセサリーを付けていらっしゃいますね」
「あれは箱です」
律儀に答えると、蚊帳の外になっていたフララさんが叫ぶ。
「ミアリナ様! 一体何をしたんですか!? この箱、指にくっついて取れないんですけど!」
「えっと、どういうことでしょうか」
小首を傾げて聞き返すと、フララさんは可愛らしい顔を歪めて訴える。
「箱の中身を確認しようとしたら、指がくっついて離れないんですよ! どうしてこんな嫌がらせをしたんですか!」
「その箱はどこにあったのかしら」
「え? あ……、その、廊下に落ちていたんですけど」
さすがに私の部屋に入ったとは言えないらしい。
私の質問に、フララさんは目を泳がせて答えた。
そんな答えで納得するはずがないでしょう。
「廊下に落ちていたのなら、私のものだとは言い切れませんよね」
「で、でも、ミアリナ様の部屋の前に落ちていたし、ミアリナ様だってこの箱を知っているでしょう?」
「たしかにその白い箱に見覚えはありますが、ドレッサーの上に置いておいたものですが?」
「でも、廊下に落ちていたんです!」
「どうしたら、その白い箱が鍵のかかった扉を開けて廊下に冒険に出たのか教えていただきたいわ。誰かが持ち出したと言うのであれば、その人を見つけてはいかが? 少なくとも私は、その白い箱を廊下に落としてはいないから」
にっこりと微笑みはしたものの、箱を粗末に扱ってしまい、心の中では義父たちに申し訳ない気持ちで一杯だった。
「この液体を使うと良いですよ」
そう言って使者は薄い青色の液体を私に手渡した。
早く話を終わらせろということでしょう。
「ありがとうございます」
液体の入った小瓶を受け取って、フララさんに近づく。
マニキュアのように刷毛でフララさんの指と箱の間に液体を塗っていくと、綺麗に分離させることができた。
「すごいわ! あなたは命の恩人ですっ!」
私にお礼を言うわけもなく、フララさんが目を輝かせて使者に言うと、使者は笑顔で答える。
「私は何もしていません。ビレディ侯爵夫人、急ぎましょう」
「承知いたしました」
歩き出すと、フララさんが追いかけてきて使者を上目遣いで見つめる。
「あの……っ、せめてお名前だけでも教えていただけませんか?」
「忙しいので失礼します」
使者は笑顔で答えると、待たせていた馬車の中に私を乗せたあと、自分も乗り込んだ。
馬車の中には私と使者しかいない状態で馬車が動き出すと、私は早速、向かいに座った人物に尋ねる。
「……あの、ラフリード様、一体どういうことなのです?」
「よくわかったな」
ラフリード様はそう言って眼鏡を外すと、私を睨みつけて……、いや、見つめて言った。
そして、この時に彼がいつも不機嫌そうに見える理由がわかった。
近視の場合、目を細めるとぼやけていたものに焦点が合って見えやすくなる。
ラフリード様は目つきが悪いのではなくて、人の顔を見るために目を細めていただけだったのだ。
部屋の鍵はかけていたけれど、マスターキーがあるため意味がないことはわかっていたからやったことだ。
まだ出て行ってもいないのに、人の部屋に侵入したのね……。
「何なんだ」
使者の眉間にシワが入った時、私は彼が誰に似ているかわかった。
「あ、あの」
声を掛けると、使者はにこりと微笑む。
「これは失礼いたしました。ところで、彼女はどなたですか?」
「……義妹のフララさんです」
「指に変わったアクセサリーを付けていらっしゃいますね」
「あれは箱です」
律儀に答えると、蚊帳の外になっていたフララさんが叫ぶ。
「ミアリナ様! 一体何をしたんですか!? この箱、指にくっついて取れないんですけど!」
「えっと、どういうことでしょうか」
小首を傾げて聞き返すと、フララさんは可愛らしい顔を歪めて訴える。
「箱の中身を確認しようとしたら、指がくっついて離れないんですよ! どうしてこんな嫌がらせをしたんですか!」
「その箱はどこにあったのかしら」
「え? あ……、その、廊下に落ちていたんですけど」
さすがに私の部屋に入ったとは言えないらしい。
私の質問に、フララさんは目を泳がせて答えた。
そんな答えで納得するはずがないでしょう。
「廊下に落ちていたのなら、私のものだとは言い切れませんよね」
「で、でも、ミアリナ様の部屋の前に落ちていたし、ミアリナ様だってこの箱を知っているでしょう?」
「たしかにその白い箱に見覚えはありますが、ドレッサーの上に置いておいたものですが?」
「でも、廊下に落ちていたんです!」
「どうしたら、その白い箱が鍵のかかった扉を開けて廊下に冒険に出たのか教えていただきたいわ。誰かが持ち出したと言うのであれば、その人を見つけてはいかが? 少なくとも私は、その白い箱を廊下に落としてはいないから」
にっこりと微笑みはしたものの、箱を粗末に扱ってしまい、心の中では義父たちに申し訳ない気持ちで一杯だった。
「この液体を使うと良いですよ」
そう言って使者は薄い青色の液体を私に手渡した。
早く話を終わらせろということでしょう。
「ありがとうございます」
液体の入った小瓶を受け取って、フララさんに近づく。
マニキュアのように刷毛でフララさんの指と箱の間に液体を塗っていくと、綺麗に分離させることができた。
「すごいわ! あなたは命の恩人ですっ!」
私にお礼を言うわけもなく、フララさんが目を輝かせて使者に言うと、使者は笑顔で答える。
「私は何もしていません。ビレディ侯爵夫人、急ぎましょう」
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歩き出すと、フララさんが追いかけてきて使者を上目遣いで見つめる。
「あの……っ、せめてお名前だけでも教えていただけませんか?」
「忙しいので失礼します」
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「……あの、ラフリード様、一体どういうことなのです?」
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ラフリード様はそう言って眼鏡を外すと、私を睨みつけて……、いや、見つめて言った。
そして、この時に彼がいつも不機嫌そうに見える理由がわかった。
近視の場合、目を細めるとぼやけていたものに焦点が合って見えやすくなる。
ラフリード様は目つきが悪いのではなくて、人の顔を見るために目を細めていただけだったのだ。
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