インスタントガールフレンド

クレハ@WME

文字の大きさ
36 / 44

35話

しおりを挟む
35話

「梨花!?」

「うんっ!お兄ちゃんっ!久しぶりっ!」

「おう。で、そこの子は?」

妹の横には小さな男の子がいた。

「あ、えっと、二宮さんの友達の天草昨夜です。宜しくお願いします」

こんなに小さいのにしっかりしてるな。小学校高学年くらいだよな?

「おう。よろしくね。で、なにしてたの?」

「今日はこいつに誘われて映画に来ただけだよ」

「そっかー。じゃ、またな」

「うんっ!またねっ!」

なんだ。あいつもいい子いるじゃん。よかった。

「で、なに見ようか」

「うーん」

今公開されてるのは、よくわからないアニメの実写化のやつと、ミステリーホラー系のやつと、恋愛系のがあった。

「士郎あのさ、……恋愛系の見ない?」

「いいよっ!」

そして、僕らは恋愛系のを見ることになりチケットを買う。席は後ろの方の真ん中。

「よし、次まで結構時間あるねっ!横にあるゲームセンターにでもいく?」

「いいよーっ!」

そして、ゲームセンターの中に入る。

中にはクレーンゲームや車のゲームやプリクラなどがある。

「あ、これかわいいっ!」

と言って目の前にあったクレーンゲームの景品に食いつく白崎さん。

「くまのやつ?」

「うんっ!」

よし、ここは取っていいところを見せてやろうっ!

「待っててねー」

と、言って100円玉を取り出しクレーンゲームに挑戦する。

「士郎ってクレーンゲーム得意なの?」

「いや、別にー」

「じゃ、なんで取ってくれるの?」

「え?なんでって……好きだからかな?白崎さんの事が好きだから。これだけじゃだめ?」

「………そ、そっか」

白崎さんは俯いてしまう。

あれ?選択を間違えた?

小さいストラップゆえ、簡単に取れた。

「はい。白崎さん」

ストラップを僕は白崎さんに渡す。

「あ、ありがとう……」

士郎くんってこんなに素直に物を言えたっけ?な、なんかかっこいいな。

「あれ?どうしたの?白崎さん」

「ふぇ?い、いや、なんでもないよっ!」

どうしたんだろう?なんか様子がおかしい気がする。

な、なんで!?士郎の顔を直視できない……なんか、顔が歪んじゃうよ…

「あ、やばい!しかりんっ!映画があと少しで始まっちゃうっ!」

「あ、う、うんっ!」

そして、僕らは映画館へ直行。ではなく、その近くにあるポップコーンなどを売っている売店に向かう。

「えっと、ポップコーンセット一つと……しかり……んん。白崎さんは?」

やっぱり、まだ知らない人の前であだ名とかで呼ぶのは辛いな……

「ん?あ、あぁ。えっと、私もそれで」

………え?白崎さん本当にそれでいいの?普段の白崎さんなら「全部くださーいっ!」とか、言いそうなのに

「はい。では、ポップコーンセットお二つでよろしいですか?ドリンクはどうしましょう?」

「え?あ、はい。僕は……コーラで。白崎さんは?」

「あ………私も」

なんか、様子がおかしいよな。本当にどうしたんだろう?

心配なので店員さんが色々してくれている間、観察してみた。

なぜかもじもじして髪の毛を弄ったりしていた。

……本当にどうしてしまったんだ?急に……白崎さんなら鼻歌混じりにポップコーンを食べてそうなのに、そして、僕が「なんで今もう食べてるの!?」とかって聞いたら、「来た時にもう買いましたっ!」とか言いそうなもんだけどな………

「お待たせ致しました。ポップコーンセットお二つです」

やっぱり映画館ってぼったくりだよな……なんでこれで500円もするんだろう。映画ってだけで学生1000円取られて、これを頼んだら1500円……もう、僕はバイトなんてやる気もないし………だから、お金なんて全くないし、女の子と付き合うなんてなったからには一回のデートでお小遣いは一瞬にしてパー………まあ、今は文化祭で儲けたお金があるからいいが、本当に困るよな。学生って辛い……

早く大人になれないかな……

「士郎……い、いこ?」

と、僕の袖をチョンっと引っ張ってくる白崎さん。

「あ、うん」

でも、今はこれでいいのかもな。

そして、映画を見始める。

「君の花。それは誰にでもあるもの。それは一人一人が違うもの。そして探し求めるもの」

と、まだ真っ暗な画面なのになにか言い始めた。

「……ん?ここは?俺はどうなったんだ?」

花畑?これは……なんだ?なんだろう。綺麗な小麦色…夕焼けみたいだ。そこにいるのは……金髪というよりか黒っぽい金色。の髪を緩やかに流して花畑の中にいる。彼女はなぜか泣きながらでも笑っていた。

「ねぇ、君は……」

そして、また画面が暗くなる。

「姉貴?姉貴?起きて。全く、いつになったら自分で起きるんだよ……飯はもうあるから」

「あ、うん」

そして、学校へいく。

「お?美月。おはよー」

「うん。おはよー」

そして、ホームルーム。

「あー。お前らおはよう。そして、転校生だ」

と、言葉使いだけは荒いが、女の可愛らしい先生だ。律先生に似てるな。言葉遣いは別だけど……

「こんにちは。僕は阿部達也で……って、あーーー!!!!」

と、急に声を荒げる転校生。そして、その転校生の目線の先には……

「……私?」

あれは夢であったあの子……

「どうした?阿部」

「いや。なんでも…よ、よろしくお願いします……」

全く、なんだ?あの転校生は…マジ最悪。席は私の隣だし……

「あの、すいません。ペン借りていいですか?」

「あ、うん……」

そして、ホームルームが終わってすぐ、いろんな人が転校生の周りに押しかけていく。

「あのさ、なんで大声出したの?美月と友達だったり?」

「あ、いや……」

「なんか、見覚えがあった?」

「えっと、夢に出てきて……」

「あー。なんか、そんな話聞いたことあるー!噂だけど、夢であった知らない人とと現実で会うと結ばれるんだってー!」

と、友達だろうか?楽しげに話してる。

「なっ!」

と、真っ赤になる美月と思われるあの最初の夢?に出てきた人。

「あれ?美月って彼氏居ないんだよね?」

「あ……うん。悪かったなっ!」

「へっへーん。で、阿部くんは?」

「居ないです…」

「おお!!」

と、歓声が上がる。

そして、和気藹々としたような音楽が流れて、

「あの、おはよー」

と、男の方、阿部が声をかけるが

「………」

女の方は全く話さない。避けているようだ。

「阿部。大丈夫?」

「あ、うん。なんかしたかな?」

「いや、あいつが悪いって!」

みたいな話が音楽とともに時間の流れを出す。

それから数ヶ月が経ち、また、リトライする阿部。だが、全くうんともすんとも言わない美月。

「……なんだよ、あいつ」

「なんで私に話しかけるの?」

「「本当に嫌な奴っ!!」

「俺が何したっていうんだ……」

「私に話しかけてこないでよ……」

んー。恋愛とはかけ離れてる気がするんだけど………

「あ、あの……さ?」

と、美月って女の子が授業中だというのに話しかけてくる。

「あ?なに?」

「ペン貸してくれる?」

「あ、うん」

そして、すっと、ペンを渡す。

「あ、ありがと……」

「あ、うん」

「なに?じーっと見られるとなんか困るんだけど?」

「あ、いや、なんでもないし」

あー。嫌だ……なんであんなに無視され続けてきたあいつに見られなきゃいけねえんだよ……なんか調子狂うな…

「あっそ」

「あ、うん……」

そして、授業が終わり、仲良くしてくれているモブではないと分かるが、名前まではわからないようなキャラクターが、阿部に話しかけてくる。

「なぁ、阿部、夏祭りいくっしょ?」

「え?いつ?」

「今度の休み。でも、わかってると思うけど、カップルじゃないといけないからね?」

「へ、へぇ。なんで俺にそれを言うの?」

「なんか、気にしてるでしょ?美月さんのこと。好きなのかなー?って思ってさ。俺は彼女と回るし一緒に行ってみれば?楽しいかもよ?」

「だ、誰があんな奴……」

「あっそ、まあ、いいや。あ、やべ。次移動教室だ。行くぞ阿部」

「あ、おう」

全く、なんで顕微鏡なんて使わないといけないんだろう。たかが花粉じゃないか。こんなのアレルギーの元ってだけじゃないか……私はそっちの道に進む気なんて全くないのになぁ。

「…………ねぇねぇ。美月。今度の祭りは?」

「あっ、祭り?」

「行く相手は居ないの?」

「居ないけど…」

「じゃあさ、阿部くん?だっけ?誘ってみれば?別に性格悪いわけでも顔が悪いわけでもないんだし、誘って行ってみれば?だからこんな制度だってあるんだし……」

「あー。考えてみるよ……」

はぁ、もう……

「全く、どうすればいいんだよっ!!」

「全く、どうすればいいのよっ!!」

気になる?俺が?

気になる?私が?

「「ないないないない!!!」」

でも……一回くらいなら……いいかな?

そして、夕焼けの光がさす教室に二人。

「あ、あのさ、美月……」

「なに?」

「今度の祭り一緒に行ってみない?」

「………そ、そう。な、なんで私なの?」

「なんでって……」

「あははははっ!想像通りの反応してくれるなっ!!」

「な、なんだよっ!いじめんじゃねえよっ!!」

「べーっ!だっ!」

と、舌を出してそういうと彼女は帰ってしまった。

……な、なんだよ。

なんか顔が熱いな。夏だし夕焼けが眩しいからかな?

「ただいまー。って言っても誰もいないか」

というか、あいつさっさと帰りやがって……あ、そう言えばなにも決めてねえや。明日にでも訊かないとな

そして、次の日。また同じような時間。

「あの美月さん?連絡先の交換しませんか?」

「あ、まあ、いいよ……」

といって、携帯端末を取り出す。

よ、よかった………って、あれ?よかった?なにがよかったんだ?別にこんな奴の連絡先とかどうでもいいじゃないか……使うとしても祭りだけだろう。

そして、完了する。

「それじゃ、明日だな」

「うん。そうだな。また明日な。ばいばーい」

「あ、そうだ。一緒に…途中まで帰る?」

な、なに言ってるんだ俺?別にいいじゃねえか…勝手に帰らせれば

「……いよ」

「ん?なに?」

「いい………よ」

「だから、なに?」

「あー!!もう、いいって言ってるんだからさっさとついてくるっ!!」

と、言って僕の裾を掴んで引っ張る。

「あ、ちょ…やめろって」

と、抵抗はしてみるが、やめるわけがない。

それから、全く喋らず目も合わせず帰る。

「あ、じゃ、俺こっちだから」

「あ、うん……また、明日ね」

「おう!」

最初よりは仲良くなれたのかな?

いやいや、別にいいじゃねえかどうだって……

そして、次の日。

祭り。予定の時間5時。未だ奴は来ていない。

それから何分かして僕の前を友人や知り合い達が、どんどんと祭りの会場に入っていく。

「ご、ごめん。待った?」

「ん?あー。遅……」

「に、似合う……かな?」

「あー。う、うん。に、似合ってるよ……」

「なに?照れてるの?」

「んなわけねえだろっ!!」

彼女は蝶々の模様が綺麗に映されている黒色の浴衣に身を包み、そして祭りの淡いオレンジ色が見事にマッチしていてそれはもう美しいものだった。

「じゃ、いこうか」

「うんっ!」

そして、最初の関門である。カップル検査みたいな手を繋いで門をくぐるところまで来る。

「じゃ、行くよ」

「う、うん…」

そして、二人は手を繋ぐ。

真っ赤な顔の二人。顔で湯が沸かせそうだぜ。

そして中に入る。

入った途端、二人は手を離す。それからは全くもって話さず、並んで歩いていた。

「あ、あのさ、なんか食べる?」

「あ、う、うん……」

「なにたべたい?その靴だと歩くの大変でしょ?だから、買ってこようか?」

「あ、ありがとう。じゃー。焼きそばお願い」

「オッケー。かってくるから休んでて」

はぁ。なんであんなに優しいの?私、なにもしてないのに……

なんでよ…

そして、画面が入れ替わり阿部が画面に映る。

「はぁ。なんでおれは……あんな女に優しくしてんだろ……」

別に出会いがよかったわけでもない。どちらかといえばあんまりよくない方に入るだろう。だけど、なぜか……

なんでだろ?

そして、主人公は焼きそばを人数分買ってあのベンチに戻る。

あ、あれ?焼きそばとかって人数分で足りたっけ?あ、僕が違うのか……

「おーい!お待たせー!」

………そこには誰もいなかった。

「……え?」

そして、画面がまた切り替わり美月がお手洗いで手を洗っているシーンだった。

な、なんでだろう?最近、あいつのことばかり考えてる気がする。なんで?別にいいじゃないか。あんなやつ…好きでもなんでもないんだから……

落ち着いたのか美月がトイレから出て行き、あのベンチに戻り座っている。

あれ?まだ戻ってないんだ。ここにいれば戻ってくるって言ってたし、座ってようか。

…………さすがに遅いな。

電話してみよう。

プルプルプル……プルプルプル……

あれ?出ない。全くあいつはどこにいるんだろ……

探したほうがいいかな?でもここから離れたら人混みに揉まれて歩かないといけないし、その中探すのは大変だしな……だけど、連絡もつかないし……どうするか。全く、あの男は……

また、阿部が映る。

「おーい!どこだー?美月!」

ドンッ!

と、すれ違った男の人の方に当たってしまう。

「あ、すいません」

……こう人が多いと探すの辛いな。

あともう少しで花火も上がるのに…別に一緒に見たいとか思わないけど……

はぁ……全くどこにいるんだあの女は……

ヒュー………ドンッ!!

あ……花火が上がり始めちまった。……あいつと一緒なら面白いのかな……早く探さないとっ!

「美月ー!どこにいるんだよっ!」

逢いたい……なんでかは知らない……いや、もう薄々気づいていた…好きだ。俺はあいつのことが好きなんだ。

そして、また視点が変わり美月が映る。

ヒュー………ドンッ!!

あ、花火上がった。綺麗だな。これをあいつと一緒に……って、想像しただけで心臓が弾けそう…な、なんで?別に好きなんかじゃ……

「美月ー!」

………うっすら、人混みに紛れて声が聞こえてきた。今のってあいつの声?

「あ、阿部!!」

い、いや、好きなんかじゃないわけないじゃんっ!だって、好きだもん。自分に嘘ついてても心には嘘はない。それは、まぎれもない事実じゃないか!

「み、美月ー!」

「あ、阿部っ!!」

「あ、え?ど、どこなんだよっ!美月っ!!」

声は確実に近くなっているなのに、人混みのせいでわからない。

「どこにいるの!?阿部……達也っ!!」

はぁはぁ……

それはあの夢の花畑を思い出させるような金色で、僕の前にいた彼女もあの時の笑顔だった。泣いているのにも関わらず、なぜか笑っている彼女。

「美月ぃ!!」

………バンッ!!

金色の大きな花火が一つ上がる。

「……はい」

と、彼女は涙を拭いながら阿部を直視する。

「あの……美月。花火みようか」

「う、うん」

「き、綺麗だね」

「そうだね」

「あのさ、美月。こんなことおかしいなって思われるかもしれないけど、俺さ美月に最初に会った時からす、好き……だったんだ。子供みたいだよね。一目惚れってやつかな?あはは……」

「……え?」

「でも、僕は君を幸せにできるかはわからない。だけど、君を幸せにしようと努力するから、お、俺と……付き合ってくださいっ!」

「……私もね、君のこと好きだよ。でもね、私転校するの。だから、貴方とは居られない。だから……バイバイ」

「………え?な、なんで?じゃ、さ、探すからっ!どんな所でもっ!」

彼女は悲しそうに笑顔を浮かべて去っていった。

中学生の恋愛。それは儚くて花火のようにパッと散ってしまう。

だけど、確かにつながっているんだ。

それから一年後。僕は高校生になった。

新しい制服に身を包み高校へ赴く。

へえ。電車通学か。

そして、発進して扉の前に立っている阿部。その阿部が乗っている電車の横にも方面は違うが同じ方向へ進む電車があった。

そこの前に見覚えのある顔が……

あ、あれは……

「美月っ!」

次の所で降りてそっちの駅の方まで走る。

「達也っ!!」

こっちも走る。

そして、出会う。が、二人とも話しかけない。そして、歩いてすれ違う。

「……あ、あの!美月だよね?」

「う、うんっ!」

そして、エンディングが流れる。

なんだろう。なんてロマンティックな終わり方…

続く。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる

若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ! 数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。 跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。 両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。 ――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう! エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。 彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。 ――結婚の約束、しただろう? 昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。 (わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?) 記憶がない。記憶にない。 姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない! 都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。 若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。 後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。 (そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?) ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。 エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。 だから。 この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し? 弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに? ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。

鬼隊長は元お隣女子には敵わない~猪はひよこを愛でる~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「ひなちゃん。 俺と結婚、しよ?」 兄の結婚式で昔、お隣に住んでいた憧れのお兄ちゃん・猪狩に再会した雛乃。 昔話をしているうちに結婚を迫られ、冗談だと思ったものの。 それから猪狩の猛追撃が!? 相変わらず格好いい猪狩に次第に惹かれていく雛乃。 でも、彼のとある事情で結婚には踏み切れない。 そんな折り、雛乃の勤めている銀行で事件が……。 愛川雛乃 あいかわひなの 26 ごく普通の地方銀行員 某着せ替え人形のような見た目で可愛い おかげで女性からは恨みを買いがちなのが悩み 真面目で努力家なのに、 なぜかよくない噂を立てられる苦労人 × 岡藤猪狩 おかふじいかり 36 警察官でSIT所属のエリート 泣く子も黙る突入部隊の鬼隊長 でも、雛乃には……?

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

処理中です...