俺の妹になってください

クレハ@WME

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三十五話

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【俺の妹になってください】

三十五話

~ あらすじ ~

柏木と仲直りが出来た。やったねっ!

********

これで本当に仲直りできたのだろうか?多分出来てるんだろうけど、いつも謝るのは俺だから、なんというか解消されない感じがする。

でも解決はしたし大丈夫か。

次からはもう前みたいに話しかけてもいいんだよな?

よし、なら明日にでもあれ。頼むか。

******

そして、翌日。

少し早くつきすぎたか。あの柏木もいないしな。

「よっ!風見っ!!」

後ろから声がかかった。

振り向くと背伸びをしているちっちゃいのがいた。なんだか、久々な気がする。

「あ、あぁ。おはよう」

…………ようやくだ。ようやくいつも通りの日々が帰ってきた。柏木のこの反応。なんだか懐かしくてほのぼのとした俺ららしいそんな日々。

「なに?泣いてるの?」

「は?な、ないてねえけど!?というか、何のためにここに来たんだっけ?」

「………誰が今日駅前の広場での集合をかけたの?全部あんたよ?まだ寝ぼけてるなら、全力でお前の頬を引っぱたいて起こしてあげますけど?」

この世のものとは思えないほどの冷たい目だった。

「わかったわかった!!起きてる起きてるっ!!」

「そう?私もまだ人殺しにはなりたくないしそれはよかったわ」

「………お前人殺しになるの?なら、取材陣にはいつかやると思ってましたって答えといてやる関節があらぬ方向に曲がったァァァ!!!」

ボキボキっという音を立てて俺の左手の関節がやばい方向へ。

「あ、こんにちは………おっと、二人共朝から運動ですか?」

「………いやいや。痛いからっ!山口お前も人間なら助けてくれぇぇぇ!!」

「はぁ。仕方がないですね。柏木さん。そろそろやるべきことをしましょうか」

「お、おっと、山口君。来てたんだ。おはよ!じゃ、あとは美柑ちゃんだけ………」

そう柏木が言いかけたところで、妹の声が聞こえる予感がした。

これがいわゆるシックスセンスってやつだろうか?なんというか、わかるっ!!

なんとなく振り返ると三ヶ森さんが腰を低くしてこちらへと迫ってきているところだった。

「あ……………」

察してしまって察しに陥るなんてな………

「…………なんで振り向いちゃったんですか?」

「な、なんとなく?」

「もー!驚かそうとしてたのにっ!」

「ごめんごめん」

今更って気もするが、三ヶ森さん会ったばかりのときはこんなに喋らなかったのに、かなりお喋りになった。これが素なのかそれとも恋による変化なのか。そんなことはわかるわけないか。

なんとなくだが、少しずつ三ヶ森さんが離れていってるような気がした。

「どうしたの?行くわよ?」

「あー。うん。わかった………」

そうして俺らが向かったのは駅を何個かいったところの大型ショッピングモールだった。

「今日は宿題を終わらせるんですよね?」

「うん。三ヶ森さんはどこまで終わってるんですか?」

「私もほとんど終わってなくて………」

………やはりな。

これまたなんとなくだが、そんな気がしていた。

「山口は終わってる?」

「僕はぼちぼちですね」

よし、この二人を隣同士に座らせれば、わからない所とか教えてもらえるような感じになるはず。

「柏木………は終わってるよな」

「聞くまでもないでしょ?」

奴は泳げない以外の弱点はない。あと、まな板か。

そう思った瞬間に背筋が凍りついたような感覚に襲われた。

恐る恐る振り返ると柏木が鋭い目つきでこちらを睨みつけていた。

「ど、どうした?」

「………なんか、不快な思いをしたわ」

やべえよアイツ。地獄耳どころの騒ぎじゃねえ。あいつもシックスセンスでも持ってるのか!?

俺らはそんなこんなでフードコートに入ってみると、俺らのような学生が結構いた。

平日だからまあ、他にはほとんどいないのだがね。

「じゃ、山口と三ヶ森さんは奥のソファーの方に座っていいよ」

「わかりました」

「いいよな?柏木」

「え?あ、うん」

うまいことそっちの方へふたりを誘導できた。

 そんなこんなで夏休みの課題を片ずける会がスタートした。

「…………さっぱりわからねえ。」

「はぁ。もうなんというか、流石ね。そこまで来ると………よくあの高校は入れたわね……」

「言っておくが裏口入学ではないぞ?」

「どうだか…………あのお姉さんがお金積んだり、体で払ったりして入れてもらっただけだと思うわ」

………柏木の話は現実離れしているが、妙に現実味があった。最近姉に襲われたしあの姉だ。なんだか本当に裏口だったりするかもしれない………

「可能性はあるよな………」

「え!?じ、冗談よ?」

「まあ、そうだよな………」

そんなことを思いながらも真正面に座っている三ヶ森さんが目に入った。

何でこいつはイヤホンをしながら勉強してるんだ?隣には山口が………って、こっちもイヤホンをつけてやってるし………

これじゃ遠路遥々ここまで来た意味がねえ。

ただ宿題をやるだけなら柏木を家に呼ぶだけで良かったのだ。

三ヶ森さんも山口も迷いなくスラスラとペンを走らせているので、こっちにはどうしようもない。

「ちょっと?話聞いてる?」

「あ、うん。ごめん」

柏木が俺にはわからない何かを言っているが、理解したふりをして適当に答えを書く。俺も俺でこの通り宿題が辛い。人のことなんて構ってる暇はないのだ。

三ヶ森さんに勝手に気づいてもらうしかねえか。

それから三十分足らずで山口は宿題を終わらせた。だが、三ヶ森さんは教えてーとか、そんなことを言う素振りも何も見せないでルンルン言いながら宿題を一人黙々と解いている。

こりゃダメだ。妹に構ってる暇は…………って、可愛いんだよなぁ。こんなに可愛い妹を見捨てれるわけがない。逆にどうやって見捨てろというのだろうか?見捨てれますという方は是非ご連絡ください。そんなやつは一人ずつ俺の前に出てこい。許さん。あの世に送ってやろう。

でも、なにをしたらいいだろう?

「あ、山口くん。ちょっと買い物行きたいんだけど………二人はまだ宿題かかりそうだしちょっと行かない?」

そんな時、柏木が意味のわからないことを言った。

「………え?なんで?俺宿題わからないよ?」

「じゃ、はい。これ。私の答案」

「お、おう………」

いつも願っても出てこない柏木の答案がひょっこりと柏木の手提げバックから出てきた。普通夏休みの答案なんてものは問題用紙なんかと一緒に配られるので、俺も配られてはいるのだが柏木に捨てられる。この九年間ずっとだ。成績云々で先生からも公認されているらしく止めてもらった試しが一度も無い。ありえねえ………なんでそんなもんが出てきたんだ?

「あー。僕は別にいいですよ?」

「ということだから、風見、美柑ちゃん。あとは頑張ってねっ!」

ニコッと笑ってそう言い残すと二人はどこかに行ってしまった。

………ははっ。

………みんな俺に対する信頼が足りないんだよな。勉強出来ないからって答えなんて隠す必要ないだろ。普通の学生は答え写したりしてるんでしょ?でも、俺だぞ?そんなことしないわけが無い。普通の学生なんだからな。

要するに写すだけだろ?簡単じゃないか。

…………ん?なら、何を頑張れというのだ?

そして、正面を見ると妹がいる。

二人きりってやつだ。

しかし可愛いな。なんでこんなに可愛いんだろ?

「あ、あの………私の顔、なにかついてます?」

イヤホンを片耳だけ取りながら赤面。

「なにも?」

「そ、そうですか………」

なんだよ。この青春ラブコメ的展開はっ!

いや、今はそれどころじゃねえっ!!

「というか、三ヶ森さんっ!これじゃ意味ないっ!」

「えっ?」

「山口くんと宿題やら勉強やらを口実に話したり出来るじゃないですか」

「あ、あぁ!!そうでしたかっ!!全く気づかなかったです」

「まあ、ここからですよ。頑張りましょー!」

「はい。でも、どうしましょ?宿題は終わらせた方がいいんですかね?」

「俺も速攻で片付けちゃうから」

にしても、なんであいつは山口と二人で買い物に?まさか、あいつも山口狙いか?

じゃないと一緒に買い物に行ったりしないよな?

山口に妹も取られて柏木まで取られたら俺はどうなってしまうんだろう?そんなのわかりきっている。廃人への道を一直線に辿るだけだ。

流石にそれはなんとしても阻止しなければならない。

俺は自分でも驚くほどの速度で宿題を片付け、三ヶ森さんと共にあのふたりを探すためにフードコートから飛び出した。

*****

二人は案外簡単に見つかった。理由は簡単。セールもしていないような普通の雑貨屋だというのに人だかりができていたからだ。

まあ、あんな美男美女カップルがいたらそりゃー目立ちますよな………

これだからイケメンは………

なんで俺と歩いてたってちっとも華がなく見えるのに、山口の横だとあんなに輝くんだもんよ。

「風見くん?どうしたんですか?行きましょ?」

「あ、あぁ。」

でも、遠目で見てるだけだったら誰がどう見ても完璧ってほどに整ったカップルだ。声をかけてしまってもいいのだろうか?

「宿題終わりましたんで来ましたー」

結構あっさり入って行ってるし!!

「二人共もっとゆっくりすればよかったのにー。あ、で、ちょっと、私風見にも用があるんだった少しここで待ってて」

「なんだ?ここですればいい………」と言ったところで柏木に胸ぐらを掴まれ、外まで引っ張られた。

「………はぁはぁ……ふぅ………マジ死ぬかと思った。呼吸できなかったじゃねえかっ!!」

「そんなことより、なんで?」

相変わらず聞く耳を持たねえな。こいつ。

「死にかけたんすけど………」

「なんで風見は好きな人と二人きりの時間をもっと有効に使わなかったの?」

「…………は?なんのこと?」

「…………え?」

口をポカーンと開いて動かなくなった。

「………おい?生きてるか?」

柏木の目の前で手を振ったりしてみたが、応答がない。ただのしかばねのようだ。

「死んだのか?」

「………勝手に殺すならばこっちも勝手に殺らせてもらうけどいいのかしら?」

「ちょっと何言ってるか分からないですね」

「じゃ、身をもって知るといいわ」

柏木の雰囲気が変わった。平和ボケした俺のようなやつにでも簡単にわかるようなそんな殺気が俺に向けられた。

「わ、わかったっ!わかったから!」

いのち大事に。リアルはガンガンなんて絶対に何があっても行かねえわ………

「そう………チッ!」

「アイツ舌打ちしやがった!!俺あそこでぬふふーんと笑ってたら確実に殺られていた!?」

「まあ、いいわ。それよりっ!風見って美柑ちゃんのことが好きなんじゃないの?」

「………まあ、好きだけどな。でも、多分お前の言ってる好きの種類が違う」

「好きの種類?」

「あぁ。そうだ。俺は三ヶ森さんのことが好きだが、それは恋愛とかそういう類ではない。ほら、いもう………んんっ!猫やら犬やらをかわいい。みたいな?」

「あー!!そういうことねっ!!」

どうやら納得してくれたらしい。

「確かに美柑ちゃんって小動物みたいよね!ペットで欲しい」

妹なら歓迎するんだがなぁ。なんてそんなこと言えるわけがなく、出かけた言葉を飲み込み、「そうだな」と、答えた。

「じゃ、好きな人はいるの?」

「あ?なんで急にそんな質問……」

「いいからっ!!」

「な、なんだよ……妙に真剣な顔しやがって……多分いねえ………よ」

「そう………なら、いいのよ」

目線を俺から外してから、軽く息を吸いこみ吐いた後に続けた。

「んじゃ、とりあえず、戻りましょうか。結構待たせちゃってるかもしれないし………」

「…………なぁ、柏木お前はどうなんだよ?」

踵を返してそっちへ戻ろうとする柏木を呼び止めて訊いた。

「わ、私?それは言わなくちゃいけない?」

「あぁ。俺が言ったのに不平等じゃねえか」

「じゃ…………私も、多分いないわ………多分ね………」

少し間を開けた後に、微笑んで柏木はそう答えた。

「…………そうか。じゃ、戻ろうか」

「うん」

柏木は嘘を言った。経験上わかってしまうのでこればっかりは仕方ない。多分あいつもわかってるんだろう。

でも、どうしたものか。どちらを応援すればいいだろう?柏木はあいつ。三ヶ森同様山口のことが好きだ。学校行事で海に行った時辺りからそんな気はしていたが………そうだよな。

俺なんかよりそりゃいいよな………
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