ミステール・エコール

たtsuや!!

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第3章 Another Side

kinds『N』

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 それから何とか入学式に間に合った。そしてHRホームルームももう終わる。隣の席の人が、今朝の男の子だったことには流石に驚きだった。名前は伊宮このみやと言うらしい。コレでコノミヤって読むんだな…。
 HRでやるべき事を終えて、チャイムが授業の終わりを知らせた。そして、この15分程度の休み時間だが、やることは既に決めてある。の夏海に会いにいく。同じクラスになれば本望だったのだが、入学早々もともとの友人に依存するのはよくない。こういう機会も大切なのかもしれない。
 夏海がどのクラスかも分からないので、ひとしきり廊下から覗いてみることにする。


 どのクラスも自分のクラスである1組と同じような雰囲気で、群れて騒ぐ者、席の近くの人とお喋りする者。大概はその2種類に分かれていた。夏海を探し始めて3つめのクラス、すなわち4組で後者に属した人の中に夏海がいた。
「おーい!夏海!」
「お、怜花じゃん!久しぶり」
中学の卒業式以来、お互いに顔を合わせたことはなかった。春休みを挟んでいたのだが、2人の学校外での付き合いはほとんどなかった。学校内での親友と言った方がいいのだろう。
「怜花はちゃんと、春休みに外にでたのか?」
「ちゃんと出たよ。商店街とか図書館とか、あと…あ、お花見にも行ったし」
「ゲーセンとかカラオケとかは?」
「行ってないよ」
「そっか、怜花のとこそういうのに厳しいんだっけ。楽しいのになぁ」
「いつか行ってみたいな」
「こっそり連れてってやろうか?」
夏海は冗談含みに問いかける。答えはもちろん、
「やめとくよ、バレたら怖いし」
私の家は確かに厳しいとは思うが楽しくないわけではない。近所の満開の桜がある公園に家族全員でお花見に行ったときは楽しかった。私は私なりに充実してるんだ。
「あ、そうだ。パン買ってきたよ。はい、いつもの」
今朝コンビニで買った大量のパンをバックから出す。このパンがどれほどバックの容量を占めていたのだろうか。取り出した後のバックはほとんど何も入っていないように平たくなった。夏海は一瞬険しい顔になったが、そのパンの袋を受け取った。
「あー、いつものね。うん、ありがとう夏海!」
「どういたしまして」






夏海はkindsのメンバーだ。kindsとは緑明中学のトップカーストに位置していた、グループの4人組だ。それぞれの名前のイニシャルをとって『K』『I』『N』『D』。繋げて纏めて、『kinds』。その中で夏海は買い物係だそうだ。週に何回か3人が夏海にお金を渡して、昼食を買うなり、物品を買うなりするそうだ。パシリと言えば聞こえが悪いかもしれないが、夏海は役割を与えられ、皆の役に立てれば嬉しいとのことだ。
 私も今朝のパン大量購入のように手伝ったりすることもある。でもホントにこれでいいのかな。



2人とも充実はしてても、満足はしていない。
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