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第3章 Another Side
いつもの
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母の車に乗って一緒に学校へ向かった。車のことはよくわからないのだが、買った当時から汚れ一つなく手入れされているので相当お高いものであると思っている。
家から出てしばらくは信号がなく対向車も少ない。住民が少ないという訳ではない。若い人が少ないのだ。辺りを見れば畑や田んぼで農作業をしている人の姿が見て取れる。
「怜花ももう高校生なのね」
「そうだよ。お小遣いでも増えるのかな」
「考えときましょうね」
たわいもない会話をしながら道を進んだ。しかし、10分ほど経つと会話の話題もなくなり、遂には沈黙が訪れた。だが、沈黙は嫌いではない。自分の懸念も他人の干渉も全く受けない世界。それって素晴らしい世界だと思う。気持ちが沈まる。入学式前で緊張している心も落ち着いてくれるだろう。
「あら、あの子緑明高校の生徒さんじゃない?」
「うん、そうみたいだね」
男女で制服は違っているのだが、色はほとんど同じ。その真新しい制服、鞄を見るに今日入学するであろう1年生であると推測できる。
「間に合うのかしら?」
「この距離じゃちょっと厳しいかもね…。乗せていってあげようよ」
「そうね、バスにでも乗り遅れたんでしょう」
母はその男の子に声をかけようと、少しづつ減速し窓を開けた。
「あなた、緑明高校の生徒よね?」
「はい、そうですけど」
母と男の子の話をきいていると、やっぱりバスに乗り遅れたらしい。入学初日からバスに乗り遅れるなんてなんてルーズなんだろう。
「お、隣ごめんな」
隣にすわってきた。まあ、学校までだからそれほど長い時間でもない。だからあまり気になることもない。
20分ほどの沈黙が続いた。沈黙は嫌いじゃないはずだ。
だが、この沈黙は…好きになれない。男の子の方はそんなに気にしてないようだけど、やっぱり気まずい。早く学校に着いて欲しい。
学校が見えてきた。やっと着いたのかと少し安堵する。
私の昼食は中学の時からパンなので学校近くのコンビニでパンを買うのだ。
「はい、着いたわよ」
「うん、ありがとう」
私と男の子は二人コンビニで降ろされ、母は帰っていった。男の子は母が車で出ていく際もお辞儀をしていた。
「じゃあ、私はコンビニでパン買ってくるけど…」
「実は俺もご飯買わないとなんだよね、昼食あるとか知らなかったし」
「そうなのね」
他の人が何かを買おうが関係ないことなので、自分は自分で選べばよいのだ。それじゃ、と言ってパンのコーナーに向かった。
コンビニとはどこにもあるようで、やはり内装は前の学校付近のとさほどかわらないようだ。あ、チョココロネだ、
ソーセージパンがすきだったなぁ、クリームパンもある、
とカゴに入れていくとすぐにカゴは一杯になってしまった。でもこれがいつもの量だ。1人で食べるものじゃないからいいのだけれど、一乙女としてこのカゴを男の子に見られる訳にはいかない。どうかこれを隠しながら会計を済ませて学校に行きたい。
しばらくしても男の子が学校に行く様子はない。多分、送ってもらった手前、何も言わずに1人だけ学校に行きにくくなったのだろう。律儀さはよいのだが、今はそれが全くの裏目である。学校ももうすぐ始まるし、このまま時間を無駄にすることはありえない。
直接言う。先に学校に行ってて、と。これが考えうる限り簡単かつ迅速な方法だ。カゴの中のパンを見られても仕方ない。1人で学校に言っててもらおう。一緒に行くのは…恥ずかしい。
「あの、私時間かかりそうなので、先に学校に行っててください」
「ああ、そう、わかった」
そう言うと男の子は手に持っていた自分の品物をレジに持っていった。買ったものも少ないようですぐに戻ってきた。
「じゃあ、今日はありがとう。でも、早く学校行かないと遅刻するぞ」
「わかってる」
男の子は店を出て走って行った。さて、私も早く向かわないと。カゴいっぱいのパンをレジに持っていく。
そういえば、名前も聞いてなかったなぁ。
家から出てしばらくは信号がなく対向車も少ない。住民が少ないという訳ではない。若い人が少ないのだ。辺りを見れば畑や田んぼで農作業をしている人の姿が見て取れる。
「怜花ももう高校生なのね」
「そうだよ。お小遣いでも増えるのかな」
「考えときましょうね」
たわいもない会話をしながら道を進んだ。しかし、10分ほど経つと会話の話題もなくなり、遂には沈黙が訪れた。だが、沈黙は嫌いではない。自分の懸念も他人の干渉も全く受けない世界。それって素晴らしい世界だと思う。気持ちが沈まる。入学式前で緊張している心も落ち着いてくれるだろう。
「あら、あの子緑明高校の生徒さんじゃない?」
「うん、そうみたいだね」
男女で制服は違っているのだが、色はほとんど同じ。その真新しい制服、鞄を見るに今日入学するであろう1年生であると推測できる。
「間に合うのかしら?」
「この距離じゃちょっと厳しいかもね…。乗せていってあげようよ」
「そうね、バスにでも乗り遅れたんでしょう」
母はその男の子に声をかけようと、少しづつ減速し窓を開けた。
「あなた、緑明高校の生徒よね?」
「はい、そうですけど」
母と男の子の話をきいていると、やっぱりバスに乗り遅れたらしい。入学初日からバスに乗り遅れるなんてなんてルーズなんだろう。
「お、隣ごめんな」
隣にすわってきた。まあ、学校までだからそれほど長い時間でもない。だからあまり気になることもない。
20分ほどの沈黙が続いた。沈黙は嫌いじゃないはずだ。
だが、この沈黙は…好きになれない。男の子の方はそんなに気にしてないようだけど、やっぱり気まずい。早く学校に着いて欲しい。
学校が見えてきた。やっと着いたのかと少し安堵する。
私の昼食は中学の時からパンなので学校近くのコンビニでパンを買うのだ。
「はい、着いたわよ」
「うん、ありがとう」
私と男の子は二人コンビニで降ろされ、母は帰っていった。男の子は母が車で出ていく際もお辞儀をしていた。
「じゃあ、私はコンビニでパン買ってくるけど…」
「実は俺もご飯買わないとなんだよね、昼食あるとか知らなかったし」
「そうなのね」
他の人が何かを買おうが関係ないことなので、自分は自分で選べばよいのだ。それじゃ、と言ってパンのコーナーに向かった。
コンビニとはどこにもあるようで、やはり内装は前の学校付近のとさほどかわらないようだ。あ、チョココロネだ、
ソーセージパンがすきだったなぁ、クリームパンもある、
とカゴに入れていくとすぐにカゴは一杯になってしまった。でもこれがいつもの量だ。1人で食べるものじゃないからいいのだけれど、一乙女としてこのカゴを男の子に見られる訳にはいかない。どうかこれを隠しながら会計を済ませて学校に行きたい。
しばらくしても男の子が学校に行く様子はない。多分、送ってもらった手前、何も言わずに1人だけ学校に行きにくくなったのだろう。律儀さはよいのだが、今はそれが全くの裏目である。学校ももうすぐ始まるし、このまま時間を無駄にすることはありえない。
直接言う。先に学校に行ってて、と。これが考えうる限り簡単かつ迅速な方法だ。カゴの中のパンを見られても仕方ない。1人で学校に言っててもらおう。一緒に行くのは…恥ずかしい。
「あの、私時間かかりそうなので、先に学校に行っててください」
「ああ、そう、わかった」
そう言うと男の子は手に持っていた自分の品物をレジに持っていった。買ったものも少ないようですぐに戻ってきた。
「じゃあ、今日はありがとう。でも、早く学校行かないと遅刻するぞ」
「わかってる」
男の子は店を出て走って行った。さて、私も早く向かわないと。カゴいっぱいのパンをレジに持っていく。
そういえば、名前も聞いてなかったなぁ。
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