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しおりを挟む強制力とは、どの程度働くのか?
実際メアリが魔法士にはなったが、多分おそらく…どうやっても王宮筆頭魔法士にはならないだろうと思う…まぁ、このままレオナルド殿下と私が婚約・婚姻と進んで、私が王宮に行くことになれば判らないけどね。
「お嬢様?あんまり考えすぎると禿げますわよ?」
そんな失礼なことを言いながら、優雅にお茶を入れるメアリ。
最近は若奥様っぷりも上がり、子供の目に毒なお色気要素もちらほら。
おまけに、今回の護衛の中にはメアリのパートナーである、ギルバート・スペンサーも入っている。
始終一緒にいるわけでは無いけれど、夜は必ず一緒…という…もしかしたら、領地にいるよりも一緒にいる時間があるんじゃない?…と、ご機嫌っぷりが半端ない。
まぁ、幸せなのは良い事です。
私も…あんな風に一緒にいるのが幸せと感じれる人と結婚できたら…と思う。
今のこの世界の婚姻事情や御家事情も、知識としては解っているし理解もしている…と思う。
けれど、いかんせん前世での結婚観もあり、納得づくかと言われると………。
ホントに、いっそ庶民ならその辺のズレもそんなになかったのに…とも思うけど、貴族令嬢に転生したからまさきにいとも会えたんだと思うと、なんとも言えない。
結局、過去に戻れるわけでもないので、今をより良くしていくしかないのだけど…。
「お父様が、政略結婚推進派じゃなくて良かったけどね」
一人になった部屋で思わず呟く。
とにかく、今は早急に第二王子ウィリアム殿下にあって、現状確認が第一だ。
前世も今もアクティブな方ではなかったはずなのに、こうして自ら王都に来てしまう腰の軽さが恨めしいが、実際こうして動けてしまうのだからしょうがない。
きっと、こういうところが真純君の目にとまったのかな?
就活の際には事務系に拘っていたはずなのに、気が付いたら現場に立って仕事をしていた自分を振り返る。
今世では「気が付いたら王太子妃になってた」なんてことにならないようにだけしないとなぁ…と、ゆるく決意する。
自分だけで生きているわけじゃないので、自分の意志だけでどうこうできるわけじゃない。
せめて、決める時は自分の意志で…そう思った。
●○●○
場所が王都という以外はあまり変わり映えのない朝。
王都に来たからと言って、世の奥さまやご令嬢方と違って、ドレスの新調をしたり、宝石を買ったり…なんてことはしない。
ドレスもアクセサリーも…女性としては欠点なのかもしれないが、正直興味がない。
購入に至っては、お父様や兄様が手配してくれるし、そもそもまだ社交界デビューもしていないのだ。今ぐらいはそっとしておいて欲しいと言ったら、メアリに「相変わらずですねぇ~」と大笑いされた。
それよりも…。
「お嬢様、ウィリアム殿下とのお会いする時間が取れました」
そう言うメアリの横にはマリーもいて、調べたことの報告をいくつかしてくれた。
マリーの報告によると、ウィリアム殿下の異変はやはりレオナルド殿下襲撃の後目覚めてから。王位継承権の放棄の発表はしたけれど、王命により『誓約』はまだしていないそうだ。
レオナルド殿下が王都に帰還後速やかに制約の儀を行うらしい。
そう…『誓約』とは魔法的契約の事である。
誓約した内容を破ると、かなりの痛みを伴うらしく場合によっては死に至る事もあるらしい。痛みがどの程度なのか、どの程度の制約破棄で死に至るのか…実験するには怖すぎてやっていないが…多分、継承権破棄の制約は破ると相当なしっぺ返しが来るであろう事は、誰にでも分かる。
「殿下方の中身の入れ替わりがあったこと前提で考えるならば、制約の儀の決行はお止めしないと、後々不味いことになりそうかと…」
マリーの提案に、私もメアリも頷いた。
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