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しおりを挟むあのあと、レオナルド殿下はさらっと使い魔を造り戻っていった。
ちなみに…背丈の二倍はあるかと思うような大きい、伝説の生き物フェンリルと背丈ほどの羽の生えた綺麗な妖精さんだった。
多分、フェンリルが殿下、妖精がミュリエッタ様のだろう。
現実世界では恐らく小さくなるだろうとの私の見解を聞き、大きめに造ったらしいが…どんだけの魔力使えばあんなに大きくなるのかとびっくりした。
ちなみに…もしもの時の為、私のうさぎさんのように偽装できるようにしたらしい。
まぁ魔力過多症を起こしたくらいだから、魔力は多いのだろうから、あんまり心配はしていないのだけど。
明日になったら、無事入れ替わったか…使い魔たちはどうなったか、本を読んで確認しよう。
そして……そろそろ戻らないといけない気がする。っていうか無事戻れるのか、正直ちょっと心配だけどね。
●○●○
あの話し合いの最中、魔力暴走を起こしお嬢様が倒れてから三日。
ピクリとも動かず、何をしても目が覚めなかったお嬢様が目を覚ました。
無事目覚めてくれて、安心したのも束の間…お嬢様の気配というか魔力の質が違う事に気がついた。
それは同じお嬢様付きの侍女マリーも気がついたようだ。
「メアリ様……私達はこの事態をどう捉えたらいいのでしょうか…」
ただでさえ、お嬢様の周囲では日々色々…きっとマリーにとっては奇想天外なことばかり起こっているだろうに……。
「あの方は、私達のお嬢様ではありません」
唇を噛み、今にも溢れそうな涙を我慢するマリー。
「少し様子を見ることにしましょうか。落ち着いたら、あの方にお話を聞きましょう」
そして速やかにお嬢様と代わってもらいましょう。
そして、この騒動の責任をきっちり、真純に取らせましょう!
と…思っていましたが、真純の…いや……ここはカール殿下でしょう。
カール殿下の周囲もにわかに騒がしくなってしまい、話す機会も減ってしまいました。
その間も、お嬢様は療養として王宮の一室に部屋を準備してもらい、そこで寝起きをしている。
昨日はお嬢様のお父様…エドワード様がお見舞いに訪れ、アルメニア国王陛下とカール殿下にお会いになられ、何かお話をされていきましたが、お嬢様には「しっかり休むように」と言いおくだけで、帰ってしまわれた。
そして……お嬢様はあの時目覚めたまま何も変わらず……私達が何を聞いても、笑うだけで答えてくれず、途方にくれている真っ最中。
「このお嬢様はみのりちゃんが目覚める前のミーリア様…よね。やっぱり」
覚えのある魔力……のような気がして、色々と探っていた時期に、バイエルン王国の第一王子レオナルド殿下の面会があった。
体調が優れず面会出来ないお嬢様の代わりにと、お話する機会を頂いた為判明したのだけれど……レオナルド殿下は元に戻られていた。
そして…足元には仔犬サイズの狼?がじゃれついているのが視えた。
あれは、私の白虎……ハクと同じ魔力で造られたモノ。
今も恐らくあの空間にいるのだと思うのだけれど、いつ帰って来てくれるのか、このお嬢様はいつお帰りになるのか…今の私では何も出来ないだけの日々が過ぎていくのが辛い。
早く私達のところに戻ってきて…みのりちゃん。
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