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しおりを挟む「やっぱり私が影響してるのかなぁ……」
カーテンを薄く引き、扉をきっちり閉めた室内で独り呟く。
防音結界こそ張ってはいないけれど、念の為認識阻害の結界を張って色に対しての認識をさせないようにしているが……。
色々と色々と不味いこともあり、先程ラビは領地の信頼出来る者の所にしばらく預けると言われ、メアリと共に転移で領地に旅立った。
現実世界で目覚めたばかりなのに、ピーちゃんはお手紙運び、ラビは現実世界のお勉強……二人とも大変だなぁ…と思いつつ、薄いカーテン越しに外を見る。
この部屋はこの王宮の部屋の中で一番庭が綺麗に見える部屋らしい。
メアリが朝、「真純が準備したんですよ」って言っていたけど、まだお礼を言えずにいる。
まぁ…私が戻る以前から使っていたので、今更お礼もおかしいかと思うけれど……倒れたあの日からカール殿下殿下とミーリアは顔を合わせていないらしいので、"今更" でもおかしくはないだろう。
けど……。
そうか、一度も顔を合わせていないのか……。
暦を見ると、倒れたあの日からは随分日が経っている。
あの日よりずっと王宮に滞在しているのだ…通常であれば、最低でも一度は見舞いに来るだろう。普通は。
その普通さえないのだから、きっと気持ちは全然ないのだろう。
私を側室に欲しい理由は、きっと"使い勝手が良いのだろう。それに、私がこの国に来れば優秀な侍女も付いてくる。
そこまで考えてまた溜息が出る。
これのせいで断るのが難しくなるかもしれない。
髪をひと房つまみ、また溜息をつく。
「いっそ消えてしまいたい」
好きな人の他人との幸せを傍で見るのも嫌だけれど、好きな人に義務のように結婚されるのも嫌だ。
我儘なのは理解しているけれど、この世界でも私はわたし。
変わる努力はするけれど、心を捻じ曲げていたら、きっとそれは自分じゃなくなってしまう。
できれば少しづつ…強制的というのはなるべく避けたい。
このぐらいは思っていてもおかしくはないだろう……そう思いつつ、またため息をつく……。
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