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しおりを挟む約束したのだからしょうがないのだけれど、戻る予定の日に当然のようにオリジナルのミーリアにくっついて、私を迎えに来たメアリ。
私って信用ないのね…なんて思っていたら、ミーリアに「朝からそわそわして大変だったのよ」と言われ、メアリ自身も顔を赤くしていた。そして……。
「別にあなたが私にとって代わっただなん思っていないのよ。物語を読めば分かったかと思うんだけど…」
そう言って、私の中の罪悪感を少し軽くしてくれた。
そして、またこの空間に来てもいいと言ってくれた。
そして、ここしばらくの体験談などをはなしたのだが、やはりこの空間は少し特殊な空間らしく、オリジナルのミーリアは立場上は管理者扱いらしいけれど、世界に多大に影響が出なければ(滅びるとか極端に科学や魔法技術が進まないようにだとか)わりとなんでもありらしい。
ラビやピーちゃんをどうするか悩んでいた私に取っては嬉しい情報で、ミーリアに再確認して、現実にも連れて行って良いと許可をくれた。
●○●○
現実に戻り、日々は慌ただしく過ぎ…なんて事もなく、ここ数日私は部屋に籠りきりになっていた。
原因は、私の髪色の変化にあった。
あの不思議空間から戻った私は、当然だけど普通通りに起床し普通通りに身支度しようとして、眠い目を擦りながら、お世話になっている王宮の客室に備え付けられている洗面所へ。
で…………。
「えっ?なんでここでも黒髪?」
あの不思議空間では ”ミーリアとみのりを足して二で割ったような” 容姿をしていたので、起床後も普通に何も考えず行動していたが、改めて鏡を見てびっくりした。
ミーリアの銀髪の髪がみのりの黒髪のようになってしまっていた。
急ぎメアリを呼び、魔法的な影響か調べてもらったりしたけれど、色以外は特に何の問題も無く今に至る。
まぁ……その『色』が問題なのだけれど……。
『黒髪』…日本人なら何の変哲もない色の髪。
前世では重く見えるのが嫌で、少し色を入れていたものである。
周囲には「きれいな黒髪なのに」と言われたけれど、地味顔のみのりにずっしり黒髪。
出来上がるのは、日本人形のような女の子。
周囲がいくらかわいいと言ってくれても、嬉しくなかった。
そのあまり好きじゃない黒髪がここに……
それも、この黒髪はこの世界では『聖女』の色とされているから質が悪い。
そして、髪色が変わったのがアルメニア王国の王宮というのも場所が悪かった。
「また、婚姻問題で引っ掻き回される……」
不思議空間から戻ったら自国に帰国し、静かに暮らしいずれ穏やかな相手と結婚出来れば…なんて予定していたのが台無しになってしまったこともあるが……聖女になんてなってしまったら、神殿の奥深くに囲われてしまうなんて恐ろしい噂まであるのだ。
「早く、お父様と兄様から何か案がないかお返事貰えるといいんだけど」
そう呟くミーリアの傍らには、あの空間から一緒に連れてきたラビと一緒にお茶を飲むメアリがいる。
「子猫ちゃん…そんなにビクビクしてても俺にとってはかわいいだけだぜ(キラーン)」
彼らはまぁ、通常運転らしい。
ちなみに、ピーちゃんは領地にいるエドワードとアーサーに手紙を渡してくれるようお使いに出していた。
今は、その返事を待ちつつ、髪を見られないように部屋に籠っている真っ最中なのだ。
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