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15、どちら様でございましょうか?
しおりを挟むこいつも異世界転生系?え?チートで分身?
分離…増殖……いやここまでくると流石に人間じゃなくなりそうだと思考を止めて、現状トマスのふりをしているやつの出方を見る。俺やミレーユのような転生系だったら、何かしらチートを持っていてもおかしくはない。
魔法が多少しか使えない世界だとしても、俺のように自力で魔力量を上げて、次長にお願いしてチートをもらうことだってできる……多分。俺が出来たんだから、多分他の奴だって思いつくだろう。
前世は化学や科学が発達した世界だったけれど、この世界にはまだそれは無い。
魔法や剣が使えなくても、知識でチートを発揮する奴だっているかもしれない。
考えようによっては、前世の世界より何でもありの世界だと気が付いたのは魔法学校に行ってからだった。純粋にこの世界で育ったこの世界の常識しか持っていない者には、対策さえしていればそれなりに対処できるのだ。油断さえしていなければ。けれど……。
「そう言えば……暗部に所属してるって父上に聞いたけど…兄弟がいるって言ってたか?」
トマスの数少ない情報を口にした時、目が少し動いたので図星だったかと思い、少し安心する。
少なくともトマスの身内であろうことは分かった。
でも……。
「これはトマスの指示か?独断か?それとも……身内ってだけでトマスの指示ではないのか?」
周囲に人がいるので小声だが、ハッキリ伝わったようで少し考えて、どこに行くかを教えてくれた。
しばらく、トマスA(本物はトマスです…安易ですみません…)について歩くと、大通りからは少し外れた場所にある一軒の宿屋に着いた。
「ここの地下に、我々のこの街での拠点があります。通常は宿屋をやっております」
そう言って受付を過ぎ、一度二階に上がり物置らしき扉を開いた。
「今日は生憎と宿泊者は居りません。ここは紹介制の宿ですので宿としては少し宿泊費がお高く設定してあります。そのかわり安全性や秘匿性にはだいぶ配慮しておりますが…」
物置の扉を開き更に奥の壁を少し押すと、カチッという音と共に壁が少しずれ、その隙間から下に降りる階段が見えた。だいぶ分かりづらい作りだけど、これなら安全も確保できそうだと納得して、とりあえずトマスAについて地下に降りることにした。
まぁ…途中『俺、ミレーユに会いに来たんじゃなかったっけ?』って思ったんだけどね…言える雰囲気じゃなくて言えなかったのは内緒だ。一応王子なんだけど、その辺は前世引き摺っている俺でした。
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