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14、え?分身?

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「予想よりだいぶ早くお着きになったようですが……我が主はどのような方法でこちらにいらっしゃったんでしょうか?」


BGMに重低音の音楽が流れてそうな雰囲気を醸し出して門の中にいたのは、城にいるはずの侍従トマスだった。


いやいや…そうじゃなくてね。
まぁ確かに聞いたよ?暗部に所属してるって。それもかなり優秀だって。でも、いくらなんでも、使俺より先にここに来るのは無理じゃないんか?


そう感じても、周囲に人がいて身バレする可能性もあって問いただせずに無言でトマスに着いて歩く。
恐らくどう考えても、ここでトマスについてという選択は……。
っていうか、ついて行かないと不味いような気がする……なので、多分傍から見ると『すごすご』とか『とぼとぼ』とかの擬音が付きそうな気持でついて行く。


なんとなくだけど…このままミレーユのところに連れて行くということはないだろうと思ったので、とりあえず言うだけは言っておかないとなぁ…ちょっと怖いけど。


「外泊するつもりはなくてな、その辺は何にも言ってこなかったのだけれど、どうなんだろうか?」


まぁ…トマスの事だから、その辺は抜かりなさそうなんだけど……。


「大丈夫でございますよ。何かございましたら、危急の連絡方法はございますので、私と一緒にいる時はおっしゃってください。手配いたしますので」


と振り向いて、すっごいおっかない笑顔で言っていた……。
あれ?俺、トマスに許可取って出てきたよね?
ミレーユのところに行ってくるって、ことは言ってきたけれど、ことは言ってきていないから、トマスだったらだろう……。
そう思うと、と言われるとはっきりとは言えないのだけれど、どことなく違和感を感じた。


「トマス…お前……誰?」


矛盾した質問だとは思うけど、この言葉しか出てこなかった。
"敵" ではないだろうけれど、味方でもないそんな雰囲気の警戒度を一気に上げた。
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