人外さんに選ばれたのは私でした ~それでも私は人間です~

こひな

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勇樹のデリカシーのない一言にカチンと来つつも、とりあえずは躱す…未だ学生の弟にムキになる程でもないし、実際勇樹の言う事も当たっているから。


「あら、勇樹ったら美里ちゃんの事言えないんじゃない?この間の女の子、他の人と仲良く歩いていたわよ?」


思わぬ方向からの心を抉る事実にショックを隠せない弟は不貞腐れたように呟く。


「俺と一緒にいるとドキドキがないんだとよ…」


そう言って下を向く弟は、姉の私が言うのもなんだけど、顔もそこそこだし頭もまぁまぁ良く、通っている大学は自宅から電車で一時間程の国立の大学だ。


自宅から通えると言うだけで受験するには、だいぶレベルが高い大学な筈なのに、割と苦労せずに入れたらしい。


まぁ…恐らくだけれど色々とそつなくこなす弟は、一緒にいると劣等感を刺激されてしまうのかもしれない。
なんてったって、家事スキルはこの三人の中ではダントツの一位だから。


姉と弟のやり取りを眺めつつ、店番をしていると、肩に乗っている子が私の頬をつんつんしてきた。
どうやら、先程の古書店の『おじさま』がこちらに来てくれたらしい。


「先程はお買い上げありがとうございました。交代の者が来たので寄らせて頂いたのですが……中々良い物を揃えてありますね」


先程の胡散臭い笑顔とは違い、楽しそうに笑っている。古書を扱っているせいもあるのだろう。アンティークも好きなようだ。


「こちらのランプと…このペン立てを頂きたいのですが……差し支えなければ、これを選んだ方を教えて頂けますか?」


今まで聞かれた事がない質問が来て、咄嗟に返せない私の代わりに何故か嬉々とした姉が答える。


「それはどちらも、この子が海外に買い付けに言った時のお土産で貰ったんです。お土産なので、売るのを迷ったんですけど、この子がもう手放した方が良いって言うので」


姉の言葉を聞き、視線が私に向く。


「買い付け…ですか。どちらにお勤めか聞いても?」


だんだん居心地が悪くなってきたので、席を外そうかと思っていたら、質問されてしまいタイミングを逃してしまった。


「以前ですよ以前……今はプー太郎なので…」


ちょっと恥ずかしいけど、事実なのでしょうがない。それに、今は辞めてまだそんなに経っていないこともあって、就活する気にならないのだ。だから…


「もしよろしければ、ウチで働きませんか?」


こんな誘いがあっても、当然お断りさせてもらっている。いつもなら……。
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