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しおりを挟む道すがら、勇樹に今の職場の事を聞かれた。
今年大学二年になり、遅まきながら就職のことで悩んでいるらしい。
「ウチの家族を見てるとなんだか考えちゃうんだよ…」
ボソッと呟き考え込む勇樹。
まぁ…その気持ち解るよ。
私も大学の時に悩んだから。
ウチの家族構成は両親と姉と私、弟の勇樹の五人家族。普通だ。問題は家族の職業なのだ。
父は大学の考古学の研究室に席を置くいわゆる『学者』だ。ちなみに母は今流行りの『ハンドメイド作家』、そして上の姉は『新進気鋭の芸術家』……
ウチに『会社員』とか『公務員』とか…社会的に言われる『安定した職業』についている家族がいない。
多分、勇樹も同じような事で悩んでいるんだろうと思う。まして、勇樹は長男だ。
自分くらいは『安定した職業』についた方が良いんじゃないか……なんて考えているのだろう。
「やりたい事やってみたら良いんじゃない?最初についた職業を一生やるわけじゃないし」
もちろん、職を転々とするのもどうかとは思うけど。
「あくまでも私の考えだけどさ…」
そう前置きして、周囲の人の話も織り交ぜてアドバイス…らしきものをした。
ちなみに、私は高校の時に『看護師』になりたいと思い、看護大学に進んだ。
進んだけどね…今現在看護師になっていないのだから、その辺は察して欲しい(汗)
世の中皆がみな目標があり、やりたい事がすぐ見つかるわけじゃない…と思う。
無謀なことは止めるけど、出来ることはやってみても良いと思う。
「安定した職業って言うのも間違ってはないと思うよ」
とりあえず、無難な事も添えて。
だって、食いっぱぐれるのだけは避けたい。
『やりたい事やった方がいい』なんて言いつつも、私だって保険は色々掛けているからね。色んな資格取得もそうだけど、看護師の資格を取ったのだって『人がいる限り医療は無くならない』と思ったし、一応国家資格だから県をまたいでも通用する。もし結婚して、旦那さんが転勤族でも大丈夫。なんて考えのもとのものだ。
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