人外さんに選ばれたのは私でした ～それでも私は人間です～

１７

「ほんと!?」


思わず声が出てしまい、慌てて周囲を見渡す。一人でいきなり騒ぎ出す大人って、色々怖いからね…。


とりあえず…休日の病院で良かったとホットして詳しい話しを聞く。


｢お前の母親の胸辺りに黒いモヤが見える。多分、あれが原因だろう｣


黒いモヤ……病気？なのか？
でも、検査結果には出ない……。


また思考のループに入りそうになったところで、社長が一言漏らす。


「呪いの類いなんじゃないか？多分だけど、呪いの発信源になる物が手元にあるはず……」




⚫〇⚫〇



「お母さん、調子がおかしくなった辺りに、何か買ったり貰ったりした？」


病室に戻り、率直に聞く。
こういうのはズバッと聞くに限る。
それに、お父さんの職業柄、呪いなんてものは割と慣れっこだ……お母さんが…。


「そういえば…あの頃、お父さんが同僚に貰ったとかで、小さい鏡がついた飾りを貰ったのよね」


父がお土産を持ってくるのはとても稀だ。
マメじゃない性格に加え、しょっちゅう海外に行くので、その度にお土産を買ってくるのが面倒らしい。


それに……海外と言っても、転々とあちこち行っているわけではない。あくまでも考古学に関わる出張なので、毎回ほぼ決まった場所に行くので、もらう側としてもあまり嬉しくない。


正直『お土産を買わなければいけない』なんて義務感にかられ買ってきた物って、本気で困ったりするんだよね。


海外に行く度にチョコレートって何の拷問よ？って感じ。なんだかんだ言って、日本のチョコレートの方が美味しかったりするからね。


そんな感じなので、父がお土産って言うのはとても珍しいのだ。
それも、同僚から?


「去年だったかしら？研究室に女の子が入ったらしいのよ。元は院生だって言っていたんだけど、研究室に入りたいって切望されて…どうしようかか悩んでいたら、丁度助手をやってくれていた子が辞めちゃったからって……」


話だけ聞くと、すっごく考古学が好きなんだなぁ…って思ってしまうのかもしれないけど……


『十中八九それだろ』


肩に乗る社長がボソッと呟いた。