人外さんに選ばれたのは私でした ~それでも私は人間です~

こひな

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長くてすごく疲れる夢をみた。
なんであんな夢を見たんだろう。


ひたすら歩く…多少山あり谷ありの一本道を只々歩いた。
そして……平坦な道が続いた先に別れ道があった。
一応、看板みたいなのは立っていたけど、夢だからなのか読めなくて……。
どうしようか…どっちに行こうか悩んでいたら、今来た道の向こうから、自分を呼ぶ声が聞こえて…振り返ったところで夢が終わった。


こういうのって、夢占いの本とか見れば色々書いてあるんだよね。
そもそも…分岐点なんて分かりやすいキーワードもあったしね。
誰しもあるんだろうけど……その内、私も人生の分岐点に立つかも?っていう暗示の夢なのかな?
それとも……現実の今現在が分岐点…なのかもしれない。
だって……きっと私はこの人から離れる為に会社を辞めることになると思うから。


寝起き……夢の中の出来事を多少引きづった状態でぼーっとしていると、なぜか人間大になった社長が、私のボストンバッグに荷物を詰め、帰る準備?をしている。


「しゃちょー……私のですよ」


間違っている可能性もあるので言ってみたら、分かってるよって怒られてしまった。
それと……


「悪いんだが、ちょっと付き合ってもらいたい事があるんだ。だから帰る準備してくれ」


えぇ~…あと一泊していく予定だったのに……なんてブツブツ言いながら一階に行き洗面を済ませ、お母さんに用事が出来たから帰ると告げる。


「勇樹は?」


準備してもらった朝ご飯を食べながら、昨日は一言も話をしなかった勇樹の事を聞く。
ちなみに……勇樹は一時間も前に家を出て、今日はお父さんに紹介してもらった教授に会いに行ったらしい。
こりゃ、本気で考古学の道に進むかもしれない…。
もしかしたら、大学の入り直しなんてことも考えているかもしれない。


「お母さん。昨日言った事さ、今度おじいちゃんに聞いてみてよ。もし良いなら、仕事の研修とかもあるんだろうから、受けられるなら受けたいし」


そう言いおいて、帰る準備をすべく二階に戻る。
荷造りするような大荷物は持ってこなかったので、早ければ社長が終わらせているはず。
なんて思いながら二階の部屋に戻った。



●○●○




あのあと部屋に戻ったら、案の定荷造りは終わっていて、着替えれば出られるようになっていた。
さすが社長。良い旦那差さんになれますね~なんて言ったら怒られたけど。


家を出て、近くの公園で妖精さんから人間になった社長。
いつもは会社に行くのにも私の肩に乗っていくのに…。


私の前を無言でずんずん歩く社長。
その背中を見ながら、何かあるのかな?なんて呑気な事を考えながら歩く私。
傍から見たらどう見えるんだろう?
まぁ……社長はスーツだし、私も今日はわりときちんとした格好をしているので、“上司と部下”くらいには見えるだろう……と思う。間違っても彼氏と彼女には見えまい。


そんな自虐的な事を考えていたら、社長の足が止まった。


「ここ、俺の家だから」
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