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しおりを挟む「なんて言う会社なんだい?」
しばらく考え込んでいた伯父さんが、会社の名前を聞いてきた。
「多分、対外的には古書を専門に扱う会社で……店舗もあるんだけど、店舗の方には名前がないの……」
そこ迄で解ったのか、伯父さんと聡さんが二人びっくりしたような声を出した。
「「へえ……」」
「美里…君は凄いね……」
何が凄いのか解らないまま黙ってしまった伯父の代わりに、聡さんが教えてくてた。
「あそこは古書を扱っているのは勿論なんだけど、色々といわく付きの物も取り扱える会社なんだ」
うんうん…それはもう、嫌になるくらい知っています。入社してまだ一年経ちませんが、お腹いっぱいになる位知ってます……。
「でね……これは本当に一部の者しか知らない事だけど……あそこの会社は滅多に人を採らないことで有名なんだよ」
う~ん……滅多に人を採らないのは働く人が足りているから?聡さんが何を言わんといているのかイマイチ理解出来ずにいると、もっとびっくりする事を教えてくれた。
「美里さんの前に人が入ったのは確か大正時代だったかな?今はミヤコと名乗っているはずなんだけど……僕の母なんだ」
会ったことあるかい?
そう、にっこり微笑まれたけど、私には全然笑っているように見えなかった。
だって、それが本当なら…本当なら……聡さんは人外さん?伯父さんはそれを知っているの?
驚き過ぎて声が出ず聞きたいことも聞けない私の気持ちが伝わったのか、伯父さんは軽い感じで……てれっと顔を赤くして……
「美里の言いたいことは何となく解るよ。勿論、聡が人ではないことは理解しているよ。僕と聡は伴侶の契りも交わしたからね…その後のことも解っているよ」
穏やかな伯父さんの笑顔がとても眩しく感じ、そして自然に思った……。
伯父さんの伴侶が聡さんで良かったと……。
⚫〇⚫〇⚫
その後、食事が運ばれて来たこともあり、しばらくは食事をしながら、おじいちゃんの会社の業務内容だったり、私が今の仕事に就いた過程を話したりした。
さすが有名料亭♪なんて思いつつ、出てきた料理を綺麗に平らげ、美味しい日本酒も少々頂き、最後のデザートが出てきたあと、待っていたように、伯父さんに社長との事を聞かれた。
「こんなことはフェアじゃないからあまり言いたくないんだけど……俺達…人外が"伴侶"となる者に出会えるのは稀なんだよ」
聡さんが言うには…人間で言う結婚は、すぐに…それこそ気分次第でできるそうだ。
人外さんの結婚は、人がお付き合いする位の軽いものらしい。
「けどね……伴侶の契りが結べる相手って、人外の永い生の中でも出会える確率は砂粒ほどなんだよ」
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