人外さんに選ばれたのは私でした ~それでも私は人間です~

こひな

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「………というわけなのですが、どのような経緯でこうなってしまったのでしょうか?」


式場のブライダルサロンに行ってからこっち、何故か美里に会えていない。
そして、ツヅキから伝言を聞き今に至る…。


『どうしてこうなった』


ブライダルサロンでいきなり帰って行った美里はあのままの足でここに寄り、ツヅキに伝言を頼んだようだ。


「多分ですが……社長は追いかけようともなさらなかったのですか?」


呆れたツヅキから冷たい視線を向けられる。


「いや…まぁ…なぁ……………………俺だって驚いたんだよ。だって、担当ですって出てきたのはアイツだぞ。言い訳がましくて聞こえるだろうが、俺は今アイツがなんの仕事をしているか知らなかったんだぞ」


「それは社長の事情でございます。おそらく、渡利様はの態度をだいぶ不愉快に感じております。そしてそれを分かっていながら、自分に対してなんのモーションも起こさない社長に疑念を持っております」


間髪入れずに言われた言葉が、胸にグサグサ刺さる。


「早急に対応なされた方が宜しいかと思います。まずは手近なところで、担当替えでございましょうか…このまま担当ですと、を式に呼べなくなってしまいますよ。ご親族…お姉様なのですから、こうなる前に渡利様にご紹介するべきでしたが……」


ごもっともなツヅキの言葉にグウの音も出なかった。ちなみに、お前が説明してくれても良かったのに…という俺の言葉は却下された。


をどのように説明したらいいのか、私には判断しかねますので」


らしい……。



⚫〇⚫〇



ブライダルサロンを飛び出して早一週間。あれから雪斗さんの顔を見ていない。避けている……というのも若干あるけれど……こんなに会わないものなのだな……と思った。今まではお互いが会おうと思っていたから会えていたのかもしれない……知らず知らず溜息をもらしてしまう……。


「こっちはまだ雪が残っているのか……」


今日は久しぶりの出張……以前に務めていた会社での顧客……随分と私を買ってくれていたおばあちゃんの直々のご指名だ。
会社は移っても携帯は替えていなかったお陰で、あの気のいいおばあちゃんにまた会えるかと思うと、神様って見ていてくれるんだなぁ…なんて思っちゃったりしている。


まぁ……自分の頭を冷やす良いタイミングかもしれない。出張先は都築川さんに言ってきたし……大丈夫だろう。
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