人外さんに選ばれたのは私でした ~それでも私は人間です~

こひな

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「こんにちは。先日はどーも」


近くのチェーンのコーヒー店でお昼兼おやつを食べていると、知っているけど聞きなれない声が聞こえた。


「ここ、いい?」


そう言って外向きに作られたカウンター席に座る私の横に座ったのは、ブライダルサロンで私達の担当だと言っていた女性だった。


「こんにちは。まずは謝らせてね。あの時はごめんなさいね。じゃなく揶揄いたかっただけなんだけど、姉弟きょうだいだって知らなかったらそりゃ怒るわよね」


そう言って真摯に謝ってくれたのは、雪斗さんの姉の彩音さんだった。ちなみに、あそこのホテルは首都圏でもホテルを経営している彩音さんの旦那さん(旦那さんも人外さんらしい)の経営しているホテルらしい。


「仕事をする時は高遠彩音って名乗っているのよ」


そう言って、とは違う可愛らしい笑顔を見せてくれた。眼福眼福。
それから二人で、コーヒーを飲みながら少し話して、お互い休憩中だからと早々にお店を出た。そして、もう一度ゆっくり会いたいという彩音さんと、スマホの番号の交換をして別れた。


先週のの件(ブライダルサロンの事)……一週間も引きずっていたのに、何だかあの姉弟にホイホイと有耶無耶にされた気がするけど……まぁいいか…。


この一週間、怒りの感情を維持するのは正直大変だった。のほほんと…姉と弟に守られて育ってきた私にとって、怒るという感情は体力がいる事なんだと実感できた、貴重な体験だった。だからといって、の怒りはあまり体験したくないので、遠慮したいところだけど。


そんな事を考えながら会社に向かい歩いていると、見慣れない着物の女性が前方を歩いているのを見つけた。あれは……ミヤコさん?


ふと見えた横顔で本人だと確信できたので、慌てて走り出し、ミヤコさんに声を掛けた。
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