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しおりを挟む「渡利様……この度は色々とお世話をお掛けして申し訳ございません」
会社の応接室…またの名を副社長室にミヤコさんを案内してお茶を勧めた。まだ春とはいえ陽が当たる所はジリジリ暑い。季節的にまだ夏用の着物には程遠い時期だし…そう思い冷たいお茶も準備してみたけど、熱いお茶が好きらしい。
「ツヅキから話しを聞きました。改めて…私の姪…が、色々と我儘を言ったようで申し訳ございません」
いきなり謝られたけど、そんな事思ってもいなかったので、慌ててミヤコさんに言った。
「この会社に入る前からの、前の会社からのお得意様だったんです。偶然です!」
深々と頭を下げられ、慌てたせいもあってなんだか言い訳じみてしまったけど、本当にそうだからしょうがない。
「前の会社の仕事でお邪魔した時、肩に乗る雪斗さんが見えたそうなんです。その顔が、残っていた写真……ミヤコさんが送った写真の子供に良く似ていると思ったそうです」
ミヤコさんが送った手紙や写真もきれいに取ってあって、見てもらいたいと言っていた古い木箱に、全部取ってあるらしい事も全部話した。
「そうですか…でも色々しがらみもあって、残念なのですが私は行けないのです。せめて仏壇に手を合わせるくらいはしたかったのですが……」
がっかりしたようなミヤコさんに、後日お墓参りに行ってはどうかと提案して、今日は帰ることにした。
⚫〇⚫〇
「じゃあ明日気を付けて…え?伯父さんも行くの?」
ナズナさんと聡さんがミヤコさんの実家に行くことになった日、急遽伯父さんもついて行くと聞いてちょっとびっくりした。まぁ、普段は忙しくて旅行にも行けないらしいので、ついでの新婚旅行のつもりらしい。
ナズナさんは用事が済んだら直ぐに帰ってくると言うので、二人でゆっくり三日ほどあちらに滞在予定だそうだ。
「この間行った時はまだ雪があったから……」
風邪をひかないよう電話で伝え、私は通常業務に戻った。
その日一日恒例の書類チェックをして、久々に座りっぱなしの仕事にうんざりした頃、都築川さんが今日の私の帰宅先を確認してきた。
「本日はナヅナが居りませんので、私もお屋敷に行き社長のお世話の予定でございますので……」
ナヅナさんが家令をする前は都築川さんがやっていたとの事で、特に問題なく変わりができるらしい。
そんなわけで、帰りは都築川さんが運転する車に乗り雪斗さんのお家に向かった。
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