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しおりを挟む「明日ね……」
正直言えば、既に嫁いでしまっている状態なんだけれど、ここの世界の制度上はいまだ渡利姓の私は、明日の結婚式に向け、今日は実家に帰ってきている。
ちなみに、アパートは先月末の更新時に更新せず、荷物は雪斗さんのお屋敷に運び込んでしまった。そこのところは両親とも了承済みだ。だって勿体ないし。
そして、感傷に浸っているかのような母のセリフだけど、事実はちょっと違う。
私が嫁に行く事に対しての感傷ではなく、雪斗さんのご両親に会うことに対して緊張しているだけである。まぁその緊張も母だけで、昨日帰ってきたばかりの父は、帰国したらそれなりに用事があるようで、今日は大学に呼ばれ『出勤』して行った。
弟の勇樹は……と言うと、父と同じく大学に行っている。実地で単位取得出来る講座とはいえ、その講座だけ取れば卒業出来るわけではないので、機会を逃すと留年になってしまうので、チャンスは逃さずといったところらしい。父・弟共に今回の帰国で一ヶ月程日本にいるようなので、久々にゆっくり……の予定らしい。
まぁ…予定は未定だ。
「それにしても、お父さんも勇ちゃんもなんて言うのかしら…感傷に浸るとか寂しがるとかってないのかしら……」
双子のミルクを作りながら、ブツブツと言う母に、心の中で『お前もなっ!』という突っ込みをしつつ、双子の兄の方…怜を抱きあやす…というか遊ぶ私。陽香は私が座るソファの横ですやすやと寝ている。
産後退院が少し延びた姉は、小さく産まれた陽香と同時期に退院出来た。姉に関しては高齢出産で初産で双子だったこともあって、体力の戻り等々心配事は多々あったが、陽香に関しては当初の心配なんてなんのその。予想に反して元気いっぱいだ。
それもこれも雪斗さんのお陰だと知っているのは、私と母と姉のみだ。
不思議なことに、我が家の女性陣は雪斗さんの妖精バージョンが見えてしまっている(お父さんと勇樹にも時々見えてたらしいけど…)。
雪斗さん曰く、特に見えなくなるような術を使っているわけではないようで、昔から見える人には見えるらしい。
ただ、人間は『通常は見えないものや見たくないもの』は見えないように都合よく認識するらしく、成長するに連れほとんどの人が見えなくなるようだと教えてくれた。
なんとなく言っている事は分かる。
ロマンだなんだと言う父は、ああ見えて現実直視型だ。不思議なものが見えても、呪いだなんだと実際あって経験していたとしても、最終的には人の想いのなせる技なんて言う言葉で片付けてしまうし、考古学だって結局は過去の真実を掘り起こす作業らしい。そして、その考えは勇樹にもしっかり受け継がれているらしい。
親子って面白い。
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