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108~あれから一年~
しおりを挟む結婚式の準備も着々と進み、いつの間にか今年もフリーマーケット季節がやってきた……が、今年は例年の如く姉のお手伝いではなく、本日は自分が勤める会社での参加だ。
「って言ってもね…去年もチラッと覗いたけど、ここって人通りがね……」
横に都築川さん、肩にはなぜか妖精バージョンの雪斗さんという、出会った頃を彷彿とさせる雰囲気でブースに座ってはいるけれど、周囲には誰もいない……はっきり言えば過疎ブースなのだけれど……
「渡利様…ここにブースを構えて参加をするということが大事なのでございますよ」
と…まぁこんな感じで既に三時間。
冷やかし程度にお客さんは来るけれども、あくまでもフリーマーケットだ。
本格的な古書や、ン十万円もするアンティークの小物なんか買いに来る輩はこんな所には来ない。
たまに掘り出し物がないか見に来る人がいるけれど、常連でもなければ分からない。
「あらっ♪やっぱり今年も出店していたのね」
どこかで聞いたことがある声が…なんて思っていたら、双子をベビーカーに乗せた姉だった。
昨年も会社で出していた記憶があったので、覗きに来たらしい。
「怜、陽香、暑くない?」
ブースを出て、ベビーカーに乗っている二人に駆け寄ると、一足先にフヨフヨと飛んできていた雪斗さんが見えているのか、手を出してきゃっきゃとはしゃいでいる。雪斗さんの事だから、双子の手に叩かれたり挟まれたりしないとは思うんだけれど、なんだか心配で目で追ってしまう。
「美里、招待状ありがとう。この子達の事も色々配慮してくれているみたいで。喜んで出席させてもらうわね」
満面の笑みでそう言った姉は、私の耳元でこそっと呟いた。
「なかなかお礼言えなかったんだけど、あなたのダーリンにお礼言ってて欲しいの。出産の時も今も…いつもありがとうって…」
あれ????え??お姉ちゃんも見えているの????
思わず顔に出てしまったのか、ふふふと笑いながら『前は見えなかったんだけどね、ほら、妊娠すると体質が変わるって言うじゃない?』そう言って手を振って帰って行った。
嵐のように来て嵐のように去っていく…姉の相変わらずのパワフルさに呆然としていたら、後ろにいた都築川さんがボソッと…
「私には姉と言う存在は居りませんが…彩音様といい美琴様といい、いづれパワフルな方々でございますねぇ」
こうして、我が家の春の嵐は過ぎ去っていった。
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