人外さんに選ばれたのは私でした ~それでも私は人間です~

こひな

文字の大きさ
111 / 113

111

しおりを挟む


結婚式当日。


昔から何か行事があると微妙に雨が降りそうな日ばかりだった私に限って…と思いつつ隣に立つ雪斗さんを見て納得。この人、強烈な晴れ男でした。


そんなわけで、絶好の結婚式日和の今日。
夜中に近い時間から準備をしていた私は、まだ朝の十時だと言うのに既にぐったりだったりしている。


「眠いですよ…緊張してるけど」


雪斗さんに少しボヤきながらゆっくり歩く。
今朝はホテルに五時に入らなければいけなかったので頑張って三時に起きた。
実家に泊って、今朝(?)はなるべく皆を起こさないよう静かに出る予定でいたのに、いつの間にか父と母が見送りに出てきてくれていた。


「今日、ここから出たら美里みさちゃんは渡利じゃなくなっちゃうのね」
「渡利じゃなくなっても父さん達の子供で、美琴や勇樹の姉弟きょうだいに変りはないんだから」


そう言って、二人とも涙目で送り出してくれた。
今まであまり考えていなかったけど…改めて、結婚という意味や家族の絆を実感してしまい、ホテルに着いたらメイクがあると言うのに、タクシーの中でわんわん泣いてしまった。



そこに実家があり会社があり、父や母…家族もそこにあり…。
すでに自立もしているから、姓が変わるだけで他は何も変わらないと思っていた結婚が、こんなにも悲しくてうれしい事だとは思わなかった。


タクシーで十分程の時間、わんわん泣いたお陰でホテルに着いてからが大変だったけど、雪斗さんのお姉さんのお陰でなんとかなり…無事ヘアメイクも済み写真撮影も終え今に至るんだけど、先述の通り既に疲れ切ってしまった私に、苦笑いしながら『これでも食っとけ』と飴玉を一つくれた。
他人の(人間の)目があるので、色々とやらかすわけにはいかないだろうと、都築川さんが事前に準備してくれていたそうだ。まぁ、人間で言うところの栄養剤らしい。






都築川さんが準備してくれた飴玉と、雪斗さんのお姉さん…彩音さんの美顔マッサージのお陰で、無事披露宴を始められ、滞りなく式次第も進み……一般的な披露宴よりほんの少し時間の長い3時間ほどで終了した。
ちなみに……雪斗さんのご両親との初対面は披露宴中…ぶっつけ本番でした。


人外さんも偉くなると色々と邪魔をされたりして大変らしく、乗るはずの飛行機がエンジントラブルで飛び立てず…遅れに遅れ、最寄りの空港に着いたのが今朝。その後は人外さんならでは…というか、雪斗さんのご両親ならではの移動方法で、急いでここまで来たらしい。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長

五城楼スケ(デコスケ)
ファンタジー
〜花が良く育つので「緑の手」だと思っていたら「癒しの手」だったようです〜 王都の隅っこで両親から受け継いだ花屋「ブルーメ」を経営するアンネリーエ。 彼女のお店で売っている花は、色鮮やかで花持ちが良いと評判だ。 自分で花を育て、売っているアンネリーエの店に、ある日イケメンの騎士が現れる。 アンネリーエの作る花束を気に入ったイケメン騎士は、一週間に一度花束を買いに来るようになって──? どうやらアンネリーエが育てている花は、普通の花と違うらしい。 イケメン騎士が買っていく花束を切っ掛けに、アンネリーエの隠されていた力が明かされる、異世界お仕事ファンタジーです。 *こちらの作品、一旦完結しましたが、31話以降を加筆修正し、ネオページ様で連載することになりました。  新エピソードに加え、新キャラも出てきますので、興味ある方は是非。 *HOTランキング1位、エールに感想有難うございました!とても励みになっています! ※花の名前にルビで解説入れてみました。読みやすくなっていたら良いのですが。(;´Д`)  話の最後にも花の名前の解説を入れてますが、間違ってる可能性大です。  雰囲気を味わってもらえたら嬉しいです。  お読みいただいた皆様に感謝です!(人´∀`).☆.。.:*・゚

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

処理中です...