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1 進路相談
しおりを挟む「陽香~起きてる?早くしないと学校遅れるわよ!」
一階からいつもの母の怒鳴り声。
若かりし頃は、新進気鋭の芸術家として活躍していた母は、こうしていると普通の『お母さん』だけど、芸術がよく分からない私が観ても感動する絵を描く、私の自慢の母だ。
って言っても、私自身何に感動しているかも分からないんだけど、そこはあまり聞かないで欲しい。ちなみに、絵の才能は全く遺伝していない。母の妹…伯母の美琴ちゃんもからっきしだって言ってたから、特に問題は無い。
それに、凄腕のバイヤーだって言うお父さんだって、絵なのか何なのかよく分からない物を描くしね。誰がなんと言おうと問題はない。
まぁ、とりあえずその話しは置いておいて……今日の夕方、お母さんと先生との三者面談だ。もう進路を確定しなくちゃいけないのに、いまだうだうだしている私と…何も言わない母に痺れを切らした先生が、わざわざセッティングしたのだ。
友達が言うには、ただ単に先生がお母さんのファンで、会いたかっただけじゃないか…なんて言ってたけど、あながち間違いではなさそうなのが怖い。
「夕方学校行くからね。進路はまだ決めかねてるんでしょ?」
出がけに今日の話題であろう事の私の意思確認をして笑顔で手を振る母。最近のお母さん、仕事の件でちょっとイライラしてるんだけど…学校で爆発しない事を祈って……時々他人の地雷をぶち抜く担任が、余計なことを言わなければいいのだけど……。
なぜか他人の担任を心配している私って…。
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