49 / 84
49 超常現象体験
しおりを挟む泣き腫らして目を真っ赤にした両親と、美里ちゃんと崇ちゃんが病室で難しい話をしている。
ちなみに、私は今朝崇ちゃんが経営する会社の経営する病院に転院し、今日は少し前から出産準備の為入院している美里ちゃんも、車椅子に乗って病室に来てくれた。
いつもは不思議な存在が見えないお父さんだけど、お母さんが崇ちゃんにどうにか出来ないか…と相談して、どうにかして私を見えるようにしたらしい。
「ハルカ…ハルカ……なんてことだ。こんなことになって辛いのに…辛いのに、本物のエンジェルに会えるとは……」
本当ならシリアスな場面だろうに、お父さんのお陰で台無しな気がするのは、きっと私だけじゃないはず。だって、お母さんも苦笑いしてるし。
そんな大興奮のお父さんを置き去りにして、崇ちゃんは担当医の先生を交えて、お母さんと美里ちゃんに現状説明をした。
「今は……人間で言うところの"幽体離脱"状態でしょうか……ご当主の力の影響でこのような姿になっていますが……」
昏睡状態の私の頭に付けている脳波計を見ながら説明してくれたのは、偶然が偶然を呼んだ出来事だった……んだと思う。
普通なら…普通の人間なら、あのまま昏睡状態に陥り、しばらく後に植物人間状態もしくは死んでいただろうこと、私の身体に残る崇ちゃんの力のお陰で、肉体を離脱してもこうしていられること…。
「この姿になったのは…おそらくですが…いつも見えている者達のイメージが強く出たのかと思います。そしてこれが功を奏したのだと思います。この姿でなら、もうしばらくは猶予があるかと思います」
との見解だった。
猶予があるねぇ……。
あまりいい響きのない言葉。
やっぱり私、死んじゃうのかな……。
実感ないのは、この姿だからかな……。
自分が自分でなくなる……いや、まだ自分なんだけど…今までの自分でなくなる事実は、中々に受け入れ難い……気がする。
もう、あの時に…皆で楽しく部活したり勉強したり……始まったばかりの高校生活にはもう戻れないのだろうか…。
父母がいて怜くんがいて…妖精の彼女もぼんちゃんもいて……あの家に、生きて戻ることは出来ないのだろうか。
涙も声も出ない身体で、ベッドに横たわる自分を見る。
(せめてみんなに…お別れ言いたかったな。そして……宮田くんが悪いんじゃないよと言いたい。きっと宮田くんは気に病んでいる。気に病んで気に病んで、きっとダメになってしまう。大雑把に見えるけど、意外に繊細で真面目な宮田くん。彼の心が少しでも軽くなるように…)
0
あなたにおすすめの小説
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話
そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん!
好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。
ほのぼのラブコメというか日常系小説
オチなどはなく、ただひたすらにまったりします
挿絵や文章にもAIを使用しております。
苦手な方はご注意ください。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる