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65 決断と急変
しおりを挟む美里さんとの面会を終えて、気持ちを落ち着ける為に一度病院の中庭のベンチに座って休んだ。
もう9月なのにいまだ真夏のように暑かった昨日とは違い、今日は一転して秋のようなカラッとした陽気だった。
「もう少しで文化祭だもんな…」
一昨日までの悲壮な気持ちではない自分に変な感じもしつつ、これからの事を考える。
人と違う者との契約……てっきりすごく恐ろしい…自分も何かに変わってしまうのではないかと思っていたけど、思ったより普通で、思ったよりなにも変わらなさそうだと、美里さんと話をして思った。
それに…病院とか色々…渡利のおじさんが言っていたように、サポート体制も整っていそうだ。
幸いにして渡利も俺のことは好いてくれているようだし。
いまだ学生だということも考えると、結婚だ何だとはまだ先の話しだろうけど、好きな子と親公認で付き合えると思えば何の問題もなさそうだ。
残念なイケメンと言われ早10年。
とりあえずこの『残念なイケメン』の名を返上してみようか……
そう決断して渡利兄がいる病室に向かうと、渡利の病室にバタバタと数人の看護師と医師が駆け込むのが見えた。
「ご両親に至急連絡してっ、ご当主にも早くっ!!」
「先生、美里様にはどうしますか?」
「担当の看護師に向かわせて、車いすでお連れしてっ」
「あっ君、昨日ご当主といた子だね。けどごめん。今は面会できないっ」
バタバタと忙しなく動く病院スタッフを見て、渡利の容態が不味い事になっているのだと分かる。
「看護師さんっ!渡利の兄貴はっ?それとっ、俺を渡利に会わせてくださいっ!おれっ!渡利と契約しに来たんですっ!!!!」
話し掛けても応じてくれない大人に焦れて思わず叫んだら……
「その人中に入れてっ!早くっ早くっっ!!!!」
渡利兄の指示で看護師さんに連れられ病室に入ると、色々な機械とチューブを沢山身体に付けられ、青白かった顔色が土気色に変わってきている渡利と、渡利兄の元で小さな籠のベッドに横たわる小さな小さな渡利がいた。
「宮田…宮田ぁ……陽香を…陽香を助けてくれよっ」
泣きながら頼むからと泣き崩れる渡利兄の元に行き、力なく横たわる渡利を覗き込み話しかける。
聞こえていないのか…そこまでのチカラが残っていないのか、イマイチ反応が鈍い……
「渡利、これからも一緒にいるのには俺、どうしたらいい?」
相変わらずバタバタとした病室なはずなのに、なぜかとても静かに感じた不思議な瞬間だった。
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