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しおりを挟む「渡利…俺はどうしたらいい?」
まるで別の部屋にいるような感じがする……。
そんな風に感じながら小さくなってしまった渡利に、もう一度問いかける。
『それでいいの?』
頭の中に響く小さな小さな声。
これは……渡利の…この子の声なんだろうか……。
『それでいいの?私と一緒にいてくれるの?』
昨日も聞いた控えめな声がする。
そんなに何回も確認しなくてもいいのに……そう思いながら頷く。
「渡利も俺とずっと一緒にいてくれるんだろ?……なら、俺は大丈夫だ。渡利がいればもう二度と『残念なイケメン』なんて言われなくなるしな」
そう笑ったら、今度はクスクスと笑うような声が聞こえた。
そして " ありがとう " と……。
『宮田君……名前を…名前を呼んで。私の名前を呼んで……』
渡利の身体が…小さな身体が光を放ち始めた。
フワフワと淡い光の玉が舞い始める……
「陽香…渡利陽香…聞こえているか?これからも俺と…宮田直人と一緒にいてくれないか?」
言い切った瞬間、渡利の身体から出ていていた光の玉がもう一度戻り集まり……
目も眩むような光の洪水が病室を埋め尽くしたのを最後に、俺の記憶は途切れた。
●○●○
「なぁ…俺っていつまで入院なの?」
ベッド脇に座ってリンゴの皮を剥くという、お見舞いのド定番をかます母親に聞く。
未成年は何をするにでも保護者の許可が必要で……強引に退院するという強行が出来ないのが残念だ。
「なにバカなこと言ってんのよ。まだ入院して半月も経ってないでしょ。先生には少なくとも一ヶ月は入院してくださいって言われたんだから、大人しくしていなさいっ」
ビシッと言い切り、再びリンゴの皮を剥き始める母親。
はぁ……マジで暇だ。
「健康第一の残念イケメンって言われるあんたが入院って…」
実の母親ながらとても失礼なことを言っているのに気が付いているんだろうか?
なんて思いながらクツクツと笑う母親を見る。
まぁ、入院と言っても大怪我とか病気での入院じゃないから気は楽だ。
けど……
「まぁ、高校入って初めての文化祭だったからね~」
半笑いで言われちょっとムッとする。
けど、この入院は必要らしいから納得はしている。
納得はしているけど。
あの時……俺は間に合ったのかどうか、誰にも何も聞けていない。
ただ俺が倒れて入院した事実しか聞いていない。
里奈も万葉も見舞いには来てくれているが、渡利に関しての情報は全くと言って良いほど分からない。
あの時、同じ病室にいた渡利兄はあれから一段と寡黙になったらしい。
万葉がため息をつきながら教えてくれた。
「文化祭の時に思い切って告白したんだ。こんな時にって思ったんだけど…」
顔を赤くしながら、里奈に揶揄われながら話す万葉はいつもの男勝りなところはきれいに引っ込み、しっかり女の子している。そしてそれを見てさらに揶揄う里奈……可哀そうだから止めてやれと言ったら、今度は俺が怒られたりして……少しずつ元の…以前の生活に戻りつつある俺達。
考えてもしょうがないのは分かっているけれど………渡利は…陽香は今どうしているんだろう。
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