人外さんはお友達 ～私だって仲良くなりたい！～

７０ あれから一年

進級して新しいクラスにも馴染み、運動部ではこの次の大会で三年生は引退となる。
上級生が引退した後に主力になる二年生は、なんだかんだと忙しくて、なかなか陽香に会いに行けず、実はここしばらくはかなりイライラしていた。そして、そのイライラが原因…とは思いたくはないけれど、昨日部活中に怪我をしてしまった。


（はぁ……これじゃ、陽香の顔も見に行けないじゃん……）


陽香が怪我して入院、昏睡状態に陥ってからもうすぐ一年になる。
色々色々あったけれど、二年生になったばかりの頃、おじさんの屋敷にで眠り続ける陽香に、ようやく面会できるようになった。


『ごめんね。屋敷の中が落ち着かなくてね…人間の君を入れることが出来なくて、時間掛っちゃって…』


と……連絡をくれたのは、陽香の叔母さんである美里さんだった。
その内、君も経験すると思うけど……と言いながら、色々あったことを話してくれた。
まぁ……色々あるよね…多分。


まぁ、そんなわけでようやく陽香の顔を見に行けるようになったのにこのざまだ……。
ちなみに、見舞いが許されたのはまだ俺だけらしい。


『今はまだ契約者でないと触れられないみたい』


と、よく分からない表現をされた。



なのにこれ。
ちなみに、只今松葉づえ無しでは歩けない。
右足の腱を痛めてしまったのだ。


「陽香…ごめん。会いに行けない」


思わず涙がポロっと出たのは内緒だ。