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71 妖精姫の独り言
しおりを挟む『時間の感覚が無い…』
ひと言でいうとそんな感じ。
だって、怜くんが…里奈も万葉も……そして宮田君も冬服から夏服になってる!!
だから、結構時間が経ったんだと思った。
『人間の感覚が上手く抜けないなあ~。それとも下手に抜かない方が良いのかな?』
この姿になったばかりの時はこんなことなかったのになぁ~…なんて思いながら、以前自分が寝ていたベッドに横になる宮田くんの周りをふよふよと飛ぶ。こうして時々練習をしておかないと、バランスを崩してポテッと落ちることもある。この姿になっても鈍くさい自分が恨めしい。
『自然に飛べるようになるわけじゃないんだって言うのが新しい発見よね』
窓辺に降り立ち、いつものように空を眺める。
あの時……もうお別れなんだ…そう思った時に、最期に宮田君の顔が見られて嬉しいなぁ~って思ったの。皆にお別れは言えないけど、好きな人に看取られて終わる悲劇の主人公的な……あの時はあんな風に考えないとやっていられなかった。だってね……あまり考えないようにしていたけど、私がこうなったのって、あの先輩達のせいなのに、一度も見舞いに来なかったのよ?
…なんて思ってもどうにもならないので、平常心平常心。
下手に私が怒り出すと、周りの子達が引き摺られちゃうからね。
『姫』は大変だ。
ちなみに……つい最近『教育係』なんていうのが付きました。
それも、お馴染みのぼんちゃん♪
崇ちゃんの指示で来たらしい。
まぁ、私の気分も体調もようやく安定してきたからって言うのもあるんだろうなと思う。
それに、今までと同じように……人間だった時と同じように色々しちゃうと、なかなか大変なことになる事もあるから、教えてもらえるのはとてもありがたい話だ。
とにかく、いまは妖精としてのチカラの使い方を勉強して…感情の制御も頑張らないといけないらしい。
あとは……存在が定着すれば外にもいけるみたい。
それまでは宮田君にもここに……病院にいてもらわないと駄目みたい。
『ごめんね。宮田君』
●○●○
病院軟禁生活も半月くらいたったらしい。
さっき、宮田君がぼやいていた。
ここ最近は、毎日夕方に宮田君のお母さんが来るんだ。
全然似ていないから、宮田君はお父さん似なのかな?
宮田君はお母さんと仲がいいみたいだ。
さっきも、バンバン背中を叩かれてゲホゲホしてた。
面白い♪
それと…今日も教育係のぼんちゃんが来たよ。
今日は、勉強じゃなくて私の人間の身体の現状を教えていってくれた。
あの日…消えそうになったあの日、宮田君と寸でのところで契約が成った。
偶然に偶然が重なって、宮田君が一度も呼んだことのない名前『陽香』と呼んだ。
もし宮田君が、名字だけもしくはフルネームで呼んでいたら契約は成らなかったらしい。
契約には何通りかのやり方があって、今回の名付けと呼ばれるのは一番簡単な方法らしい。
相手が付けた名前を受け入れれば契約成立。受け入れなければ不成立という単純な方法。
けどまぁ、私も宮田君もそんなの知るわけもなく、偶然が偶然を呼び…って言う感じだ。
結果オーライとはこれを言うんだろう……か?
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