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72 妖精姫は引き籠り
しおりを挟む契約が成ったあの後、私の人間の身体は徐々に危篤状態を脱したのだけれど、妖精化した私がなかなか回復しなかったらしい。駆けつけてくれた崇ちゃんと秘書さんと美里ちゃんで、どうしたものかと悩んでいたら、いきなりベッドの上の身体が繭のものに包まれ始めたらしい。同時に妖精化した私の身体が縮んでいき、光の玉だけの存在になってしまったとの事だった。
その後は徐々に徐々に元気になっていって今に至る……なんだけど、どういう仕組み何だろう?
『妖精姫』の存在自体が文献の中のみにしか書かれておらず、おまけにその妖精姫が元は人間だなんてイレギュラー中のイレギュラーらしく、誰も何も分からずの今、あくまでも予想ではあるけれど、繭で身体を包んだことで妖精体と人間の身体の繋がりを一時的に切り妖精体の回復を優先させると共に、元の身体である人間に身体を人間とは違う生き物……人外の者へと作り替えているのではないか?と……秘書の都築川さんの弁だ。
『私は蝶なのか?いや?繭って…蛾?……蛾…は嫌だなぁ……』
虫の生態は良く知らないけれど、蛾は嫌だなぁ~と、夜バタバタと飛ぶ蛾を思い出す。
まぁ…妖精だから厳密にいうと虫じゃないんだけど。
やっぱり見た目は大事よね。
宮田君に『え?渡利って蛾なの?』なんて言われたら軽く死ねそう。
そして、出来れば虫嫌いで無いよう祈るばかり。
だって妖精の私は背中には蝶のような羽が生えているから。
●○●○
宮田君が無事退院する前、お揃いで買ったキーホルダーの石を一時的な依り代にして、一緒に病院を出ることができた。偶然ってすごいね!キーホルダーに付いている石は結構大きめのパワーストーンだった。
まぁ、依り代になる物が無ければ崇ちゃんの方から渡す予定だったらしいんだけど、愛着がある方が良いらしい。
やっぱり結構居心地がいいのよね。
そうそう、お屋敷に寝ている私の身体も段々繭が薄くなっていて、そろそろ崇ちゃんや怜くん、両親だったら面会できるようになるだろうって。ただね…人外さん的理由があって、里奈や万葉は来れないんだって。
まぁ、妖精化した状態で毎日宮田君にひっついて学校に行ってるから、私的には二人の顔は見られるから問題はないんだけど……って、やっぱり二人とも私の事見えている?
時々目で追われている気がするし、気のせいか時々目まで合っちゃうんだよね。
時々すっごい近くで見られて恥ずかしいんだけど…見えてる…んだよね?
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