人外さんはお友達 ~私だって仲良くなりたい!~

こひな

文字の大きさ
73 / 84

73 少しずつ少しずつ

しおりを挟む

お屋敷で眠る私の身体から完全に繭が無くなり、一見すると普通に眠っているように見えるけれども、丸一年経った今でも髪の長さも変わらず…お医者様によると筋力の低下もほぼない状態。
恐らくだけど、体重もおまけに身長も変わっていないのではないだろうか…と思う。
ちなみに……元の体重は乙女の秘め事なので内緒だ。


「宮田君、ご足労掛けたね」


今日は、宮田君が初めて崇ちゃんと美里ちゃんが住んでいるお屋敷に来た。
もちろん怜くんも来ているのだけれど、今日は宮田君がメインだ。


「つい最近まで陽香は繭に入っていてね…ようやく今の状態になったんだけど、誰も触れないんだ」


誰も触れない?
そうなの?????


不思議に思って話を聞いていると、繭が囲っていた距離ぐらいに近づくと直接触る事が出来ないらしい。
物体は通すらしく、今のところ食事も水分摂取も必要のない私の身体は、"お世話する"ことも無いので特に問題はないらしい。それにしても…不思議。ご飯も何もいらないんだぁ~なんて呑気に思っていたら、崇ちゃんが私を見てニッコリ笑った。


「まだ、ぼんからはそこまで聞いていないのか?陽香は恐らく俺と近い種族だ。入院中ハチミツを好んで食べていたろ?今はほら……花からエネルギーをもらっているようなんだよ」


崇ちゃんに言われて周りをみると、鉢植えの花に花瓶に生けられた花が数か所飾られていた。
私を肩に乗せている宮田君もきょろきょろと室内を見回している。



「陽香も、この屋敷の家妖精を知っているだろ?彼女がね、いつも君のお世話をせっせとしてくれているんだよ」


へぇ~なんて呑気に頷く私とは違い、きっと初めて見るファンタジーな世界に驚いている宮田君が、ボソッとスッゲェーと呟いている。ワクワクしている宮田君の横顔を見ながら、眠る私の周りでフワフワしている光に、お礼を言いに行ったら、恥ずかしそうに崇ちゃんの後ろに隠れちゃった。


色々…まだ実感もなくいるけれど、これが私のこれから生活する世界なんだなぁ…としみじみ思いつつ、宮田君のところに戻ると、そっと手を出されたので、大人しく手のひらの上に座った。
気分は親指姫だ。親指より大きいけど。


「今日、宮田君を呼んだのはね…陽香と縁を結んだ宮田君だったら、陽香の身体の周りにある見えない囲いを外せるんじゃないかと思ってね。我々も未経験な事ばかりで手探り状態なんだ。やってみてくれないか?」



繭の囲いが無くなり、数日は良かったのだけれど最近は花の萎れ方が通常の速さになって来たらしい。
ちなみに…繭が無くなった頃は切り花を飾っても一時間も持たなかったらしい。
怖いよ…私の身体……。


「きっと、そろそろ通常の栄養摂取に戻ると予想しているんだ」


そうか…どうやら普通に戻るらしい。
ちょっと安心した。


「身体が通常に戻るならば、介助が出来ないのは難点どころの話しじゃなくなるからね」


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら

瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。  タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。  しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。  剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話

そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん! 好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。 ほのぼのラブコメというか日常系小説 オチなどはなく、ただひたすらにまったりします 挿絵や文章にもAIを使用しております。 苦手な方はご注意ください。

ヤクザに医官はおりません

ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした 会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。 シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。 無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。 反社会組織の集まりか! ヤ◯ザに見初められたら逃げられない? 勘違いから始まる異文化交流のお話です。 ※もちろんフィクションです。 小説家になろう、カクヨムに投稿しています。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

下宿屋 東風荘 7

浅井 ことは
キャラ文芸
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..☆ 四つの巻物と本の解読で段々と力を身につけだした雪翔。 狐の国で保護されながら、五つ目の巻物を持つ九堂の居所をつかみ、自身を鍵とする場所に辿り着けるのか! 四社の狐に天狐が大集結。 第七弾始動! ☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..☆ 表紙の無断使用は固くお断りさせて頂いております。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...