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74 日常に向かって
しおりを挟む結局……崇ちゃんと秘書の都築川さんが考えていた通りだった。
あの日、宮田君はベッドで眠る私に触れられた。
そして、引き寄せられるように私にキスをしてしまった宮田君は、私を目覚めさせてしまった。
目の前で繰り広げられた"可愛い身内への不届きな行為"で、怜くんと崇ちゃんはワナワナしていたらしいけど、期待していた以上の結果……私が目覚めたという結果が怒りを少々和らげた。
和らげたけど、かなり後まで怜くんにチクチクチクチクチクチク…etc.言っていたらしい。
『よくも身内の前でできるよなぁ~?』
って…。
そんな事とはつゆ知らず、その日から私は人間の身体のリハビリが始まった。
衰弱や筋力の低下など大きな変化はなかったけれど、やっぱり一年も身体を使っていないと感覚がおかしので、日常の動作から徐々に…だったんだけど、箸が思うように使えなかったのは我ながら笑ってしまった。
ちなみに…今は一日の活動時間の半分を人間の身体でリハビリし、あとの半分は妖精化して宮田君にくっついて行っている。多分だけど……今は私の姿は宮田君に見えていない……んだろうなって感じ。
時々目で追われることはあるけれどそれだけ……だから多分見えていない。
宮田君についているお陰で、本当は休学扱いだけど、雰囲気だけは楽しんでいる。
学校は久々だし、文化祭は初めてだ。
もしかしたら…上手くリハビリが進めば、見学くらいには来れるかなぁ~とちょっと思っている。
だって、復学すれば文化祭は経験できるけど、宮田君と里奈と万葉と、そして怜くんと一緒に経験できる文化祭はもうないかも知れない。だから今の目標は、文化祭までの復活なのですっ!
●○●○
「ちょっ大丈夫なのか?宮田?」
松葉杖をついて登校した宮田君を見てクラスメイトが声を掛けた。
隣には宮田君のバッグをもった里奈がいる。
「昨日部活中にちょっとな……」
苦笑いしつつ、同じサッカー部の人に声を掛け、今日からしばらく部活を休む連絡を頼んでいた。
そう…昨日、身体のリハビリが終わったあと、いつもの通り宮田君のところに来たら、すでに怪我をした後だった。
脂汗を流しながら、自力で立って病院に行ったけど、その間私は何もできず……。
この小さな身体では宮田君の助けにはならない…せめて痛みが取れるように……そう願いながら宮田君と一緒にいたら、少しづつ宮田君の脂汗が引いてきて…
『陽香、ありがとう』
ボソッと呟いてくれた。
えっ?えっ?私の事見えてる?存在を分かってくれてる???
とてもとても嬉しい瞬間だった。
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