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60、森へ向けて

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対策……対策……対策……。


さてどうしよう?
都合よく今日は一日お休み。
本当は公爵家の図書室で、文献並みに古い本を読みまくる、#____#趣味の日の予定だったのだけど……。


「ソラ……低位の精霊さんってすぐ会えるかしら?それと……この世界で、精霊と意思疎通ができる人っているの?」


朝、ソラにお願いする前に聞いた事だった。
もし、私の他に精霊と意思疎通ができる人が他にいなければ、は精霊の加護が……という言い訳にできる。そして、その精霊が低位であれば、貴族だろうが王族だろうが『なんだ、低位の精霊の加護か……』となり、意思疎通もできない……ただ少しだけお願いができる程度なら、おそらく声もかけられないはず。


それに、元々私は戦闘が苦手だ。
戦闘も、多分やってやれない事はないと思うけれど、せいぜい森の入口近辺にいる魔物位しか倒せない。鑑定らしきものが出来るとか従魔がいるとかのオプションはあれど、他人が見てても役に立っているとはお世辞にも言えないレベルでしか使った事がない。
はっきり言えば、自分ぐらいの冒険者なんていっぱいいるのだ。


ロイス様から指名依頼が来たのだって、実際は冒険者としての実力ではなく、貴族だった過去の知識や教養ゆえのことだろうし……。

(それに、ソラがこれだもんね…………)


『ジュリ、ジュリ♪ じゃあさ、これから森に行こうよ!友達いっぱい紹介するからね』


目をキラキラさせて尻尾をブンブン振る仕草は、精霊でもなく魔狼でもなくただの白い大型犬にしか見えない。いっそ見る人が見れば駄犬といっていいくらい何もせず、食って寝て遊ぶだけ。ソラには悪いが今後も同じようにゆったり過ごしてもらおう。



「じゃあ、行こうか ♪ 」


本来なら今日一日だけだったお休みも、モックの町でのお買い物を頼まれ、二日間猶予を貰った。交通手段もボードウィルさんが予約手配してくれ、心置きなく出かけられそうだった……ロイス様を覗いては……。


「急に出掛けるなんて……それもモックだなんて……一人で大丈夫なのか?」


どこからどう見ても男の子にしか見えない、これでもCランクの冒険者に向かって、ロイス様は何を言うのだか……と思いつつも、みんなの見送りを受け、ソラと二人馬車に乗り込んだ。


「じゃぁ、すみませんが……行ってまいります」
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