たとえそれが間違いだとしても

Fuu

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終わりの始まり

打ち明けの真実

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 デートを終えて、俺と空深は城に戻った。その時には、夕食の支度が既に整っていたため、急いでクラスメイトの元にいった。
 だが、その日の夕食はあまり食べれなかった。雰囲気とか、味とかの問題ではなく、俺の心の問題として。

 結局、俺は半分も残してしまった。
 
 多分、空深は俺が魔王でも受け入れてくれると思う。けどもしこの考えが、俺のただの縋り付きたい淡い希望なのだとしたら......。

 はぁ、ダメだ。難しい事を考えるのはやめよう。自分の彼女を、幼馴染を信じれなくて何が男だ。
 んで、覚悟を決めたのはいいけど、まだ来るまで時間あるしな......。
 なんとなく窓際まで歩いて行き、空を見上げる。空は群青色に染まり青く光る月が空に昇っており、改めて、ここが地球ではなく異世界なんだなと言うことを実感させる。
 だけど、なんでだろうな。こっちの世界に来てからよく夜空を見上げるようになった。夜空を見ると何故か不思議と気分が落ち着いた。


 そんな風に夜空を見ているとドアをノックする音が俺の意識を戻した。あぶないあぶない、なんか意識が飛んでた気がする。
 窓辺からドアの方まで歩くのに気持ちの問題からか、いつもの倍歩いてる気がする。そして、ドアノブに手を掛けてから一度だけ深い深呼吸をする。......よし。
 再度、弱気になってしまいそうな自分にに鞭打ってドアを開けると空深が一人で居た。服装はとてもラフなもので目のやり場に正直困る唯一助かったのは、向こうでは学校にすら持って来ていた、お気に入りのパーカーを羽織っていたことだ。こっちの世界に来た時に制服の下に着ていたのだろう。正直持ってるとは思ってなかった。

「来てくれてありがとう、空深。とりあえず中に入ってくれ」

「うん、わかった」

 俺は、半身になって一歩下がり空深を部屋の中に入れ、ドアを閉める。
 さてと。

「とりあえず適当な場所に座っといてくれ」

 そう言いながら、俺は部屋にある簡易式台所で紅茶に似た飲み物を二つ作って持っていく。

「ほら」

「ありがとう。あれ?こんな飲み物あったっけ?」

 あれ?これの事知らないの?......あぁ、そういえば、これメイドさんから貰ったやつだったな。

「メイドさんに部屋でも美味しく飲めるものがあるかを聞いたらこれの茶葉?をくれたよ」

「へぇ、そっか。なら今度メイドさんに聞いてみよっと」

 そして、会話が途切れる。 
 切り出すとしたらここだな。いつも間にか口の中の水分が無いような感じになっていたので、紅茶もどきを一口飲んで口を開く。

「今日来てもらったのは、こっちに来てからまだ誰にも話してない俺自身にについてなんだ。それを知った君はもしかしたら俺の事を拒絶するかもしれない......だけど言わなきゃダメだと思うんだ」

「大丈夫だよ、亮。亮は亮だし、私は亮のこと信じてるから」

 空深にそう言われて思わず頬が緩むのを感じる。ほんと、俺にはもったいない彼女だよな。俺の事を信じてくれると言ってくれた、彼女のを事を俺も信じてステータスオープンと呟く。ステータスだけだと自分しか見えないが、オープンを付け加える事で、通常では自分しか見ることが出来ないステータスを他人にも見ることができるようにするものだ。
 開かれたステータスを見て空深の眼を見開いて驚いていた。当たり前か、最近ステータスの確認してなかったから今ついでに見てみる。

【名前】御影 亮 
【職業】魔王(無銘)
【スキル・技能】闇魔法・火魔法・剣術・体術・状態異常耐性・魔力操作・言語共通化・回復力上昇・痛覚遮断

 こっちに来てからの訓練でスキル・技能が何個か増えてるな。火魔法は分かってたけど、回復力上昇と痛覚遮断か......。絶対これは訓練で増えたな。
 自分のステータスを若干呆れてしまったけど空深の「そっか」という呟き、そちらに意識が向く。

「なにか隠し事してるなぁ~、っめ思ってたけど、そっか。たしかに自分が魔王って知ったら不安にもなるよね」

「......なにも思わないのか?」

「出来たらもっと早く教えて欲しかったなって思った。信用なかった?」

「それは......ごめん」

「私もごめん。今のは意地悪だったよね。けど、亮が魔王だとしても、私は亮のこと好きだよ。クラスの友達には悪いけど、亮を殺すくらいならこの世界に居るのも良いと思ってるしね。って!ちょ、亮なに泣いてるの!?」

 そう言われて頬に手を当てると確かに濡れていた。なんだか、自分の中で詰まっていた何かが溶けていく気がした。

 その日、とても久しぶりに泣いた。恥ずかしかったが空深に慰められてしまった。

不甲斐ないと思ってしまうけど、明日からより一層頑張れる気がした。
 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 僕は、ドアに当てていた耳をそっと音をたてないようにそっと離れる。
 心臓がバクバクととても早いリズムで動く。まさか亮が魔王だったなんて......。なんて良いことを聞いてしまったんだろう。

 僕はニヤついてしまう頬を無理矢理押さえ込んで足音を立てないようにその場を去る。

 この事を王様に伝えないとな。覚悟しろよ亮。空深を僕のモノにするために消えてもらうからな。

 

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