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学園編
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やあ!僕はレニー ウレニ!
探偵部も部活になってからは探偵の活動も増えてきたよ!
気になる女の子の好きな食べ物や、無くしたブレスレットの行方、浮気調査なんて言うのもあるね。万事屋って感じ。
だから最近はあまりキルシュ様の情報を交換できなかったりする。
「エトワーテル辺境伯様は婚約者様はいらっしゃらないの?」
「こんなに立派な方なのに。皆様わかって下さらないのね。」
「意外とお優しいのに...。」
いや~~~、探偵部って恋愛相談もやってるんだなあ!!
表の活動?そんなのキルシュ様観察ついでで事足りる。
情報交換が出来ないのは、そう!この女生徒たちのせいなのです!
「部の活動に支障が出る。散れ。」
「は~いっ。」
「失礼いたしますわ、せんせっ。」
「また来ますねっ。」
女生徒のウィンクも手で払い落とし、先生は本に視線を向けたままだ。
キルシュ様の読書姿が好きな僕としてはちょっといいな、と思ってしまう。
キルシュ様ファンクラブの人たちと違って、先生に対してくる女生徒はガチだからね。本人がこの調子だからいいけど、あそこにいるのが僕だったら...。うぅ、女の子たち、コワイ。
最初は怯えていた女生徒も、相談事を解決するときの頼もしい先生の姿を見てこんな調子になってしまった。
なんかよくわかんないけど、先生、探偵として優秀なんだよね。流石顧問?
でもこの部活はキルシュ様ファンクラブの方が本質。
ということで、教室を移動しました~!
移動しただけじゃ変わらないじゃないかって?
ふっふっふっ。
この教室にはなんと、先生用の部屋が付いているのです!
ほら、理科室って先生の机がある部屋が奥にあるでしょ?あんな感じ。
その先生用の部屋から先生を追い出して、ファンクラブメンバーと会合しようって魂胆なんだけど...。
そう上手くはいかないよね。
そう、上手くいかなかった。
なんせ先生がブラコン過ぎるんだよ。
ずっとファンクラブメンバーと奥の部屋で話してて、出てくる気配がない。
でもまあ、女の子は来なくなった。
先生を探している雰囲気はあるんだけど、あそこに突撃する気は無いみたい。結果オーライ?
ただまあ、放課後の演習場は...言うまでもないね!
なんか普段の先生を見れば見るほど、演習場に通いたくなるらしい。
アーノルド様ファンクラブの子が教えてくれた。いや、正確に言えばアーノルド様ファンクラブとキルシュ様ファンクラブ兼任のメンバーなんだけど。
まあ僕は行く気ないかな。キルシュ様一筋だからね!
「今日、放課後に演習場に行ってみようと思うんだ。レニー、一緒にどうかな?」
「行こう!」
朝半分くらい寝てる頭でそう答えた気がする。
だってキルシュ様に誘われたんだよ?行くでしょ。
先生に会えば会うほど思うんだ。
優しくて、美しくて、まるで聖母のような...いや、ちょっぴり意地悪だけど、そんなところも全部含めてキルシュ様って崇め称えるべきだなって。
「レニー。まだなにか用事ある?」
僕の教室に入ってきて、僕のところへくるキルシュ様。
あぁ、友達って得過ぎる!!
「ううん、大丈夫。部活のこと話してただけ。」
「?...もしかして今日、部活だった?」
心配そうなキルシュ様に首を振る。
「いつも言ってるけど、探偵部って別にそんな毎日行かなきゃいけない部活じゃないから。顧問だって放課後は毎日いないしね。」
放課後以外はずっといるけど。
「そうなんだ?」
不思議そうな、キルシュ様。探偵部の顧問誰か教えてないからね。
「そう、用事があるんだって。それより早く演習場へ行こう!」
僕はキルシュ様ファンクラブメンバーに手を振って教室を出た。
演習場に着くと先生が...あれ先生かな?顔がエトワーテル辺境伯に似ている誰かがいた。
「兄上!」
隣でキルシュ様が満面の笑みでそう言った。
なんて眩しい笑顔!キルシュ様、直視出来ません!!
それを聞いた先生(多分)もキルシュ様を見て微笑んだ。
あれ、絶対先生じゃない。キルシュ様に兄上って呼ばれてたけど、絶対先生じゃない。
「キルシュ、来たのか。」
「はい。癒し手のための講義が気になって。」
「そうか、私のためでは無いのが残念だ。」
先生がキルシュ様の頭を撫でた。
「あの、友達も見ているので。」
キルシュ様がちらりと僕を見てハッとする。
待ってなにこの兄弟。予想より遥かに仲がいい。
キルシュ様の照れた顔、すごい拝みたいのに、先生が優しそうな顔をしているのがむず痒くて、すごく微妙な気持ち。
先生は同志だと思っている心が、先生の甘い雰囲気を上手く消化させてくれない。友達の恋人に対する顔を見たような感じ...。
恋人...?そう恋人に対するような。
んん?
「こちらは僕の友人、レニー ウレニさんです。」
キルシュ様にそう紹介されるけど、多分僕、キルシュ様より先生に会ってる気がする。
でもなんでかなぁ。
ちょっと言いづらいかも~?
「ああ、寮の部屋が一緒なのだろう?ウレニから仲良くしていると聞いている。」
っあ~~~!そりゃあ言うよね~!
僕、お二人の邪魔な気がする~!!
「レニーと知り合いだったんですね。」
「ああ、彼の部活の顧問を少し前からやっているんだ。」
なるほど、だからレニーは放課後はいつも顧問がいないって言っていたのか。
キルシュ様がそうつぶやく声が聞こえた。その声音は普通で、僕が先生と仲良くしていることをあまり気にしていなさそうだと、隠れて胸を撫で下ろした。
「ごめんなさい!遅れました!」
慌ただしく入ってきた女生徒が、入口からそう謝罪しながら入ってきた。叫んだ訳では無いのによく通る声だなぁ。
ん~あの顔どっかで見た気がする。
そうだ、癒し手のリリア マルシュカさんだ。
その少し後ろでキルシュ様ファンクラブのメンバーが見えたので、遅れたのはキルシュ様のための足止めにあっていたからかも。
「では遠くで見学していますね。行こう、レニー。」
あっもういいの?
「うん。じゃあ先生、また。」
「ああ。ウレニ、後で褒めておけ。」
「...はーい。」
絶対足止めのことだ。先生が直接褒めた方が喜ぶと思うんだけど...。
僕と先生の会話を、よく分からなそうに聞いているキルシュ様。
「ただの部活の話。」
僕はキルシュ様にそう言った。
探偵部も部活になってからは探偵の活動も増えてきたよ!
気になる女の子の好きな食べ物や、無くしたブレスレットの行方、浮気調査なんて言うのもあるね。万事屋って感じ。
だから最近はあまりキルシュ様の情報を交換できなかったりする。
「エトワーテル辺境伯様は婚約者様はいらっしゃらないの?」
「こんなに立派な方なのに。皆様わかって下さらないのね。」
「意外とお優しいのに...。」
いや~~~、探偵部って恋愛相談もやってるんだなあ!!
表の活動?そんなのキルシュ様観察ついでで事足りる。
情報交換が出来ないのは、そう!この女生徒たちのせいなのです!
「部の活動に支障が出る。散れ。」
「は~いっ。」
「失礼いたしますわ、せんせっ。」
「また来ますねっ。」
女生徒のウィンクも手で払い落とし、先生は本に視線を向けたままだ。
キルシュ様の読書姿が好きな僕としてはちょっといいな、と思ってしまう。
キルシュ様ファンクラブの人たちと違って、先生に対してくる女生徒はガチだからね。本人がこの調子だからいいけど、あそこにいるのが僕だったら...。うぅ、女の子たち、コワイ。
最初は怯えていた女生徒も、相談事を解決するときの頼もしい先生の姿を見てこんな調子になってしまった。
なんかよくわかんないけど、先生、探偵として優秀なんだよね。流石顧問?
でもこの部活はキルシュ様ファンクラブの方が本質。
ということで、教室を移動しました~!
移動しただけじゃ変わらないじゃないかって?
ふっふっふっ。
この教室にはなんと、先生用の部屋が付いているのです!
ほら、理科室って先生の机がある部屋が奥にあるでしょ?あんな感じ。
その先生用の部屋から先生を追い出して、ファンクラブメンバーと会合しようって魂胆なんだけど...。
そう上手くはいかないよね。
そう、上手くいかなかった。
なんせ先生がブラコン過ぎるんだよ。
ずっとファンクラブメンバーと奥の部屋で話してて、出てくる気配がない。
でもまあ、女の子は来なくなった。
先生を探している雰囲気はあるんだけど、あそこに突撃する気は無いみたい。結果オーライ?
ただまあ、放課後の演習場は...言うまでもないね!
なんか普段の先生を見れば見るほど、演習場に通いたくなるらしい。
アーノルド様ファンクラブの子が教えてくれた。いや、正確に言えばアーノルド様ファンクラブとキルシュ様ファンクラブ兼任のメンバーなんだけど。
まあ僕は行く気ないかな。キルシュ様一筋だからね!
「今日、放課後に演習場に行ってみようと思うんだ。レニー、一緒にどうかな?」
「行こう!」
朝半分くらい寝てる頭でそう答えた気がする。
だってキルシュ様に誘われたんだよ?行くでしょ。
先生に会えば会うほど思うんだ。
優しくて、美しくて、まるで聖母のような...いや、ちょっぴり意地悪だけど、そんなところも全部含めてキルシュ様って崇め称えるべきだなって。
「レニー。まだなにか用事ある?」
僕の教室に入ってきて、僕のところへくるキルシュ様。
あぁ、友達って得過ぎる!!
「ううん、大丈夫。部活のこと話してただけ。」
「?...もしかして今日、部活だった?」
心配そうなキルシュ様に首を振る。
「いつも言ってるけど、探偵部って別にそんな毎日行かなきゃいけない部活じゃないから。顧問だって放課後は毎日いないしね。」
放課後以外はずっといるけど。
「そうなんだ?」
不思議そうな、キルシュ様。探偵部の顧問誰か教えてないからね。
「そう、用事があるんだって。それより早く演習場へ行こう!」
僕はキルシュ様ファンクラブメンバーに手を振って教室を出た。
演習場に着くと先生が...あれ先生かな?顔がエトワーテル辺境伯に似ている誰かがいた。
「兄上!」
隣でキルシュ様が満面の笑みでそう言った。
なんて眩しい笑顔!キルシュ様、直視出来ません!!
それを聞いた先生(多分)もキルシュ様を見て微笑んだ。
あれ、絶対先生じゃない。キルシュ様に兄上って呼ばれてたけど、絶対先生じゃない。
「キルシュ、来たのか。」
「はい。癒し手のための講義が気になって。」
「そうか、私のためでは無いのが残念だ。」
先生がキルシュ様の頭を撫でた。
「あの、友達も見ているので。」
キルシュ様がちらりと僕を見てハッとする。
待ってなにこの兄弟。予想より遥かに仲がいい。
キルシュ様の照れた顔、すごい拝みたいのに、先生が優しそうな顔をしているのがむず痒くて、すごく微妙な気持ち。
先生は同志だと思っている心が、先生の甘い雰囲気を上手く消化させてくれない。友達の恋人に対する顔を見たような感じ...。
恋人...?そう恋人に対するような。
んん?
「こちらは僕の友人、レニー ウレニさんです。」
キルシュ様にそう紹介されるけど、多分僕、キルシュ様より先生に会ってる気がする。
でもなんでかなぁ。
ちょっと言いづらいかも~?
「ああ、寮の部屋が一緒なのだろう?ウレニから仲良くしていると聞いている。」
っあ~~~!そりゃあ言うよね~!
僕、お二人の邪魔な気がする~!!
「レニーと知り合いだったんですね。」
「ああ、彼の部活の顧問を少し前からやっているんだ。」
なるほど、だからレニーは放課後はいつも顧問がいないって言っていたのか。
キルシュ様がそうつぶやく声が聞こえた。その声音は普通で、僕が先生と仲良くしていることをあまり気にしていなさそうだと、隠れて胸を撫で下ろした。
「ごめんなさい!遅れました!」
慌ただしく入ってきた女生徒が、入口からそう謝罪しながら入ってきた。叫んだ訳では無いのによく通る声だなぁ。
ん~あの顔どっかで見た気がする。
そうだ、癒し手のリリア マルシュカさんだ。
その少し後ろでキルシュ様ファンクラブのメンバーが見えたので、遅れたのはキルシュ様のための足止めにあっていたからかも。
「では遠くで見学していますね。行こう、レニー。」
あっもういいの?
「うん。じゃあ先生、また。」
「ああ。ウレニ、後で褒めておけ。」
「...はーい。」
絶対足止めのことだ。先生が直接褒めた方が喜ぶと思うんだけど...。
僕と先生の会話を、よく分からなそうに聞いているキルシュ様。
「ただの部活の話。」
僕はキルシュ様にそう言った。
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