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異世界編

(23)誕生への疑問

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~紗彩目線~


 気づいたら、私は会社の自分のデスクの椅子の上にいた。
 目の前には、書類がいくつも山を作っていた。


「佐々木さん、これやって」


 あの、○○先輩。
 私の机、今雪崩起こしそうなぐらい書類があるのですが。
 あなたの仕事なのにやっている暇なんてないのですが。


「佐々木君、いったいどうなっているのだね!!」


 あの糞上司、それ作成したの私じゃないのですが。
 そこで仕事をやっているふりをしながら、パソコンでゲームをしている給料泥棒が作成したのですが。


「まったく、これだから君はダメなんだよ。なぜ、こんな簡単なこともできないのだい?まったく、顔が見てみたいもんだね。君を甘やかして、ダメ人間にした親のね!!」


 この上司、名誉棄損で訴えられるかな?
 作成したの私じゃないのに、なんで親まで侮辱されなきゃいけないんだろう?

 仕事ができない私がダメ人間なら、仕事せずに他人の手柄を横取りするだけのあんたはなんなわけ?


「ね~、佐々木さん付き合い悪くな~い?そんなんだから、ボッチなんだよ?」


 名前も忘れた同期の一人が何かを言っている気がする。

 付き合いが悪いんじゃなくて、あんたら給料泥棒が私に仕事を押し付けてくるからでしょうが。


「本当よね。仕事もできない、付き合いも悪い。よく、あんなゴミが社会人になれたよね~」


 違う同期が何かを言っている。

 仕事もできなく付き合いも悪い私がゴミなら、仕事を押し付けてばかりで男や上司に媚を売るあんたはなんなわけ?

 と言うか、よく奥さんがいる複数の男性と関係なんか持てるよね?
 バレたら、どれだけの奥さんから慰謝料請求されるんだろう?


「まったく、こんな簡単なミスをするなんぞ。君には、社会人としての自覚があるのかい?お優しい上司の私が、君でも役に立てれる仕事を紹介しようかい?女性らしくもない貧相な体つきの君でも役に立てれるよ?」


 おいこら糞上司、それセクハラか?
 あんた、今月入って何回目よセクハラ。
 なんで、仕事はしないくせにセクハラ・パワハラのボキャブラリーだけは豊富なわけ?


「まったく。優しい私が紹介してあげてるのに、また書類整理をするのかい。君みたいな役立たず、なんで生まれてきたんだい?」


 糞上司の言葉なんて、気にするな。
 気にするだけ無駄。

 あんな奴らなんて、存在自体無視しろ。
 なにを言われても、何をされても。


                 【なんで生まれてきたんだい?】



 そんなの、私に聞かないでよ。

 私が生まれてきたのは、私が母さんのおなかの中に宿ったから。
 私が生まれてきたのは、母さんがすごく痛い思いをしてすごく苦しい思いをして頑張って生んでくれたから。

 母さんも父さんも、あんたたちなんかに侮辱されていい人間じゃないのに。

 私が仕事できないから?
 私のせいで、侮辱される必要のない母さんや父さんも侮辱されるの?

 なんで?
 なんで、こんな風に侮辱されなきゃいけないの?
 母さんも父さんも、何も悪くないのに。
 
 なんで、生まれてきた?
 そんなの、知らない。

 でも、本当になんで生まれてきたんだろう?



 大好きな両親を罵倒される原因になる私なんて__











 ウマレテクルヒツヨウナンテ、ナカッタンジャナイ????
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