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神隠しの森編

(199)知られていない家族

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~シヴァ目線~


「…………で、どうするんです?」
「何がだ?」
「ジャックとイアンですよ。あの二人、血縁的には異母兄弟になるのでしょう?」


 アルの言葉に聞き返せば、そんな答えが帰ってきた。

 ああ…………確かにあいつらは異母兄弟になるな。
 恐らく、アルはイアンとジャックにその事を伝えるのかと聞きたいのだろう。

 …………背景考えると、教えたら今以上に関係がこじれそうな気がするが。


「ああ…………正直、背景を考えると教える気力がなくなるがな」
「…………白銀の子は、どうしたいんだい?」
「俺か?」


 苦い思いをしながらもそう言えば、キキョウ団長に優しげな表情でそう聞かれる。
 仕事案件じゃないからか、呼び方も名前からいつもの呼び方に戻っている。

 どうしたい、か。

 正直、言った方が良いだろうと思う。

 だが俺の幼少期の記憶から言わせれば、異母兄弟というのは仲が良ければいいが元々仲が悪い関係であれば余計に気まずさなどが増える。

 イアンはともかく、ジャックはイアンに対してあまり良い感情を抱いていない。

 そうなると下手に教えれば、後者の関係になりそうだ。


「私としては、言うべきだろうとは思う。ただ、元から忠犬の子と霧の子の仲はあまりよろしくないからね。今回の情報で、事がどのように動くは全く予想できない」


 俺が考えていれば、キキョウ団長が困ったように言う。

 …………まあ、伝えるだけ伝えるか。

 ジャック本人は両親から拒絶されているし、まだ家族がいると言うのは伝えておいた方がいいだろう。


「…………とりあえず、伝えるだけ伝えるか。幸い、あの二人は所属騎士団も種族も違う。最悪、今後顔を合わせないようにするぐらいはできる」


 幸い、ジャックは獣人でイアンは竜人だ。

 上手く調整すれば、会わなくて済むようにはいくらでもできる。
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