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第十章
ネズミ
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核融合炉が停止したことにより、船内は暗闇に包まれていた。予備電源ぐらいはあると思うが、いっこうに回復しない。
まあ、僕らにとっては、都合がいいけどね。
ロボットスーツには暗視装置が装備されているので、暗闇に関係なく動ける。しかし帝国兵たちは、僕達が近くを通っても気がつかない。
おかけで無駄な戦闘は避けられた。
電源が回復したのは、甲板まで後少しというところまで来たとき……
「北村さん。出口です」
芽衣ちゃんの指さす先に、僕達がドローンに追い立てられて入ってきた扉があった。
外にドローンはいるだろうか?
通信機でミールを呼び出してみた。
「ミール。ドローンは今、どこにいる?」
『カイトさんが入っていった入り口の前に陣取っています』
なに? では扉を開いた途端に狙撃される。
「芽依ちゃん。他の出口から出よう」
「はい」
艦橋を挟んで反対側の出口を僕達は目指した。途中で出会った帝国兵をぶっ飛ばしながら……
扉の前でもう一度、ミールを呼び出す。
「ミール。ドローンは、まださっきのところにいるかい?」
『それが、艦橋を挟んだ反対側に移動しました』
「なに?」
それでは、今この扉の前に? 僕達の動きが読まれている?
「芽依ちゃん。監視カメラの類は?」
「さっきから、気をつけているのですが、見あたりません」
すると、どうやって? 巧妙に隠されたカメラがあるのか?
「きゃあああ!」
突然芽依ちゃんが悲鳴を上げる。
「どうした!?」
「ネ……ネズミ!」
「え?」
芽依ちゃんの指さす先に、でっかいネズミがいた。
芽依ちゃんも、やっぱり女の子だね……ネズミを怖がるなんて……ネズミ?
僕はネズミの画像をミールに送った。
「ミール。この動物を、見た事あるかい?」
『さあ? そのぐらいの大きさの動物なら見た事ありますが、これと同じ動物は見たことありませんね。でも、なんか美味しそう』
やはり、そうか!
「ワイヤーガンセット ファイヤー」
ネズミにワイヤーガンを撃ち込んで引き寄せた。
「北村さん! ワイヤーガン消毒して下さい! ペストに感染しちゃう!」
「芽依ちゃん。こいつはネズミじゃない」
「え?」
「そもそもこの惑星に、ネズミなんかいない。こいつはネズミに偽装したドローンだ」
「え?」
ワイヤーガンの刺さったネズミの体からは、電子部品がポロポロとこぼれ落ちている。
「他にもいるかもしれない。外へ出る前に、こいつら退治しよう」
「はい。本物のネズミじゃなければ怖くありません」
外から、分身達にも来てもらって、僕達は程なく近くにいたネズミ型ドローンを排除した。後は外のドローンだけ……
「ちくしょう! 北村の奴、どこへ消えやがった」
矢納さんが、苛立たしく叫びながらドローンを操作していた。
「ヤナ君。まだ見つからないのかね?」
艦長席でそう言ったのは中年の帝国人。中年太りとは無縁な、引き締まった体つきをしている。整った顔つきをしているが、その目は冷酷な光を湛えていた。
「今、探している。だいたいなんで、ネズミ型のドローンしか無いんだ。この惑星の動物に偽装しないと、ばれるだろう」
トントン。
「何だよ?」
肩を叩かれて、矢納さんは振り返った。
うにゅ!
その頬に、僕の右手の人差し指がめり込む。
「え?」
「やあ、お久しぶりです。課長」
しばしの間、呆気にとられていた矢納さんは、悲鳴を上げて床を這って逃げ出した。
「ひええええ! き! き! き!」
「北村」
「な! な! な!」
「なぜ、ここにいる?」
矢納さんの言いたいことを、僕は代わりに言ってやった。
「そうだ! なぜ、お前がここにいる? いや、なぜここに俺がいるとわかった?」
「なぜもへったくりも、あなたが自分で言ったのでしょ。『レーザー砲は俺が艦橋で操作している』って」
ネズミ型ドローンを片付けた後、僕らは外には出ないでドローンを操縦している矢納さんの方へ行くことにしたのだ。
艦橋に着いた僕は、匍匐前進で矢納さんの背後に回り込み肩を叩いたという次第だ。
まあ、僕らにとっては、都合がいいけどね。
ロボットスーツには暗視装置が装備されているので、暗闇に関係なく動ける。しかし帝国兵たちは、僕達が近くを通っても気がつかない。
おかけで無駄な戦闘は避けられた。
電源が回復したのは、甲板まで後少しというところまで来たとき……
「北村さん。出口です」
芽衣ちゃんの指さす先に、僕達がドローンに追い立てられて入ってきた扉があった。
外にドローンはいるだろうか?
通信機でミールを呼び出してみた。
「ミール。ドローンは今、どこにいる?」
『カイトさんが入っていった入り口の前に陣取っています』
なに? では扉を開いた途端に狙撃される。
「芽依ちゃん。他の出口から出よう」
「はい」
艦橋を挟んで反対側の出口を僕達は目指した。途中で出会った帝国兵をぶっ飛ばしながら……
扉の前でもう一度、ミールを呼び出す。
「ミール。ドローンは、まださっきのところにいるかい?」
『それが、艦橋を挟んだ反対側に移動しました』
「なに?」
それでは、今この扉の前に? 僕達の動きが読まれている?
「芽依ちゃん。監視カメラの類は?」
「さっきから、気をつけているのですが、見あたりません」
すると、どうやって? 巧妙に隠されたカメラがあるのか?
「きゃあああ!」
突然芽依ちゃんが悲鳴を上げる。
「どうした!?」
「ネ……ネズミ!」
「え?」
芽依ちゃんの指さす先に、でっかいネズミがいた。
芽依ちゃんも、やっぱり女の子だね……ネズミを怖がるなんて……ネズミ?
僕はネズミの画像をミールに送った。
「ミール。この動物を、見た事あるかい?」
『さあ? そのぐらいの大きさの動物なら見た事ありますが、これと同じ動物は見たことありませんね。でも、なんか美味しそう』
やはり、そうか!
「ワイヤーガンセット ファイヤー」
ネズミにワイヤーガンを撃ち込んで引き寄せた。
「北村さん! ワイヤーガン消毒して下さい! ペストに感染しちゃう!」
「芽依ちゃん。こいつはネズミじゃない」
「え?」
「そもそもこの惑星に、ネズミなんかいない。こいつはネズミに偽装したドローンだ」
「え?」
ワイヤーガンの刺さったネズミの体からは、電子部品がポロポロとこぼれ落ちている。
「他にもいるかもしれない。外へ出る前に、こいつら退治しよう」
「はい。本物のネズミじゃなければ怖くありません」
外から、分身達にも来てもらって、僕達は程なく近くにいたネズミ型ドローンを排除した。後は外のドローンだけ……
「ちくしょう! 北村の奴、どこへ消えやがった」
矢納さんが、苛立たしく叫びながらドローンを操作していた。
「ヤナ君。まだ見つからないのかね?」
艦長席でそう言ったのは中年の帝国人。中年太りとは無縁な、引き締まった体つきをしている。整った顔つきをしているが、その目は冷酷な光を湛えていた。
「今、探している。だいたいなんで、ネズミ型のドローンしか無いんだ。この惑星の動物に偽装しないと、ばれるだろう」
トントン。
「何だよ?」
肩を叩かれて、矢納さんは振り返った。
うにゅ!
その頬に、僕の右手の人差し指がめり込む。
「え?」
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「ひええええ! き! き! き!」
「北村」
「な! な! な!」
「なぜ、ここにいる?」
矢納さんの言いたいことを、僕は代わりに言ってやった。
「そうだ! なぜ、お前がここにいる? いや、なぜここに俺がいるとわかった?」
「なぜもへったくりも、あなたが自分で言ったのでしょ。『レーザー砲は俺が艦橋で操作している』って」
ネズミ型ドローンを片付けた後、僕らは外には出ないでドローンを操縦している矢納さんの方へ行くことにしたのだ。
艦橋に着いた僕は、匍匐前進で矢納さんの背後に回り込み肩を叩いたという次第だ。
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