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第十二章
停戦
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ガイン!
アクロの拳が手すりにぶつかって止まった。
バルコニーの素材も、単結晶酸素繊維強化セラミックだったのか。
拳の下数センチのところで、エラは恐怖に顔をひきつらせていた。
アクロは一度手すりから離れると、拳を水平に構える。
だが、エラはその隙を見逃さなかった。
アクロが構えている間に、ジャンプして手すりを飛び越えたのだ。
手すりから、地面まで十五メートルはあるはず。
だが、手すりにはいつの間にかワイヤーが巻き付いていた。
視線を移すと、ワイヤーを伝ってエラが地面に降りてしまう様子が見える。
「ミク! 建物に入られる。急いで」
「分かった」
アクロがバルコニーから庭に飛び降りた。
一方、エラは入り口を目指している。
あの中に入られたら、アクロは攻撃できない。
アクロは追いかけようにも庭木に行く手は阻まれていた。
「お兄ちゃん。木を倒していい?」
よく手入れされた庭木だな。倒したら、弁償させられそうだな……
「ダメ。なんとか木を避けられないか」
「そんなことしていたら、逃げられちゃうよ」
それもそうか。
「私が足止めします」
芽依ちゃんが、入り口の前に立ちはだかった。左右の手にヨーヨーを構える。
「どけ!」
「どきません!」
入り口の前で、プラズマボールとヨーヨーの応酬となった。
は! これはチャンス!
僕はショットガンを抜き、エラに向かって連射した。
もちろん、弾丸は高周波磁場に捕まってプラズマ化してしまうが……
「無駄! 無駄! 無駄! 私に銃など通じない」
うん、知っている。だが、これで高周波磁場は可視化できた。
あとは回転軸から……
『待って! 北村君!』
アーニャの声が通信機から流れたのは、まさに僕が回転軸の真上で引き金を引こうしている時だった。
『レイラ・ソコロフと話が付いたわ。停戦して』
恐れていた事態が……
「うわ!」
通信に気を取られている間に、エラのプラズマボールが眼前に迫っていた。
ダメだ! 避けきれない。
とっさに電磁石弾を投げて、なんとか直撃は免れたもののロボットスーツはかなりのダメージを受けた。
機能の六割が喪失。ICパックは無傷だったので、飛行はできるが《海龍》に戻るのがやっとだな。
そうだ! 芽依ちゃんは……
「芽依ちゃん!」
視線を前に向けると、桜色のロボットスーツがプラズマボールの直撃を受けていた。
アクロの拳が手すりにぶつかって止まった。
バルコニーの素材も、単結晶酸素繊維強化セラミックだったのか。
拳の下数センチのところで、エラは恐怖に顔をひきつらせていた。
アクロは一度手すりから離れると、拳を水平に構える。
だが、エラはその隙を見逃さなかった。
アクロが構えている間に、ジャンプして手すりを飛び越えたのだ。
手すりから、地面まで十五メートルはあるはず。
だが、手すりにはいつの間にかワイヤーが巻き付いていた。
視線を移すと、ワイヤーを伝ってエラが地面に降りてしまう様子が見える。
「ミク! 建物に入られる。急いで」
「分かった」
アクロがバルコニーから庭に飛び降りた。
一方、エラは入り口を目指している。
あの中に入られたら、アクロは攻撃できない。
アクロは追いかけようにも庭木に行く手は阻まれていた。
「お兄ちゃん。木を倒していい?」
よく手入れされた庭木だな。倒したら、弁償させられそうだな……
「ダメ。なんとか木を避けられないか」
「そんなことしていたら、逃げられちゃうよ」
それもそうか。
「私が足止めします」
芽依ちゃんが、入り口の前に立ちはだかった。左右の手にヨーヨーを構える。
「どけ!」
「どきません!」
入り口の前で、プラズマボールとヨーヨーの応酬となった。
は! これはチャンス!
僕はショットガンを抜き、エラに向かって連射した。
もちろん、弾丸は高周波磁場に捕まってプラズマ化してしまうが……
「無駄! 無駄! 無駄! 私に銃など通じない」
うん、知っている。だが、これで高周波磁場は可視化できた。
あとは回転軸から……
『待って! 北村君!』
アーニャの声が通信機から流れたのは、まさに僕が回転軸の真上で引き金を引こうしている時だった。
『レイラ・ソコロフと話が付いたわ。停戦して』
恐れていた事態が……
「うわ!」
通信に気を取られている間に、エラのプラズマボールが眼前に迫っていた。
ダメだ! 避けきれない。
とっさに電磁石弾を投げて、なんとか直撃は免れたもののロボットスーツはかなりのダメージを受けた。
機能の六割が喪失。ICパックは無傷だったので、飛行はできるが《海龍》に戻るのがやっとだな。
そうだ! 芽依ちゃんは……
「芽依ちゃん!」
視線を前に向けると、桜色のロボットスーツがプラズマボールの直撃を受けていた。
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