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第三章

「な……なんで、そんな事知ってるんだ!?」

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「美味い!」
 リリアの実は、ドラゴンフルーツに似た食感だった。
 ドラゴンフルーツより、若干甘い。
 肉を食べた後の口直しにはいい。
 水分もたっぷり含んでいるので、極度に乾燥した塩の平原では、ありがたい食べ物だ。
「エシャー。これは、何処にあったんだい?」
「ナーモ族ノ村。収穫手伝ッタラ、ワケテクレタ」
「ナーモ族って?」
「ご主人様。ナーモ族は、この惑星で最も多い知的生命体です」
 Pちゃんが代わりに説明してくれた。
「そうか。その村に行けば、食糧とか分けてもらえるかな?」
 リトル東京まで、何日かかるかわからない。食糧は確保しておくに越した事はない。
 今のところ、レッドドラゴンの肉が大量にあるけど、さすがにそれだけじゃPちゃんの言う通り栄養が偏る。なら、なぜ非常食を食べないかというと、不味いというのは嘘で、保存がきくので、いざという時のために取っておきたいからだ。
 ナーモ族とやらの村で、塩漬けの肉を野菜と交換してもらえないだろうか?
 と思って言ったのだが、なぜかPちゃんが反対した。
「ご主人様。ナーモ族に、会うのは危険です」
「危険なのか?」
「Pチャン。ナーモ族、危険ナイ、平和的」
「エシャーは、こう言ってるが……」
「分かっていませんね。暴力的で危険という意味ではありません」
「じゃあ、何が危険なんだ?」
「ナーモ族の容姿は、地球人と似ています。ただ、若干違うところがあります。まず尻尾がある事。それと耳の位置が違います」
「耳?」
「地球人の耳は両脇にあります。ナーモ族の耳は頭にあります。形状は三角形」
「つまり……猫耳?」
「変態趣味のご主人様が、そんなところに行ったら、ナーモ族の悪い女にたぶらかされる危険があります」
「おい、こら! 誰が変態趣味だ」
「ご主人様の趣味は、尋常じゃありません。地球にいたオリジナルさんは、猫耳娘があんなことしてたり、こんなポーズしてたりするエローい画像を熱心にパソコンのメモリーに集めていました。誰がどう見ても、変態ケモナーです」
「な……なんで、そんな事知ってるんだ!?」
「ふふふ……私はご主人様の事なら、なんでも知っているのですよ」
 いや、待て……そういうお前こそ、変態ストーカーじゃないか。
 なぜ、僕が密かに隠していた趣味を……まさか?
「おい……その人型筐体のメモリに入っていた僕のデータって、単なるプロフィールとかじゃなくて……」
「はい。二百年前に、スキャナーで読み取った生データです。さすがに、全部は入り切りませんでしたが、海馬領域と大脳皮質から取り出したデータは入っていますよ」
「ぬわんだとう! 消せ! すべてデリートしろ!」
「無理です。それは、プログラマーにしかできません」
「プライバシーの侵害だぞ」
「そんなこと言ったって、ご主人様のオリジナルさんは、同意書にサインして報酬として五十万円を受け取ったのですよ。それに関して文句を言う資格はありません」
 くそう……できる事なら、二百年前に戻って、オリジナルの後頭部をどつきたい。
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