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呪殺師は可愛い男の子が好き
権藤富士の宝
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穴から外へ出て、権堂富士を螺旋状に取り巻いている小路を降りていく。
途中、池の前で芙蓉さんは立ち止まった。
「この池の中に、入り口が隠されていたのよ」
ここは昨夜、男の子の幽霊が教えてくれた池。
あの子の遺体は、今もここに沈んでいるのかな?
「でもさ、芙蓉さん」
樒が池を指差す。
「式神ならこんなところを通らなくても、壁を抜けて中に入れるんじゃないの?」
「権堂富士の壁には、軽い結界が設置されていたのよ。権堂さんも霊能者との付き合いがあったから、式神とか生霊に隠し金庫を見つけられると警戒していたのだと思うわ」
そう言えば、サラリーマンの幽霊は、最初は結界があって築山の中に入れなかったと言っていた。
ヒョーは自分の式神をコントロールするために、一時的に結界を解除したのか。
そして、僕を拉致してから、再び結界を元に戻した。
だから、式神も池を通らないと入れなくなってしまったんだな。
あ! そうだ。
「芙蓉さん。帰る前に結界を解除しないと」
周囲を見回すと、浮遊霊たちが集まってきている。
サラリーマンの幽霊が僕の前に寄ってきた。
「よかったよ。私たちの事は、忘れられていたのかと心配していたんだ」
「やだな。忘れるわけ、ないじゃないですか」
ごめんなさい。忘れていました。
結界杭は、簡単には引っこ抜くことはできないけど、実はドライバー一本で蓋を開けて中のお札を取り出せる仕組み。
三か所のお札を取り出せば、幽霊は通り抜けられる。
その中の二つを解除して三つ目に取り掛かった時、結界が緩くなったのか男の子の霊が僕に近づいてきた。
ドライバーを回しながら、僕は男の子に話しかける。
「君はここの池で溺れたんだよね」
「そうだよ」
「まだ、遺体はここに残っているの」
「ううん。僕の遺体はとっくに回収されたよ」
「そっか。しかし、なんでこんなところで溺れたの?」
「僕は、ここに落ちたわけじゃないんだ。自分から潜ったんだよ」
え? まさか自殺?
「金塊を取に行こうとして、潜ったんだ。水泳には自信があったから。でも、戻るときに、金塊が重くて浮き上がれなくなって……」
「なんでそんな事を?」
「権堂富士の宝は、僕が成人したら相続することになっていたんだ。だから、先に一つぐらいもらっても」
「君は権堂さんの……」
「孫だよ」
「しかし、なんでそんな事を」
「あの時は、どうしてもお金が必要だったんだ。友達の家族が経営する工場が倒産しちゃって、夜逃げをしなきゃならなくなったんだよ。大切な友達だったので、別れたくなかったんだ。金塊さえあればと思って」
そうだったんだ。
「今でも時々、霊界からお爺ちゃんの様子を見に来ていたんだよ」
「そこへ運悪く、結界に閉じこめられてしまったんだね」
「そうだけど、せっかく霊能者が来ているのだから、頼みたい事もあったんだ」
「なにを?」
「お爺ちゃんに伝えて欲しい事があったのだけど、もう必要なくなっちゃった」
「必要なくなった? なんで?」
「権堂富士の宝を、貧しい子供たちに寄付してほしいと。でも、その前に税務署に見つかっちゃったね」
「そうか」
結界が解除されたのはその時……
結界から出ていく霊たちに僕は手をふった。
途中、池の前で芙蓉さんは立ち止まった。
「この池の中に、入り口が隠されていたのよ」
ここは昨夜、男の子の幽霊が教えてくれた池。
あの子の遺体は、今もここに沈んでいるのかな?
「でもさ、芙蓉さん」
樒が池を指差す。
「式神ならこんなところを通らなくても、壁を抜けて中に入れるんじゃないの?」
「権堂富士の壁には、軽い結界が設置されていたのよ。権堂さんも霊能者との付き合いがあったから、式神とか生霊に隠し金庫を見つけられると警戒していたのだと思うわ」
そう言えば、サラリーマンの幽霊は、最初は結界があって築山の中に入れなかったと言っていた。
ヒョーは自分の式神をコントロールするために、一時的に結界を解除したのか。
そして、僕を拉致してから、再び結界を元に戻した。
だから、式神も池を通らないと入れなくなってしまったんだな。
あ! そうだ。
「芙蓉さん。帰る前に結界を解除しないと」
周囲を見回すと、浮遊霊たちが集まってきている。
サラリーマンの幽霊が僕の前に寄ってきた。
「よかったよ。私たちの事は、忘れられていたのかと心配していたんだ」
「やだな。忘れるわけ、ないじゃないですか」
ごめんなさい。忘れていました。
結界杭は、簡単には引っこ抜くことはできないけど、実はドライバー一本で蓋を開けて中のお札を取り出せる仕組み。
三か所のお札を取り出せば、幽霊は通り抜けられる。
その中の二つを解除して三つ目に取り掛かった時、結界が緩くなったのか男の子の霊が僕に近づいてきた。
ドライバーを回しながら、僕は男の子に話しかける。
「君はここの池で溺れたんだよね」
「そうだよ」
「まだ、遺体はここに残っているの」
「ううん。僕の遺体はとっくに回収されたよ」
「そっか。しかし、なんでこんなところで溺れたの?」
「僕は、ここに落ちたわけじゃないんだ。自分から潜ったんだよ」
え? まさか自殺?
「金塊を取に行こうとして、潜ったんだ。水泳には自信があったから。でも、戻るときに、金塊が重くて浮き上がれなくなって……」
「なんでそんな事を?」
「権堂富士の宝は、僕が成人したら相続することになっていたんだ。だから、先に一つぐらいもらっても」
「君は権堂さんの……」
「孫だよ」
「しかし、なんでそんな事を」
「あの時は、どうしてもお金が必要だったんだ。友達の家族が経営する工場が倒産しちゃって、夜逃げをしなきゃならなくなったんだよ。大切な友達だったので、別れたくなかったんだ。金塊さえあればと思って」
そうだったんだ。
「今でも時々、霊界からお爺ちゃんの様子を見に来ていたんだよ」
「そこへ運悪く、結界に閉じこめられてしまったんだね」
「そうだけど、せっかく霊能者が来ているのだから、頼みたい事もあったんだ」
「なにを?」
「お爺ちゃんに伝えて欲しい事があったのだけど、もう必要なくなっちゃった」
「必要なくなった? なんで?」
「権堂富士の宝を、貧しい子供たちに寄付してほしいと。でも、その前に税務署に見つかっちゃったね」
「そうか」
結界が解除されたのはその時……
結界から出ていく霊たちに僕は手をふった。
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